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北栄ステンレス工業

大型タンクの製造も可能

“一生物のスキル”が身につくものづくり企業

食品や飲料、薬剤の配合などで用いられる専用タンク「ステンレス製サニタリータンク」の製造に特化した地場企業「北栄ステンレス工業」。

当然、衛生面や品質管理の観点からミリ単位での緻密な製造技術が求められるが、持ち前の高い技術力で対応。全国の有名企業からよせられるさまざまな要望に応えている。2019年には新工場を建設し、大型タンクの製造も開始。オファーは右肩上がりで増えている。

タンクの設計を担っているのが遠藤瑶介さん。顧客から指定される細かな仕様を専用ソフトで図面におこしていく。遠藤さんが制作した図面をもとに製造するため、同社の心臓部といっても過言ではない。「プレッシャーはありますが、自分が描いた図面が工業製品となり、そこで製造された食品や飲料は定番の有名商品も多く、やりがいは大きい」と話す。

遠藤さんが描いた図面を具現化させるのが製造部隊。2018年に入社した城内貴雄さんもその1人だ。未経験からスタートし、3年が経過。溶接技術はメキメキと上達している。

「溶接や研磨が主な仕事内容です。特に研磨は時間と手間がかかり、大変ですね。最近は任せられる機会も増え、やりがいを感じています。職場の雰囲気も良好で、先輩後輩の距離も近い。工場の清掃も徹底しているため、粉塵なども少なく、いわゆる〝3K〟のイメージとはほど遠い環境です」と話す。

秋枝征典社長は「未経験でも一から育てますが、〝手取り足取り〟ではありませんので、好奇心、探求心が大切です。頭を使いたい方、体を使いたい方どちらも歓迎です」と話す。

続けて「その分、苦労して身につけた技術や知識は一生ものです。小さなキズ1つも許されない緻密な仕事のため、機械化は難しいのが現状であり、職人として食いっぱぐれはないでしょう」と話す。

また、終身雇用制度が下火となった現在、同社ではあえて〝一生いられる会社〟を目指し、退職金制度の充実化や老後の保証、再雇用制度の再構築などにも取り組んでいる。

「今どき、はやらないかもしれませんが、社員が安心して仕事に集中できる環境を整えていきたい。社員あっての当社ですから」と秋枝社長。 

秋枝征典社長
遠藤瑶介さん
城内貴雄さん
2019年12月に完成した新工場