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サスティナビリティ(139)
2020年~2024年 「世界規模の環境被害の5年間」(9)
更新日:2012年04月01日

    

 孫の面倒を見に行っていた女房が東京から帰ってきたが、大きなマスクをしている。「どうも花粉症にかかったみたい」とのことだ。
今年のスギ花粉は大量飛散した昨年の4分の1、平年の70%程度とのことで比較的軽微であったが、それでも北海道の10倍以上だ。北海道に住むことになって花粉に対する抵抗力が弱まったせいなのだろうか。
 その花粉もようやく峠を越え桜の開花が徐々に北上しているが、待ちに待った春と共にやってくるのがあのおぞましい黄砂である。
黄砂は雪どけと共に中国の黄河流域や砂漠で吹き上げられ、偏西風に乗って日本にもやってくる。毎年4月、5月が黄砂来襲のピークだ。この時季の偏西風は、九州を始め中国・四国・近畿・中部・北関東を通過し、アメリカ大陸まで吹き抜ける。気象庁は黄砂予報と注意報をインターネットで掲載し注意を呼びかけおり、特に毎年黄砂の被害を受けている福岡市では今年から独自に黄砂予報を出すことになった。

 近年、黄砂の発生は増加傾向にある。その要因としては中国の砂漠化が急速に進んでいることが指摘されている。2007年時点で中国国土の18%が砂漠となっており、現時点では20%を超えているのではないだろうか。
 黄砂は幅数百メートル(時によっては数キロメートル)、高さ数百メートルの「砂の壁」で押し寄せる。その砂嵐は「黒風暴」と現地では呼ばれているそうだ。その嵐の中に入ったら、1時間ほどは何も見えず呼吸困難になるという。中国の大都市や工業団地周辺では数十メートル先は見えない状況が日常茶飯事だそうだ。「黒風暴」は万里の長城にも押し寄せ、そのすぐ近くにある北京は「黒風暴」の砂塵で埋め尽くされてしまうのではないかと懸念されている。今後さらに砂漠化が進むと、北京に首都を置くことも難しくなり、上海あたりに移転することも検討されていると聞く。
 砂漠化は、農業政策の失敗による乱伐、過剰な放牧、耕作地の過度の拡大、地下水や湖水の汲み上げ過ぎが大きな要因だ。汚染された排水や廃棄物で土壌が劣化し、乾燥化が進んだことも原因としてあげられている。
 また、地球温暖化による頻繁な干ばつや河川の流量減少も砂漠化に拍車をかけている。もちろん、中国政府も砂漠化防止に取り組んでおり、2001年の始めには林業省が「植林などの対策を講じたことで砂漠化・乾燥化の合計面積は減少している」と発表した。しかし、国土の45%が依然、砂漠化・乾燥化に見舞われている。砂漠化防止のために植えた木が大きくなるに従い水を吸収しすぎ、砂漠化がさらに進展したという笑えない話もある。

 黄砂には土地を肥やす効果があり、またミネラルも含んでいることから海洋のプランクトンの生育にも有効に働くという意見もある。しかし、空は黄褐色に曇り、窓や乗用車にこびりつき、洗濯物に付着したりする。ビニールハウスに付着すると日差しを受けにくくなり、野菜の生育にも影響をもたらすというマイナス面の影響は深刻になっている。
 さらに、黄砂被害が拡大するのは、空気中の様々な粒子を付着することだ。硫酸イオン、硝酸イオン、鉛、硫酸アンモニウムなどが黄砂に付着して日本に飛来する。黄砂が多いと、花粉症、喘息、アトピーなどアレルギー疾患が悪化すると言われている。
雨は酸性雨になって降り注ぐ。これらは中国の経済発展と密接な関係があり、「黄砂テロリズム」と呼ばれることもある。
 一昨年、中国を訪れ本ブログにもその時の様子を記したが、川という川は黄色に濁っており、雲が浮かんでいるわけでもないのに空は黄褐色に覆われ、太陽も赤く霞んで、車からの排気ガスの臭いが鼻をついていた。日本に比べ、中国の空気が異常に汚染されているのが容易に体感できる。訪れた時は黄砂が終わった季節であったが、4月、5月にはさらにひどい状況なのではないだろうか。この汚染された大気を黄砂が通過すると、様々な粒子が吸着され、微粒子となって日本に飛散する。鳥取県の調査では、大気中のヒ素が通常の22倍であった他、マンガン12倍、クロム7倍が観測されたという(ウィキペディアより)。

 さて、2020年から2024年にかけて黄砂は悪化してさらなる被害を日本にもたらすのだろうか。それともその間に対策が講じられるのだろうか。現時点で予測すると極めて悲観的である。
 まず、砂漠化の進展から見てみよう。
 中国の主要河川はヒマラヤ山系を水源にしているが、ヒマラヤ氷河が急速に溶融しており、消滅の危険性が指摘されている。水源が枯渇もしくは大幅縮小すると河川の流量は減少し、利用可能水は大幅に減少することとなる。2015年までに地方人口の85%が水需要を満たすことができなくなるとの調査報告もあり、今後水不足は深刻になると考えられる。そうなると、特にモンゴルや北京周辺はさらなる砂漠化が進行し、さらに土壌の劣化現象が広がる。砂漠化により黄砂はより頻繁に発生する。
 中国西部は世界平均の2倍の速度で温暖化が進行しており、エルニーニョ現象がその勢いをさらに強めるため、中国大陸全体で干ばつなどの自然災害が頻発する可能性がある。
 モンスーンはすでに弱体化しており、夏(雨季)の降雨量が減少し、特に黄河の水量に影響をもたらし、その流域の砂漠化が心配される。
 農村地帯の浅い地下水はすでに枯れ始め、深い地下水も利用し尽くされ、灌漑用水の枯渇が心配されている。農地が放棄されるようになると砂漠化の拡大に拍車をかけかねない。
 このように見てくると、多くの要因から中国3分の1が砂漠化し黄砂の発生源が急拡大するという観測も2020年以降には現実化するのではないだろうか。

 次に、黄砂に付着する危険性のある汚染物質についてみてみよう。
 昨年11月に南アフリカ・ダーバンで開催されたCOP17でも、中国は相変わらずCO2排出に関して積極的な姿勢は見せなかった。2020年からの新たな枠組が開始されるまでは何らの排出規制がかかっていない。さらにその枠組が2015年に合意される確証も今のところ見えていない。現在世界一のCO2排出量は今後ともすさまじい勢いで増えていくだろう。
 中国の車は3200万台から25年後には3億7000万台へと増加すると見込まれている。規制が厳格ではない車からの排気ガスは、途方もない勢いで大気を汚染するだろう。
 現在、中国のCO2で80%を占めるのは石炭による火力発電で、それが毎週1基建設されている。
 先般のカドミウムの垂れ流しは例外ではないかもしれない。中国の経営者の意識も利益志向になっているのではないか。環境汚染物質が2020年まではほとんど規制されることなく、経済発展の名の下に排出し続けられる可能性が高い。
 これらの汚染物質が粒子となり黄砂に付着し、偏西風に乗って日本に飛来する。2020年以降、日本は極めて危険な状況を迎えなければならない。

 幸いにしてこの時期偏西風は関東以西に吹くため、北海道への黄砂飛来は極端に少ない。スギ花粉や黄砂被害に苦しんでいる他地域の方々のため、3月から5月にかけて北海道への短期移住を計画してお迎えしたらどうだろうか。学校、医療施設、文化施設を提供し、健康で安全な生活を満喫してもらいたい。もちろん、夏季の猛暑を逃れたい方々にも、これら施設は有効に使われるだろう。