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エア・ウォーター

高濃度酸素や人工海水といったグループの技術を集結し、「杜のサーモンプラント・東神楽」(上川郡東神楽町)を開設

売上収益1兆円を突破。半導体向けガス供給などが好調

日本3大産業ガスメーカーの1社。道内のグループ社員数は5000人を越える。事業の主軸は産業ガス事業だが、医療、エネルギー、 農業・食品、物流関連など多彩な事業を展開。気候変動や超高齢化といった社会課題を踏まえ、「地球環境」と「ウェルネス(健やかな暮らし)」という2つの成長軸に沿って企業価値の向上を図る。2030年度に目指す姿「terrAWell(テラウェル)30」を定め、22年度からの3カ年を実行期間とする中期経営計画「terrAWell30 1ststage」をスタートしている。

23年3月期の連結決算(国際会計基準)は、売上収益が1兆49億1400万円(前年同期比13.1%増)と、初めて1兆円の大台に到達。半導体向けのガス供給が好調だったことに加え、燃料費の高騰などでガスの販売単価が上昇したことも売上に貢献した。また海外では、インドで産業ガスの製造・物流インフラを構築。北米ではM&Aを通じて産業ガス販売事業に参入している。

北海道の事業会社である「エア・ウオーター北海道」(本社・札幌市)も好調を維持。ガス単価の上昇などを受けて、売上収益は同17.4%増の1026億円となった。産業ガス事業はもちろん、医療やエネルギー、農業分野など事業領域は広範だ。今年5月30日には、陸上養殖プラント「杜のサーモンプラント・東神楽」を稼働し水産業にも業容を拡大している。

陸上養殖プラントでは、北海道産のニジマスを育成。高濃度酸素や人工海水などグループの技術と販売網を使い、陸上での養殖技術及びノウハウを確立しており、施設運営ノウハウとIoTを使った制御装置などをセットにし、自治体や外食チェーンなどへ販売する。特に需要の高いサーモンの安定生産を通じて食料自給率の向上に貢献するとともに、30年に年100億円の売り上げを見込んでいる。

唐渡有北海道代表は「課題先進地域と言われた北海道だが、農業や水産業などポテンシャルは高い。北海道における次期のグループの売上収益は10㌫アップが目標です」と意気込む。

なお24年中には、クリーンエネルギの需要拡大に向け、札幌市中央区大通りにバス・トラック共用の水素ガスステーションの開設も控える。

唐渡有北海道代表
飼育水槽を4台設置。2年後には年1万2000尾、30㌧のサーモンを出荷する計画