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サスティナビリティ(101)
J-VER:北海道の環境資源を産業活性化に(4)
更新日:2010年10月10日

    

 10月1日、コープさっぽろ西宮の沢店がついにオープンした。「日本で初めての木造大型店舗」で、店に入ると心なしか木の香りが漂いエコの雰囲気が感じられる。従来の店舗に比べCO2排出を50%抑えることを目指して建設された。本店舗を建設するまでのいきさつや目的については「財界さっぽろ8月号別冊」でコープさっぽろ大見理事長と宮坂建設工業宮坂社長の対談が掲載されており、詳細はぜひ別冊を参照されたい。

 今回取り上げたいのは、木造大型店舗の「ECO・OPグリーンストア」の建設資材として使われているのが足寄町原産のカラ松であるということだ。森林整備で町有林のカラ松を間伐し、それを集成材(間伐材を板状に切りそれを貼り合わせた強化木材)として活用したものだ。昨年(2009年)6月20日掲載の本ブログ“サステイナビリティ58”「風・林・水・菜」-4林の巻」で取り上げたが、北海道は日本の森林面積全体の4分の1を所有しており、先人たちが苗木を植え植林活動を推進してきた成果が現在豊富な森林資源として残されている。それが今、約1,000万ヘクタールの育成林として広がっており収穫期を迎えているのだ。森林総合研究所による樹齢別CO2吸収量(1ヘクタールあたり)は、針葉樹の樹齢11年から20年が3.2トンで一番高い。樹齢40年までは高い吸収力が持続するが50年を過ぎると半分以下になる。したがって、植林後41年を経ている樹木は収穫期を迎えており、これを間伐し有効に活用する必要に迫られている。一方、20年以内の樹齢の森林面積が少なくなっている。森林整備(間伐)で空いた土地に植林しなければならない。
 しかし現状としては、海外からの安価な木材を大量に輸入していたため、林業従事者は減少し間伐も滞っている。このような時、間伐材を大量に活用する木造店舗が誕生したのは誠に喜ばしいことである。間伐後の森林整備が進むとCO2吸収が促進される。さらにCO2吸収分がオフセットクレジット(J-VER)として認定されれば森林整備は利潤を生むことになる。このお金がさらなる森林整備の資金となり、林業を中心とした地域振興に貢献することとなる。

 環境省主催「第1回カーボン・オフセットEXPO」には北海道から「4町連携による間伐促進型森林づくり事業」が出展していた。4町とは、足寄町、下川町、滝上町そして美幌町だ。4町は「森林バイオマス吸収量活用推進協議会」を立ち上げ、協働して適切な森林整備と持続可能な森林経営を目指している。その名も“4rest(英語で森を意味するForestと4町をもじって)。4町連携による森林整備で年間7,625トンに相当するクレジット(J-VER)の発行が見込まれている。もしこのJ-VERが1トンあたり1万円程度で販売できたなら、7,600万円の収入が4町にもたらされることになる。
 問題はいかにJ-VER(クレジット)をカーボンオフセットとして全国に販売できるかである。4町連携の同協議会は当初から音楽家坂本龍一氏が代表を務める中間法人モアツリー社と提携しJ-VERを活用しようとしている。その仕組みはこうだ。
1:モアツリー社は排出量認定に関わる業務を支援すると共に協賛金を拠出する。
2:4町協議会が森林保全活動をおこない「森林吸収J-VER」の認定を受ける。
3:環境省から森林吸収枠が認められればモア社は排出枠を受け取り、コンサート活動な
 どで排出されるCO2を相殺したり、第三者に転売する。
4:協議会は、受け取った資金でさらに森林整備を進め、クレジットを蓄積し企業など
に販売する。
 協議会の事務局が下川町役場内に置かれていることで分かるように、4町連携の間伐促進型森林づくり事業で中心的な役割を果たしているのは「環境モデル都市」下川町だろう。2008年夏、下川町を訪れて安斎町長をはじめ町営林保全に携わっている方々にお会いした(本ブログ、サステイナビリティ32、33、34で報告)。その際、安斎町長に「森林のCO2吸収は排出権として販売することは出来ないのだろうか」と質問したのを覚えている。安斎町長の答えは「京都議定書の期間が過ぎる2013年以降に可能性があるのではないでしょうか」というものだった。しかし、その1年後には環境省が「オフセットクレジット制度」を、経済産業省が「国内クレジット制度」を開始した。これにより、森林整備でCO2が吸収され第三者機関によって認定された場合、その努力が排出権として販売できることになったのだ。安斎町長はその時、すでに先を見すえていたのだろう。下川町は町を挙げ森林経営を通じた地域活性化に取り組んでいるが、J-VERは間違いなくその活動を促進させるだろう。北海道には4町の他にも多くの森林資源を持つ市町村があり、取り組みによっては地域活性化に大いに貢献することになろう。