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サスティナビリティ(143)
2020年~2024年 「世界規模の環境被害の5年間」(13)
更新日:2012年06月01日

    

 ところによっては2メートルを超える積雪に覆われていたゴルフ場の雪も4月中盤にはとけ、各コースとも美しいグリーンに整備されている。海外を含め道外からのプレーヤーも楽しんでおられ、北海道観光に大いに貢献しているのは嬉しい限りだ。道内のゴルフ場ではできるだけ早いオープンを迎えるため、融雪剤の散布が欠かせない。融雪剤をまくことで太陽熱を吸収しやすくし、積もった雪を早く融解することができる。
 地球環境問題でこの融雪剤と同じ効果が注目されている。太陽から降り注いだ光をどれだけ反射するかの割合はアルベドと呼ばれている。アルベドの割合は1から0で評価され、理論的には1に近い方が太陽光の反射が高い地点とされている。極地の氷山や氷河は太陽光をよく反射するためアルベトは大きい値になる。
北極の氷山は0.8と測定されている。反対に、森林など、植物が生育している場所はより太陽光を吸収するので小さい値になる。ただし、森林などでは葉の表面から水分が蒸発し、気化熱で温度を下げる効果がある。
 地球全体の平均アルベルトはほぼ0.3とされているが、氷山や氷床、さらには氷河などが減少してくると太陽光の吸収力が増え、アルベルトが低下してしまうことになる。そうなると、地球の気候システムに少なからず影響をもたらす。
 火山が吹き上げる粉塵、黄砂など砂漠からもたらされる砂塵、工場などの煤煙などが偏西風や貿易風に乗り極地や氷河に降り注ぐと、融雪剤と同じ効果でアルベドが低くなり、雪氷の融解を促進してしまう。さらに、表面の氷が溶け地表や海面が現れてくるとアルベドはさらに低くなり、太陽熱による融解は進み地球温暖化が加速されることになる。

 アルベルト効果と同時に、地球温暖化の最大の原因としてCO2の排出増加が指摘されている。今週(5月24日)国際エネルギー機関によって、2011年の世界で排出されたCO2の総量が発表された。
発表によると、昨年の排出量は前年比3.2%増で316トンに達している。2010年までの過去5年間の排出量増加が平均6トンであったのに対し、昨年は10トンも増加した。米国や欧州各国が減少する中で、中国が圧倒的に排出量を増やし、その増加量は7トンと前年比9%強にも及んでいる。中国・インドなどの新興国は高成長を維持するため、企業の生産活動を拡大、火力発電を増設、さらには自動車購入も急増中でCO2排出量が増えている。
 昨年末南アフリカ・ダーバンで開催されたCOP17(国連気候変動枠組条約締結国会議)では、京都議定書から日本、カナダ、ロシアが外れ、米国及び新興国も含めた新たな枠組条約についても2020年を目指すという曖昧な結論で、現在急速に進んでいるCO2増加を抑制することはほとんど期待できない。

 本ブログでは2020~2024年を「世界規模の環境被害の5年間」と位置づけている。果たして、この時期までにどのような変化があるのだろうか。IPCC(気候変動に関する政府間パネル)AR4(第4次報告書)は2002年から世界中の2000名を超える専門家によって研究が開始され、2007年からレポートが順次発表されている。レポートは現状と将来について極めて厳しい分析をしているが、それでも、2007年以降これほどまでのCO2排出を続けるとは想定外だったのではないだろうか。現実の排出量は予測より拡大を続けており、それを抑制する世界的な取り組みもほとんど進んでいない。
現在、IPCC AR5作成の準備が行われており、2014年にはレポートが発行される予定になっているが、その現状と将来予測はAR4に比べより一層厳しいものになっているのではないだろうか。
例えば
 ・CO2排出量は新興国を中心に2025年までは少なくとも増え続ける
 ・森林のCO2吸収は、アマゾン流域熱帯雨林の損失で大幅に減少する
 ・海洋のCO2吸収も、酸性度が高まり吸収力が大幅に減退し、逆に一部では排出に変化する
 ・温暖化の速度上昇とアルベド効果で、グリーンランドと南極西部の氷床が融解し、
  海水気温の上昇とあいまって海面上昇が2025年までに50センチ以上上昇する
 (AR4では今世紀中に18~59センチメートル)
 ・北極近辺の氷床・氷山融解で海水の塩分が薄くなり、熱帯海域からの暖流を海底に押し戻
  す力が弱まることにより海洋大循環が停止し、ヨーロッパ地域が温帯から亜寒帯
  もしくは寒帯に変化する
 ・北極海とシベリア・タイガの雪氷融解で、メタンハイドレートのメタンが噴出する
 ・砂漠化が想定以上に進み、耕作地の減少と共に砂塵が地球を覆うほどになる
 ・干ばつと洪水、およびハリケーンの頻発により耕作地が大被害を受け、極度の食糧難に
 ・赤道周辺の海面温度が上昇し、エルニーニョやラニーニャの発生頻度が高まると共にその
  規模が拡大する

 ここのところ、異常気象のニュースが相次いでいる。5月6日にはつくば地方で日本では記録的な竜巻が発生し、大きな被害が生じている。今週も、関東地方では猛烈な雷雨と突風が起こり、水害や落雷による火災をもたらしている。
 海外に目を転じると、記録的な異常気象の連発だ。ヨーロッパ東部では1月末から2月始めにかけて顕著な寒波が押し寄せ、ウクライナで130人以上、ポーランドやルーマニアで合わせて80人以上が亡くなっている。
反対に米国では3月の中頃、36州で最高気温を更新する熱波が発生した。昨年大洪水のあったタイでは今年に入りすでに豪雨に見舞われ、11人が死亡した。ブラジルではアマゾン川の水位が観測以来最高地点を越え、30メートルにも達している。反対に、ブラジル北東部の高地では過去50年で最悪とされる干ばつの被害が拡大している。一昨年のアマゾン川の水量は1963年以来の低水準だったこと比べると、あまりにも著しい変化に驚かされる。
オーストラリアのクイーンズランド州でも記録的な洪水が発生しており、インドではこれも記録的な寒波に見舞われている。
 これらは2012年になってからの異常気象だ。北半球ではこれから本格的な夏が訪れ、雨期に入るので、大洪水・大干ばつの発生が大いに気になるところだ。

 このような異常気象は過去にもあったが、これほどまでに頻発するのは今世紀に入ってからではないだろうか。その主要原因が地球温暖化であり、温暖化をもたらしているのが急速に増している人為起源の温室排出ガスのせいであろうと、多くの研究者が指摘している。そして、少なくとも2020年まで人類はこれを抑える本格的な取り組みを始めようとしていない。多分、2025年までも増え続けるだろう。

 2020~2024年にかけて「地球規模の環境被害」が高い確率で発生することは否定できないだろう。その被害の多くは子や孫、そして将来世代の負の資産として彼らにかぶさっていく。
 我々がしなければならないのは、再生可能エネルギーを始めとしたCO2低排出量のエネルギーの開発と利用、自動車の排出ガス抑制の為に不用な自家用車の利用をやめるか超低燃費車の利用、排出ガス吸収のための森林整備、バイオマスエネルギーの開発と利用、節電の徹底、家の耐熱性の向上などではないだろうか。
 これら全ての分野で北海道は優位な立場にある。
 今夏の原子力発電停止による節電は将来に向けた格好の機会と捉えたい。日本にのみ与えられたこの機会をぜひ前向きに捉えて節電に努力すべきではないだろうか。

 IPCC議長のパチャウリ氏は以下のメッセージを、AR4発表時に述べている。
「もう疑っているときではない、我々を取り巻く気候システムの温暖化は明確であり、人類の活動が直接的に関与している。現在進行している地球温暖化の動きを遅らせ、さらには逆転させることは、我々世代のみが可能な挑戦である」