エア・ウォーター

海外や半導体関連事業などで好業績。道内事業規模は1477億円
産業ガス国内大手のエア・ウォーター。事業の原点は、社名に冠した空気と水。前身企業の1社である「ほくさん」の創業の地が札幌ということもあり、北海道内での事業活動も広範に及ぶ。
主軸は産業ガス事業だが「全天候型経営」と称する多角化経営を展開。ケミカル関連、医療関連、エネルギー関連、農業・食品関連、海水関連、物流関連など各事業が相乗効果を生む独自スタイルが特徴だ。
2020年3月期の連結決算(国際財務報告基準)は、売上収益が8091億円(前年同期比9・0%増)、営業利益506億円(同18・3%増)、親会社の所有者に帰属する当期純利益304億円(同5・6%増)の増収増益で、いずれも過去最高を更新。
セグメント別では、産業ガス事業はM&Aで取得したインドのガス事業が貢献し、売上収益が前年同期比8・5%増。デジタル機器の市場が世界的に躍進しており、半導体の需要が増加。これを追い風に半導体製造用ガス関連が拡大したことも寄与した。
エネルギー関連では、LPガスの単価が原油価格の下落により低下したが販売数量は増加。また、農業・食品関連は野菜の相場安で微減となったが、山口県における木質バイオマス発電事業の収益化が始まったことなどで増収を確保した。
道内に本社を置く主要子会社18社の事業規模は売上収益が1477億円へ拡大。
唐渡有副社長・北海道代表は「新しいニーズにアンテナを張り、感度を上げて対応していく」と語り、7月1日には北海道エア・ウォーターが「エア・ウォーターでんき」で小売り事業に参入。コロナ禍で医療従事者の感染リスク低減に寄与する遠隔診療支援システム「NOALON」(ノアロン)を5月に投入するなど、新市場の開拓にも挑戦する。


