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サスティナビリティ(149)
2020年~2024年 「世界規模の環境被害の5年間」(20):まとめ-3
更新日:2012年09月18日

    

 この夏北海道を訪れた方々は、予想外の暑さに驚いたことだろう。今日(9月18日)も真夏日だ。
 札幌管区気象台のまとめによると、6月から8月にかけて北海道の気温はオホーツク海沿岸を除きほとんどの地域で高温となった。札幌で平年(過去30年間平均)を1度、函館で1.1度上回ったほか、旭川、帯広などでも0.9度も高くなった。1990年比で平均気温が2度上がると、地球破滅のきっかけともなるティッピングポイントになる危険性があると言われているので、1年で1度は恐ろしい程の気温上昇である。
 北海道にも地球温暖化が徐々に押し寄せてきているのが実感される。半面、温暖化は北方地域の農産物収量に好影響をもたらす。今年の北海道地方の作柄がコメで105%など農産物は全般的に順調に生育している。環境省などが推計した将来のコメの収量変化によると、1979~2003年に比べ、2046年~2065年には関東・中部・近畿・九州地域が5%~10%減収なのに対し、北海道は20%近くコメ収量が増えるとのことだ。
 ローレンス・スミスは著書「2050年の世界地図」の中で、地球温暖化による気候変動により、現在世界の穀倉地帯となっているアジア、北米、ブラジル、オーストラリアが打撃を受ける中、北緯45度以北のニューノース(北米の最北部、カナダ、ロシア、北欧諸国を含む8ケ国)では農産物収量の拡大が見込まれると予測している。さらに生育可能品種も大幅に増加する。以前、本ブログで取り上げたように、北海道はまさに「アジアにおけるニューノース」と位置づけられるのではないだろうか。

 それでは「世界規模の環境被害の5年間」の最終版で、2020~2024年における北海道の姿を見てみよう。
 まず、北海道の持つ地理的な優位性である。四方を海に囲まれており、海洋資源に恵まれているほか、2000年には一部実現すると思われる海上資源、海底資源の開発技術が北海道の産業振興に大きく貢献することになる。海洋資源は世界的な海面温度上昇により魚類などの資源の減少が懸念されているが、オホーツク海沿岸を流れる親潮は赤道地域で上昇する海水温の影響を受けず、引き続き豊かな水産資源を北海道にもたらすだろう。また、ヨーロッパに寒冷化をもたらすと言われているメキシコ湾流の変化も、以前記載したように日本への影響はほとんど無いと考えられる。
 海上資源で最も期待されるのは洋上風力発電だ。シベリアから日本海を通って北海道に吹く風は、強く、安定しており、巨大風車の海上ウインドファームは、日本全体の電力をまかなうだけのポテンシャルを有している。さらに、波の上下動を利用した波力発電も2020年にはその可能性が明らかになるだろう。陸上と洋上の風力発電、波力発電で、もたらされる膨大な再生可能エネルギーをいかに日本の主要エネルギーとして活用できるか。その成否は2020~2024年までに、強力な道内送電網と、本州と北海道をつなぐ北本連系がキャパシティを劇的に拡大できるかどうかにかかっている。
 海底資源では十勝沖のメタンハイドレートが脚光を浴びているが、CO2の26倍もの温室効果を持つメタンの採掘は予想外の被害をもたらす可能性もあり賛同できない。一方、かつて大陸と陸続きだった日本海の海底には希少資源や天然ガスが眠っている可能性があるのではないか。調査・試掘する意味は大いにあると思われる。天然ガスが産出している勇払原野とつながっている北海道太平洋沿岸部にも埋蔵の可能性はある。シェールガス採掘技術の革命的進化により、従来は手を付けることもなかった資源を活用できる可能性が出てきている。

 北海道の地理的な特徴および優位性は、今後成長が見込まれるニューノース地域と比較的近くに位置していることで、ロシア、カナダとの海上交易のハブになる可能性を有している。北極海の氷床融解が進んでおり、本年8月には海氷面積が史上最小となった。2020年の夏には北極海を通る航路も限られた時期ではあるが運航可能になるだろう。そうすると、優良な港湾を抱える北海道の優位性は大いに高まる。特に、シベリアや北極海近辺の氷床融解で採掘が本格化する天然ガスや希少金属は、船舶やパイプを通じて最も近い北海道の港湾で処理される可能性が高い。アラスカやカナダと北海道間の距離も、地図を見ると予想以上に近いことがわかる。
 2020~2024年には「世界規模の環境被害」が予想されているが、北海道は相対的に被害リスクが軽微な土地である。今後大型化する台風の襲来、海面上昇によるゼロ㍍地帯の水没、大規模な干ばつの発生、黄砂の襲来、水不足など、深刻な自然大災害が2020~2024年には発生頻度が高まることが予想される。その中で、北海道は被害を最小限に抑えることになるだろう。
 「世界規模の環境被害の5年間」で持続可能な生活を過ごすためには、どのような要件が備わっている必要があるだろうか。第1に災害リスクの発生する可能性が低いこと。第2に生活する上で最低限の条件である水と食料に恵まれていること。第3は産業の基本であるエネルギーに恵まれていること。そして、これら要件を基盤とした産業が広がることだろう。これにより、雇用を創出し生活を持続することが可能になる。
 本ブログを開始した5年前から、“風”(風力資源)”林“(森林資源)”水“(水資源)”菜“(食菜資源)を北海道の成長資源として取り上げてきた。
冬期間の積雪が水を固定化させ温かくなるとともに徐々に溶け、川となり地下帯水層に貯蓄される。世界を襲う大干ばつの中、北海道の地は豊かな水と70%を占める森林が農地を引き続き肥沃にし、農産物の収量も増加することが期待できるだろう。安全で美味しい豊かな北海道の水は頻発する世界や日本の気候変動や地殻変動による災害に〝命の水〟として貴重な資源となるだろう。
 風力発電、バイオマス発電、地熱発電など北海道が強みを持つ再生可能エネルギーは技術の進化により、大きく成長する可能性を持ち、幅広い関連産業を育てる。その電力は道内のみならず日本中、さらには一部のアジア諸国にも提供されることになろう。 

 北海道の将来に対し、このような楽観論を述べると、「北海道は過疎化、少子高齢化、人口・働き手の減少で日本の先頭を走っており、2035年には人口が441万人と2005年に比べ121万人も減少するという予測があるのではないか。現に、2005年から2010年の5年間で北海道の人口は2.1%減少している」と反論が噴出するだろう。

 面白い北海道の人口統計がある。終戦の1945年から1950年にかけて、北海道の人口は352万人から430万人と実に22.1%伸びている。戦地から帰った復員兵と第1次ベビーブームがその主因であることは間違いない。しかし、要因はこれだけだろうか。この間、日本全体の人口伸び率は16.5%だった。北海道は全国平均より5.6%も上回っている。北海道特有の社会増があったと考えるのが自然だろう。
 長きにわたった戦争で全国の農地は荒廃し、日本中が食糧難になり、農業従事者が豊かな大地を求めて北海道に移住したことも一因だろう。また、国家再建をかけて林業や炭鉱の振興に取り組んだ点も見逃せない。北海道に将来への希望をもって移住してきた人達も多かったろう。戦後復興に北海道が果たした役割は特筆されるべきだろう。

 1945年、壊滅的な打撃を受け、国や個人の財産の多くを失って以来、懸命な努力で日本は復興を果たし、40年を経た1980年代中盤には「世界一の経済大国」を目指すまでになった(1979年のジャパン・アズ・ナンバーワン)。しかし、1985年のプラザ合意で極端な円高となり失われた20年に突入し、リーマンブラザース破綻を機に広がった世界経済低迷と多額の政府債務で現在は極めて厳しい状態に置かれている。その上に、地球温暖化に起因する世界規模の自然災害は日本経済にも甚大な被害をもたらす懸念が高まっている。1985年から40年後の2025年が大変心配になる。
 「昭和史」を著した半藤一利は、明治の開国から日露戦争勝利までの40年、その後終戦までの40年を「国を創るのに40年、国を壊すのに40年」と40年史観を提唱した。半藤説をとると1985年の40年後にあたる2025年は新たな復興期の始まりの年になる。
 1945年の終戦は日本を廃墟にした。しかし2025年には日本のみならず多くの国が世界規模の環境被害と経済低迷で極めて困難な状況に遭遇していると思われる。
 しかし、「世界規模の環境被害の5年間」の中で、「なんとしても破滅的な状況を避けなければならない」との人類の叡智が働くはずだ。そのための技術も各国の協調体制の中で開発され始めるだろう。2025年は、世界再生に向かって動き始める年になるのではないか。
 そのような中、自然環境を維持し続けながら農業生産を増加させ、さらに再生可能エネルギーを大幅に拡大している北海道は、日本再生の中心的役割を担っているだろう。