「情報を先取り、タブーに挑戦」を編集方針とし、生活者・企業経営者に
最新かつ有益な情報価値をご提供する、北海道の地域政治・経済誌

ロゴ

トップページ > 社長ブログ > 2025年(13)2015年~2019年「世界的経済混迷の5年間」(2):海外編-1

長ブログ

このエントリーをはてなブックマークに追加

サスティナビリティ(122)
2025年(13)2015年~2019年「世界的経済混迷の5年間」(2):海外編-1
更新日:2011年07月14日

    

 関連会社の社長を含め長年伊藤忠商事グループに勤務され、世界を股にかけて活躍されていた方と懇意にさせて頂いている。この方を通じ、海外からフォワードされたメールが毎日数通送られてくる。世界各地の美しい自然、航空機のショー、宇宙から見た地球、人々のたたずまいなどのスライドプレゼンテーション、トピックなど毎日楽しみに拝見させて頂いている。昨日送られてきたのは「2年を経た時点でオバマ政権が実現したチェンジ」と題したいささか皮肉っぽい短いレポートである。
 リーマンブラザーズが破綻したのが2008年9月15日で、オバマが大統領に就任したのが2009年1月。まさに最悪のタイミングに就任したわけで、現在米国が抱えている財政・雇用・インフレなど多くの問題を全てオバマのせいにするのは少々かわいそうな気がする。それは置いておいて、以下レポートに記載されている2009年から現時点までの数値をいくつか取り上げてみる。

・ ガソリンの小売価格 :1ガロンあたり1.83ドルが3.95ドルへ116%の上昇
・ WTI原油価格:1バレルあたり38.74ドルが91.38ドルへ136%上昇
・ トウモロコシ価格:1ブッシェルあたり3.56ドルが6.33ドルへ78%上昇
・ サトウキビ:1パウンド当たり13.37ドルが35.39ドルへ165%上昇
・ 失業率:費農業従事者で7.6%が9.4%へ23.7%上昇
・ 中間層の家計所得:年間50,112ドルが49,777ドルへ0.7%低下
・ 長期の失業者:270万人が640万人へ増加
・ USドルの日本円換算:1ドル89.76円が、82.03円へ8.6%の価値低下

などなど、この2年強の間にインフレと雇用悪化が急速に進んでいることを示す数値が並んでいる。そしてもっとも強調しているのが米国の公的負債額である。2009年に10兆6270億ドルだったのが現在は14兆520億ドルと32.2%も拡大している点だ。この間の公的負債の増加は米国の過去の歴史と比較すると27倍もの勢いで負債が拡大しているとレポートは指摘している。
「あなたが高速道路を時速65マイル(104キロ)で走行しているとすると、隣の車線から時速7,555マイル(1,200キロ)でロケットのように追い抜かれるのと同じだ。オバマは2年間でこれほどの“偉業”を達成したのだ」
いかにもアメリカ人らしい表現だが、米国人のいらだちが率直に表れている。米国政府は、QE2(量的緩和策)で6000億ドルにも及ぶ大量の国債を購入し、資金を大量に市場投入した。しかし、それにも拘わらず、失業率は9%を超えている(実質は20%とも言われている)。企業のリストラで給与水準が下がっているなか、ガソリン・農産物の高騰で米国の消費は低迷が続いている。ミゼリー指数(失業率とインフレ率の合計)が危機レベルの10%に達しており、「米国の失われた10年」が始まったかと言われている。ただ、2012年末の大統領選挙を前に景気刺激策(QE3など)が取られると考えると、「2010~2014年」の期間は現在の状況が維持すると思われる。
しかし、問題は2015年に入ってからである。景気刺激策で投入されたマネーは積み上がり、米国の公的負債額は20兆ドルに近づき、国債として最高の格付けであるトリプルAを与えられている米国債は、2015年には2~3段階引き下げられているだろう。国債価格の引き下げ(金利の高騰)は、米国債を大量に所有している銀行(日本の銀行も例外ではない)に多大な影響をもたらすことになる。特に地方銀行は厳しい局面にたたされる。日本では銀行の統合が進んでいるが、米国ではまだ数万の地方銀行が存在している。これら地方銀行の多くは、サブプライムローン以来、処理できていない多額の債務を抱えている。2015年ころには負担に耐えきれず、また政府の支援も届かず、破綻の危機に瀕するのではないだろうか。
米国で勤務していた1980年台の後半から1990年台の始めにかけ、シリコンバレーを中心にベンチャー企業が次々に誕生し、IT、農業、金融、輸送機器、食品、医薬品、軍事、流通で世界を圧倒的にリードし、元気に溢れていたのを記憶している。それがおかしくなってきた。

米国の公的負債額が14兆520億ドルまで拡大していると前段で紹介したが、米国の連邦債務上限は14兆3000億ドルと決められており、残りわずか2500億ドル弱である。本年(2011年)8月2日までに上限枠を引き上げることが出来なければ、米国債の利払いや元本の返済が出来なくなる。さらに、新たな債権が発行されなければ連邦政府機関が全て閉鎖され、80万人の連邦職員に給料が払えなくなり、債権者に対する支払いや支援金の支払いがストップすることになりかねない。実は、1995年11月から12月にかけ、米国で勤務中に政府機関の閉鎖を経験したことがある。ゴミの回収はなく、国立公園などの施設にも入ることが出来なかった。新聞でごうごうたるクリントン大統領批判が繰り返されていたのを記憶している。
3.11の大震災で新聞報道も小さい扱いだったが、今年3月から4月にかけて米国民主党と共和党の対立で2011年度の暫定予算審議が難航し、連邦政府機関の閉鎖が危惧される事態があった。3月4日の期限ぎりぎりの2日に上院で可決し、最悪の状況を脱することが出来たが、次の期限は8月2日である。これほどまでに、米国の債権は綱渡り状態であることを認識していなければならないだろう。
QE2、さらには予想されるQE3で膨れあがった米国債に不安材料が発生した場合(デフォルト)、米国のみならず世界の債券市場や株式に大打撃を与えることになる。オバマ大統領は、債務を2023年まで4兆ドル減らす提案をしているが、現時点では半分の2兆円に止まる見込であり、2015年にはティッピングポイント(激変が生じる時点)を迎えるのではないかと危惧されている。2015年~2019年にかけて、米国も厳しい財政状況になると思われる。
次回はヨーロッパ、中国を見ていきたい。