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サスティナビリティ(31)
G8北海道洞爺湖サミットが終わって-(2)
更新日:2008年08月30日

    

   「G8北海道洞爺湖サミット」は“大過なく”予定を終え、環境問題については「参加国全員がその重要性を“共有する”との声明を発表した。議長を務めた福田首相も決裂することなく会議が終わったことに満足している様子であるが、何かスパイスが効いていない結果になったのではないだろうか。
 2020年までの中期目標も合意されず、新興国の方針も明示されずに終わった。このような結果になったのも、新興国の削減なくしては世界全体のCO2削減は実現できないというブッシュ大統領の強硬な姿勢が影響したのだろう。一部には、厳しい目標が設定されず、あいまいな形で終わったことにほっとしている人たちもおり、イベントは終わったのだと環境への取り組みから引き始めている組織・企業もある。経済界では排出量取り引きへの抵抗が増している。
 果たして、本当にここで手を抜いてしまって良いのだろうか?
 考えなければならないのは、ブッシュ大統領の任期は年内いっぱいで、新たな米国大統領が来年には誕生することである。マケインとオバマの両大統領候補共に、環境問題については極めて積極的な政策を提示しており、2050年までにCO2排出を80%以上削減することを選挙公約に掲げている。
 米国でも環境政策を最も積極的に推進しているカリフォルニア州のシュワルツネッガー知事は、共和党であるにもかかわらず、オバマ候補に求められれば、環境担当の副大統領になるとまで言っている。そのカリフォルニア州は2020年までに再生可能エネルギーを32%にする取り組みを推進しており、ニューヨーク州では2013年までに25%にすると発表している。ブッシュによって否決されたが、リーバーマン・ワーナー法案では2020年までに15%にすることが議会で可決されている。大統領が変わると地球環境に対する米国の姿勢が一変することを認識しておかなければならないだろう。日本の環境取り組みへの本気度が試される時が必ず訪れる。
 マケイン候補を一歩リードしているオバマ候補が、去る7月24日、20万人の市民を集めてドイツの首都ベルリンで演説をおこなった。幸い、そのビデオを見る機会があった。
 本年6月、ダラスを訪れた時、ケネディ暗殺の場所に行き、ケネディの生涯記録を写真や映像で見聞きしたが、オバマ候補のスピーチのスタイルはまさにケネディの再来であり、ケネディ時代に青春を過ごした私としては、オバマ候補のビデオを見て自然と興奮してきているのを感じた。オバマ候補は、「ベルリンの壁が崩壊したのは民主主義の勝利であり、今まさに我々がやらなければならないのは世界中にある壁を取り除くことだ」、テロリストとの戦い、核兵器の廃絶に向けて世界が一体となって取り組まなければならない、と力説した。そして、最も重要なこととして地球環境の維持を取り上げ、次のように語っていた。「我々の子供たちや孫のため、このプラネット(地球)を全力でサステイン(維持)しなければならない。カーボンの削減は我々すべての使命である。地球環境の維持に先進的に取り組んでいるドイツ政府と国民に敬意を表するとともに、米国もドイツに続くことをここで言明したい」。ブッシュ大統領の後ろ向きの姿勢に対し、オバマ候補は最大の取り組み課題として環境問題を挙げ、20万人のドイツ市民を熱狂させた。
 マケイン、オバマ、いずれが大統領に選ばれたとしても京都議定書から脱退したブッシュとは180度変化した環境政策を打出すことになろう。EU型の取り組みになる可能性が大である。当然、キャップ・アンド・トレード方式(企業ごとに搬出枠を設定)の排出量取引が基準となるだろう。また、京都議定書の実施期間が終わる2013年、そして2020年の中間目標が厳しく設定されることになると考えなければならない。
 前号で述べたように、日本は今のままでは京都議定書の削減目標を達成できず、膨大な金額で排出権を購入しなければならなくなる。これは2012年の段階で終わるのではなく、劇的なCO2排出削減を実現しない限り永久に税金や企業の収益から支払わなければならない。日本の富みの過半が排出権に持っていかれることになるのだ。

 本シリーズで具体的に提言したように、北海道はこのような日本を救う可能性がある。
 ・再生可能エネルギーの最適立地
 ・森林資源の整備(間伐と植林)によるCO2吸収
 ・クリーンテック関連企業への豊富な工場用地
 ・豊かで新鮮な水資源
 ・先進的バイオテクノロジー研究機関
 ・サミットを開催した場所としての知名度

 いま、社会・経済の潮目が明らかに変わりつつある。潮目を見定める“魚の眼”、環境問題を高いところから鳥瞰する“鳥の眼”、そして具体的に取り組むに当たって細部にわたって計画する“虫の眼”が必要であろう。