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サスティナビリティ(140)
2020年~2024年 「世界規模の環境被害の5年間」(10)
更新日:2012年04月17日

    

 寒さはもう終わりだろうと思いながら3週間が過ぎてしまった。しかし厳冬も着実に終わりつつあり、4月10日は最高気温が今年初めて10度を超えた。札幌にもようやく春が訪れたようだ。この日、爽やかな朝だったのでいつもより早めに家を出て、会社まで歩くことにした。北3条通りのマロニエ並木から北1条の近代美術館前・知事公館前を通り、大通公園から創成川公園を歩く約4キロ。1時間の徒歩通勤である。雪像作りのため大量に大通公園に運ばれた雪も残り少なくなり、周辺の芝生が緑に芽生えている。バラの芽もわずかに赤みを見せていた。一気に春が萌え出す様子が感じ取れる。久しぶりに爽やかな気持ちになったので、この日以来毎日徒歩通勤している。閉塞感の漂う我が国の政治や世界の経済ではあるが、こちらにも春が訪れて欲しいと願うばかりだ。

 「世界規模の環境被害の5年間」として、これまで9回にわたり2020年から2024年の間に大規模化の可能性のある自然災害をみてきた。東海・東南海・南海での地震の同時発生・東京都の直下型地震・高さ40メートルの津波など、連日のように大災害が近年中に発生するとの予測が新聞や週刊誌を賑わしているが、当ブログでは地球そのものの脅威については触れてこなかった。あくまでも人為起源(人類がもたらした)災害のみを取り上げている。人間の叡智が生かされるならば、地震・津波以外の災害は少なくとも軽減されるだろうとの思いからである。
 しかしながら、人為起源による大災害の危険は増すばかりである。大気中のCO2の増加、森林伐採による温暖化の加速は干ばつ・洪水・高潮・大気汚染をもたらし、地球や人類の持続性(サステイナビリティ)に取り返しのつかない影響をもたらす。
 以前に触れたが、昨年ダーバンで開催されたIPCCでは、少なくとも2019年までは世界各国が協調した上で削減目標を明確にするというようなCO2削減合意はなされなかった。と言うことは、2019年までは大胆なCO2削減は期待できず、大気中に増加し続けることになる。2020年はまさに、人為起源によるCO2が最大化する年になる。世界的な対応が採られなければ、その後も増加し続けるだろう。2020年は、地球温暖化が悪化するか踏みとどまるかの転換点になる。

 地球環境と同様に、我々の子や孫に大きなハンディキャップを背負わせることになるのが財政の持続性だ。日本の財政と経常収支の分野においても2020年が大きな節目の年になる可能性が高い。
 財政危機にある南欧のギリシャ・スペイン・ポルトガルでは若者の失業率が50%を超えており、景気回復と言われている米国でも実質失業率は10%。若者は”We are 99%”と叫び、わずか1%の富裕層との所得格差と高い失業率の改善を訴えている。輸出を中心に経済が好調と言われる韓国でも特定の産業以外は深刻であり、ウォン安による輸入商品の物価高で苦しんでいる。当然、社会保障については多くの国がインフレの上に財政難で、支給額の減少や支給年の延期が続いている。

 では日本の場合はどうなるのだろうか。「社会保障と税の一体化改革」が叫ばれ続けているが、なかなか思うようには進んでおらず、不安感と閉塞感が漂うだけだ。
 先日、インターネットで「リアルタイム財政赤字カウンター」なるものを見てみた。秒単位で現在の財政赤字の数値が変化していく。驚くことに1、2分で億単位の赤字が増えていく。このカウンターによると4月14日午後1時現在で、政府短期証券を含む総借入金が国レベルで1200兆4500億円、国および地方の長期債務残高が904兆2300億円、国のみの長期債権が704兆2000億円だった。億単位でどんどん増えていくのを見るとぞっとする。
 本屋に行くと、棚一杯に「日本の財政」問題に関する本が並んでいる。私も20冊を超える書籍や経済誌を読んだが、「数年中に日本は破綻」論から「日本の財政に懸念はいらず」論まで、学者やエコノミストと称する著者が統計数値や事例を基にそれぞれの論陣を張っている。一体どの経済学者やアナリストの説を信じればいいのだろうかと戸惑うばかりだ。

 財政懸念が高まれば、日本国債の格付けは大きく落ち込み、現在1%前後の利回りが2%になり、銀行も保有国債の価値低下で資産評価が大きく目減りする。長期国債の金利上昇は貸出金利の上昇になり、企業は資金調達に苦慮しなければならない。物価は上昇し、インフレ(場合によってはハイパーインフレ)をもたらす。新規国債の発行が困難になると年金や健康保険等の社会保障の財政が危機に瀕することとなり、国民生活への影響は甚大なものとなる。

 GDP比率で200%と世界でも最も負債比率が高い日本が低金利で国債が発行し消化できるのは、国債の国内保有率が94%もあり、また日本の総資産が総負債を上回っているからだと言われている。
その内容はどうなっているのだろうか。日本の負債は家計、金融機関を除いた民間企業、それに一般政府を合わせて2,466兆円。日本の資産は合計で2,746兆円である。差し引きすると2011年末時点で、わずか280兆円であるが資産が多い。毎年44兆円の国債を発行しても今後5、6年の間は大丈夫という計算になる。閣議決定された消費税増税法案が国会を通っても、2020年がその限界になるのではないだろうか。将来世代を苦しめる第2の2020年問題だ。

 一方、経常収支の赤字懸念について見てみよう。2011年度は原発停止で火力発電への電力源移行による化石燃料輸入の大幅増加や震災・タイ洪水によるサプライチェーン破綻で自動車を中心とする輸出減少で、48年ぶりに輸入超過で貿易赤字になった。
 2011年度の鉱物性燃料の輸入は21.9兆円で、前年比25.44%もアップした。今後貿易赤字が増加し、経常収支も赤字になるのではないかという懸念が持ち上がっている。経常収支は貿易収支(輸出入の差額)、サービス収支(輸送や旅行費用、特許使用料)、所得収支(海外資産からの利子収入)、経常移転収支(海外への資金援助など)からなっている。2011年は9.6兆円の経常黒字で、その中で14兆円の所得収支が黒字に大きく貢献している。一部経済アナリストは、経常収支が赤字に転落するのは2014年~2015年ではないかとしているが、平均的には2020年といわれている。第3の2020年問題であり、日本の国力を低下させ将来世代を苦しめる要因のひとつだ。

 経常収支は見方を変えると、国全体の貯蓄と投資のバランスになる。すなわち、前段で取り上げた日本の国と民間による貯蓄と資産の差(赤字・黒字)が、見方によっては国の対外取引である経常収支の赤字・黒字と同じとなる。いずれも大方のアナリストの見方では2020年に転換期(黒字から赤字)が訪れると予測している。さて、日本経済のサステイナビリティは大丈夫なのだろうか。子や孫に多大な負担をかけることにならないだろうか。

次号より、将来世代にも持続的な生活を享受してもらうため、今我々が取り組むべき事項を考えてみる。