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サスティナビリティ(30)
G8北海道洞爺湖サミットが終わって-(1)
更新日:2008年08月20日

    

 北海道も今年の夏は暑い日が続いたが、お盆を過ぎるとともに、朝晩は秋の気配を感じる季節になった。その快適な生活が東京に来ると一変する。この暑さは何だ!!!!黙っていても頭の先から汗が吹き出てくる。アスファルトからの照り返しで、体感気温はゆうに40度を超えている。北海道では朝に寒さを感じ(タオルケットを蹴飛ばしていると)目が覚めるが、東京ではタイマー設定したエアコンが止まると一気に押し寄せる暑さで目が覚める。真夏日が既に連続40日を超えており、例年にないこの暑さも地球温暖化の影響を受けているのだろうか。もしそうならば、来年以降も引き続き、いやいっそう過激な暑さになるのだろう。先行きが思いやられる。
 日本全体として最も電力が必要とされるのがこの時期で、甲子園の高校野球が電力メーターを振り上げるといわれている。家庭で、喫茶店で、(場合によっては一部職場で)エアコンをフル回転してテレビ観戦するため電力消費量を高めることになる。さらに今年はオリンピックの年である。大会期間とその前後で3週間以上にわたり発電所が悲鳴を上げるばかりの電力が供給されることになる。
 8月12日、電力会社各社は2007年の発電によるCO2排出量を発表した。全体で前年比14%も排出量が増加していることが明らかになった。特に、東京電力は29.6%の増加である。これは昨年7月16日に発生した新潟県中越沖地震により東京電力柏崎刈羽原子力発電所が稼動休止に追い込まれ、旧来型火力発電所に電力供給を大幅に依存しなければならなくなったことに起因する。東京電力に限らず、すべての電力会社でCO2排出は増加しており、北海道電力も前年比11.3%増となっている。記録的な猛暑とオリンピックの年である2008年はどれほどの排出量増加となるのか、想像するだに恐ろしくなる。(もっとも、ガソリン価格の急騰でCO2はわずかばかり減少しているが)
 北京では、オリンピック期間中、人口雨を降らしたり、市内中心部への自動車乗り入れを大幅に制限したり、工場の操業を中止させたりし、対外的に環境改善をアピールしているが、同じ期間、環境大国を自称する日本では、もうもうたる煙を吐き出した火力発電所から供給された電力でオリンピックを観戦し、エアコンをフル稼動させているとしたならば一種のパロディーである。
 東京電力柏崎刈羽原発の稼動休止によるCO2排出は年間2,400万トンに当たると見られている(横浜市の環境アドバイザーも務めている飯田哲也氏:日経エコノミー掲載)。もし、京都議定書の最終年である2012年までに発電所が回復しなかったなら1.2億トンのCO2が積み上がる事になる。本シリーズで何度も触れたが、京都議定書で2008年から2012年までに日本全体で削減しなければならないCO2は1990年比6%である。2006年には既に6.2%の増加となりCO2換算で年間1.3億トンが増加している。このままでは5年間で7.5億トン、柏崎刈羽原発の分を含めるとほぼ9億トンのCO2が世界に約束した削減量を上回ることになる。もし、この増加分を排出権購入で対応しようとすると10兆円もの税金を排出量購入に支払わなければならない。(最近、排出権は1トン当り100ユーロに引き上げられた)
 火力発電に使われる石炭や石油は2~3倍の勢いで価格が高騰しており、電力会社各社は大幅な赤字に追い込まれている。東京電力では8,000億円を超える赤字を計上した。原料の高騰は電力価格として消費者に転換される。頼みの綱の原子力発電は放射性廃棄物の最終処分が先送りされ、新規に20基を建設するという計画はほとんど進展していない。
 低炭素社会のためには、原子力発電の整備も必要であるが、今積極的にやらなければならないのは再生可能(風力・太陽熱・太陽光)エネルギーを欧米並みにするという具体的な実施計画を策定することであろう。
 サミットに向けて6月に発表された「福田ビジョン」を受け、7月29日に具体的な施策が発表された。1つは、「環境モデル都市」の認定であり、横浜市などとともに北海道からは下川町が選ばれた。もう1つは「低炭素社会づくり行動計画」で、太陽光発電を2020年に現状対比10倍、2030年に40倍にしようとするものである。風力に触れられなかったのは残念であるが、再生可能エネルギーへの取組が一歩前進したと評価できるだろう。
 本シリーズで一貫して主張しているように、北海道は再生可能エネルギーをつくり出す上で最も適した地域である。北海道への環境資金の投入、環境産業の誘致など官民挙げての活動を先行して開始する必要があるだろう。
 「G8北海道洞爺湖サミット」は多くの人に地球環境への関心を高めた点で有益な効果があったが、一方、幕を閉じるとともに産業界から一斉に排出枠設定への反論が飛び交ってきている。道民の声をさらに強め、ボランタリー/コミュニティ活動を強める必要があるのではないだろうか。