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北雄産業

左から佐藤昌平取締役、清水泰雄副社長、吉田智典技術営業部長

新たな技術や工法を導入。働き方の見直しでも高評価

 杭の製造から施工まで 自社一貫で提供

建物の基礎工事や地盤強化に欠かせないのが杭。規模や地質、コストに合わせてさまざまな技術や工法が存在する。

「北雄産業」は1969年に生コン販売とセメント特約販売を主事業として創業後、78年からコンクリート杭の製造と施工を手がけている。93年には節付(ふしつき)コンクリート杭を使った工法で国内初の建設大臣認定を取得。同分野のパイオニアとして認知され、高いシェアを誇る。

また、建設需要の動向や資材価格の推移、顧客のニーズを踏まえ、コンクリート杭以外にもさまざまな製品や工法を取り扱っており、他の大手杭メーカーや地盤調査会社とも業務提携を結んでいる。

現在では〝土の中の基礎に関する多種多様な技術提案から施工を顧客に提供する〟をモットーに、札幌本社のほかに函館市と東京都内に営業所を構えて業務展開を行っている。

2022年度からは既成杭(工場で生産された杭)以外の施工にも参入。これまで培ってきた地盤に関する知識に加え、さらに幅広い施工技術や工法を提供するため「柱状改良工法」を使った技術提案と自社施工に乗り出す。

「柱状改良工法」とは、現場でセメントと土などを混ぜて造成される地盤の強度を高める工法。近年、北海道地区においてもニーズが拡大。地盤や条件によって既成杭よりも価格を抑えつつ、迅速な施工が可能となっている。

清水泰雄副社長は「建物の基礎に関する多種多様な要望に応えるため、技術提案から施工まで提供していくことを方針として、常に新しい技術を導入する挑戦を続けています。柱状改良工法が加わることで提供できる技術の幅が広がりました。顧客である設計者に対し、さらに最適な基礎工法の技術提案ができるようになっています。施工管理まで自社一貫体制を構築しており、最後まで責任を持った工事が可能です」と語る。

 働きやすい環境と顧客満足度を両立

同社は、建設業界共通の課題である若い世代の人材確保にも積極的に取り組んでいる。待遇面の改善のみならず、奨学金返還支援制度による「経済面の支援」や充実した研修制度、資格手当による「キャリアアップの支援」、スポーツ観戦チケットや美術館等の観覧料を助成する「リフレッシュの支援」など、さまざまな側面から従業員が安心して働ける環境を整備した。

これらが評価され19年に「北海道働き方改革推進企業」に認定。20年、21年、22年と3年連続で「健康経営優良法人」の認定も取得している。

また「社会の安全と安心を創造し続ける」という経営理念のもと、19年にSDGs(持続可能な開発目標)に賛同。21年に環境マネジメントシステムISO14001、品質マネジメントシステムISO9001の認証を取得し、全員参加による業務改善を継続的に実施して生産性を向上させた。特にISO14001に関連した環境活動では、21年末から脱炭素経営など事業プロセスにおいて環境に配慮した活動を推進している。

さらに、ビジネスマナーやコンプライアンス、安全管理、防災など社内のマニュアル類を自社で構築。社会情勢や環境変化に合わせ逐次改訂を行っている。人事考課制度も自社で構築。目標への挑戦と取り組み、結果までのプロセスを評価するシステムにした。

ほかにも、さらなる業務効率化のためDX(デジタルトランスフォーメーション)化も進めている。グループウェアを活用して顧客や市場トレンドの動向、個別案件の進捗状況、在庫・製造・工程管理をリアルタイムで見える化したほか、さらに高いレベルでの情報共有を目指してシステムの改善にも取り組んでいる。

これらを担うのが2人の役員。19年に取締役に就任した吉田智典技術営業部長は、同社の技術施工から工場、安全部門、ISO管理責任者などを担当しており、現場から管理部門まで知り尽くした存在。

「今後は柱状改良工法への知識や理解を深め、顧客の要望に応えていきたい」と吉田部長。

一方の佐藤昌平取締役は業界大手2社に9年間出向し、今年2月から取締役として復帰した若手のホープ。顧客対応と技術業務の経験を生かし〝究極のワンストップサービス〟をモットーに営業拡大に取り組むほか、社内のDX化も先導する。

「業務を効率化することで〝人にしかできない仕事〟に人的リソースを集中できる。さらなる顧客満足度の向上に注力します」と佐藤取締役は語る。

道南の函館福島工場で製造される同社の節付コンクリート杭「HY-BSパイル」
国土交通大臣認定工法による高品質な自社施工管理体制
札幌市豊平区にある本社ビル