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天使大学

田畑 邦治 学長
(たばた・くにはる)1947年生まれ。74年上智大学大学院文学研究科哲学専攻修士課程修了。聖母女子短期大学助教授、同大教授、NPO法人「生と死を考える会」理事長などを歴任。2016年白百合女子大学学長を経て、20年4月から現職。

コロナ禍を契機に「命を中心にした大学教育」を推進

――学長就任から1年が経過しましたが成果は。

田畑 昨年は学内行事や対面授業の中止など、学生に迷惑をかけました。そうした中で教職員を中心に学生対応に全力を尽くし、本学の在り方を検討してきた1年となりました。
本学では「新型コロナウイルス感染症対策本部」を設置し、感染状況と社会情勢に応じた「活動制限ガイドライン」を定めました。このガイドラインに沿って授業や行事の実施方針、感染状況といった情報提供に努めています。
本学では学生のモチベーションの維持や学生同士の交流に配慮した結果、学年ごとに登校する学生を細分化し、1週間に2回以上の登校ができるようにしています。
また、対面授業は3密回避のため、収容人数の5割以下かつ昼食時間を挟まない時間割編成で実施するほか、授業時間数の確保のため、土曜日と祝日も開講しています。5月に発令された緊急事態宣言下で遠隔授業となってしまいましたが、宣言が解除され次第、速やかに対面授業の再開を予定しています。

――昨年完成した新棟が対面授業に生かされています。

田畑 新棟3階には、本学で一番広い、定員が225人の教室があります。これは看護学科と栄養学科の1学年全員が収容できる広さです。
また、新棟の体育館に机と椅子を設置して教室として活用しています。当初の想定とは異なりますが、新棟が完成したことで距離を保ちながら授業を実施できるようになりました。

――学内行事の開催は。

田畑 3月の卒業式と4月の入学式は感染防止対策を講じた上で、実施しました。本学は戴帽(たいぼう)式やステップアップセレモニーといった式典をはじめ、合唱コンクール、クリスマスの集いなど、さまざまな行事があります。どれもミッションスクールの本学には欠かせないものなので、できるだけ開催したい。感染状況を鑑みて、慎重に判断していきます。

――コロナ禍で医療従事者に注目が集まっています。

田畑 医療従事者に対する国民や世界の期待というのは、看護教育にとって非常に良い面に働いています。学生たちも自分たちが就く仕事への期待やニーズを認識しています。私は1年生の授業を一部担当していますが、そこで読んだレポートからは看護に対する明確な意識を持って学習に臨んでいることが伝わってきました。

――貴学のニューノーマルは。

田畑 どの大学にも言えることですが、新型コロナウイルスをきっかけに大学教育のデジタル化が進んでいます。その流れは無視できませんし、そこから学ぶべきことがたくさんあります。
本学では単なる受け身の姿勢でデジタル技術を活用するのではなく、デジタル技術のメリットを自分の生き方や人生観、人間関係の中に積極的に生かせる工夫を進めていきます。本学にはキリスト教の伝統的な建学の精神と理念があります。それらをこれからの時代に合わせて、どう生かして融合させていくかが課題です。これについては教職員と協力しながら具現化していきたい。

――時代のニーズに沿った大学運営を進めていく。

田畑 フランスの思想家ジャック・アタリは、新型コロナのパンデミックを受けて医療・保健・衛生や教育・研究、食糧問題への関わりといった、命に関する分野を重視した経済への転換を図る「命の経済」を提唱しています。 
本学が養成する看護師、管理栄養士、保健師、助産師は、全て命に密接に関わる分野です。学生たちの学びが社会に役立ち、ひいては経済の活性化につながるということを伝えていきたい。それは「命を中心にした大学教育」と言えるのではないでしょうか。

――今年も資格取得率が好調でした。

田畑 看護学科の看護師国家試験合格率は97・8%。栄養学科の管理栄養士国家試験が90・9%と高い水準でした。大学院の保健師と助産師国家試験は、ともに3年連続の100%でした。コロナ禍で実習授業の中止などがあった中、学生と教職員の努力が現れた結果だと感じています。

――入試状況も好調です。

田畑 本学は小規模ではありますが、定員割れを起こすこともなく、今年も入学者を受け入れることができました。卒業生が勤務する病院、施設、学校などから高い評価をいただいており、それが本学のブランドにもつながっているのではと感じています。


マリア像が置かれた中庭
体育館に座席を設置し、距離を確保