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集部日記

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2010-02-18 分かっていてもやめられない「業」

「ねえ、遊ばない」
「遊ぶって?」
「男と女のすることよ。1万円でいいよ」
 若い男性検察官が無機質な声で読み上げる逮捕経過を、薄い黄色のスエットを着た小柄なAさん(52歳)はうつむき加減で聞いていた。2月某日、たまたま傍聴した売春防止法違反の公判のいち場面である。
 Aさんは昨年12月22日、ススキノで現行犯逮捕された。検察官の冒頭陳述によると、Aさんが男たちに春をひさぎ始めたのは26年前。今回も含め売春防止法違反で4回も検挙され、2003年には覚醒剤取締法違反もあって執行猶予付きの実刑判決を受けていたという。
 それでもAさんは街娼に戻った。週に2、3回、路上に立ち、売春による収入は月平均15万円だったという。なぜやめれなかったのかーー。当然、検察官は追及したが、生活保護だけでは暮らしていけなかったとAさんは語った。
 ただ、売春の分を合わせると収入は月20万円を超していた。Aさんは南区の自宅での1人暮らし。生活苦が理由の“立ちんぼ”だったのだろうかーー。
 なりわい意味する業(ぎょう)は業(ごう)とも読む。26年間染みついたものが、52歳の女を再び路上に立たせたのではないか。ふとそんな思いがした。(野口晋一)