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注目のIT企業「フィーリスト」が描く成長戦略

吉野 俊文
(きの・としふみ)1981年生まれ。札幌啓成高校卒業後に、公務員として就職。その後、飲食店店長などを経て、24歳でIT業界へ転身。IT企業で10年間勤務した後、15年フィーリスト設立。

WEBシステムの開発を手がける「フィーリスト」(本社・札幌市)が、今年4月に社員数100人を突破した。設立からわずか6年、急成長を遂げる同社を牽引する吉野俊文社長に今後の展望を聞いた。

優秀な人材が強み スピード感で差別化

——主な事業内容は。 

吉野 WEBシステムの開発が事業の柱です。大手無料通信アプリのほか、高齢者施設のポータルサイトや5G(第5世代移動通信システム)のシステム開発などにも参画しており、顧客は上場企業や大手メーカーなど多岐にわたっています。システム構築の一部、あるいはすべてを委託するニアショア案件が伸びています。

——創業から吉野社長が目標にしてきた〝100人企業〟を実現させましたね。

吉野 ニアショア案件はスピード感が求められます。つまりは〝人員動入力〟が必要となるため、社員を増やすという流れはごく自然です。社員の4分の1は女性で、外国人もいます。性別や国籍にとらわれず、毎年、社員数の10%を目安に新規採用していく予定で、200人体制に向けて動き出しています。

——全国展開も加速していますね。

吉野 2018年に東京と仙台に支社を開設しました。22〜23年には福岡と沖縄への進出も計画しており、新しい仲間との出会いにワクワクしています。

拠点が増えたことで全国の優秀な人材を獲得できるようになりました。また、分母が大きくなるにつれ、応募者数も増えていると感じています。売り手市場と言われる中、ありがたいことに数多くの応募をいただき、〝量〟と〝質〟を両立した人海戦術ができるようになりました。

地に足をつけて組織強化を推進

——急成長による組織の歪みは生じていませんか。

吉野 表面化はしていませんが、しっかりと組織を形成していく必要があります。管理職のレベルアップはマストで、マネジメントスキルを向上させるフローの構築を進めています。また、幹部社員だけではなくエンジニア個々のレベルアップも重要ですから、外部講師を招いたマインドアップ研修や各種勉強会などもおこなっています。平均年齢30歳の若い会社です。しっかりと地に足をつけて業務にあたっています。

——今後も拡大路線は継続していきますか。

吉野 もちろんです。社員が増えれば増えた分、将来のポストを用意しなくてはなりません。つまりは拡大し続けていく選択しかないわけです。当然、大きな会社だからこそ参画できる仕事もあるので、社員には大きなプロジェクトでさまざまな経験を積んでほしい。現状維持という守りは社員の成長を阻害するマイナス要素でしかないですね。社員一人ひとり成長できる機会を創出することがトップの責任ではないでしょうか。

私は今年で40歳になりますので、50歳となる10年後には100億、500人の会社を目指します。道内では10番手以内の規模になる。有言実行で邁進します。

——社員を増員するだけでなく、満足度も追求されていますね。

吉野 社員あってのフィーリストですから、社員への投資は惜しみません。昨年12月には、本社が入るオフィスビル内の居酒屋「北海道海鮮炉端居酒屋よいところ」を取得しました。昼は社員食堂に転用し、福利厚生の一環として社員に無料で昼食を提供しています。現在はコロナウイルスの影響で中止していますが、ランチの再開を楽しみにしている社員が多いようです。

加えて21年度からは全社員を対象にベースアップを実施しました。生活基盤を整え、仕事に集中してこれまで以上のパフォーマンスをしてほしいです。

——新規事業もスタートしましたね。

吉野 今年3月に不動産会社「ONIK(オンアイケー)」を設立しました。不動産を所有して賃料収入を得るオーナー業が主事業です。まだ所有物件は多くありませんが、ストック収入として物件を増やしていく予定です。

また、安定収入の確保だけではなく、社員のために社宅を用意したいと思ったことも理由の1つです。キレイでおしゃれなマンションに安い賃料で住めたら最高ですよね。着る物は個人の好みもあるので難しいですが、〝衣・食・住〟のうちの食と住を支援していきます。

——IT、飲食、不動産と事業チャネルが増えてきました。

吉野 本業のITに関して言えば、新型コロナウイルスの影響はほぼありません。ただ、将来起こりうるさまざまなリスクを考えた時に、多角化経営にシフトしようと考えました。

リスクに備えると口で言うのは簡単です。社員を守ることも私の責任ですから、スピード感を持ってしっかりと行動に移し、どんな外的環境の変化にも耐えられる強い会社をつくっていきます。