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サスティナビリティ150
連載を終えるにあたって(あとがき)
更新日:2012年10月02日

    

 「2025年」と題して本ブログ上で連載を開始したのが昨年(2011年)1月。当初は数回の連載のはずがすでに40回を超え、印刷するとA4で120頁にもなってしまった。そろそろ新しいテーマに取り組まなければならないので、今回で「2025年」は終了したい。

 「2025年」の世界、日本、そして北海道を予測してみようと思ったのは半藤一利氏の「40年史観」に共鳴したからである。「昭和史」で半藤氏は「1986年(鎖国から朝廷が開国を宣言)から国造りを始めて1905年(日露戦争勝利の年)に完成した。その国を40年後の1945年(太平洋戦争終戦)に又滅ぼしてしまう。国を造るのに40年、国を滅ぼすのに40年という、そういう結果を生んだのです」と書いている。
 1945年から40年後の1985年プラザ合意が成立する直前まで、日本は戦後復興を経て経済は躍進し絶頂期にあった。しかし、プラザ合意後の急激な円高や新興国の躍進もあり、世界経済のうねりの中、日本は「失われた20年」が続いている。果たして1985年から40年後の2025年、世界、日本、北海道はどうなっているのだろうか。文献や調査資料、さらには私自身の経験を加え、過去および現時点の事実を基にして13年後を予想してみたいという大それた思いがわいてきた。子供や孫、そして将来世代が地球の恵みを引き続き享受し、幸せな生活を送ることができるのだろうかという不安感がそうさせた側面もある。
 予測をするに際して、金融市場主義がもたらしたいびつな世界経済は今後どのように推移するのだろうか、2025年に80億人を超えると予想される世界人口に対し、食料やエネルギーなど地球資源が充分に供給されるのだろうか。地球温暖化に起因する気候変動が各地域にどのような影響を及ぼすのだろうか。これらの視点から見てきた。
 また、5年ごとに分けて見てみることにし、その概要を2011年3月1日のブログに掲載した。
第1段階が10年から14年、第2段階が15年から19年、第3段階を20年から24年のそれぞれ5年間としてみた。第1段階を「日本はさらなる失なわれた5年間へ」、第2段階を「世界的経済混迷の5年間」、第3段階を「世界的規模の環境被害の5年間」、そして25年から「人類の叡智が地球再生に向かう」としてみた。その時点での各5年間の前提は以下のようなものだった

第1段階(11年-15年):日本はさらなる失われた5年間へ
  足元の日本経済は、長く続いた低迷から上向きになりそうな気配である。東証上場企業の11年3月通期の経常利益がリーマンショック後の08年の73%程度まで回復しており、日銀も「鈍化から脱却しつつある」と景気判断を上方修正している。ただ、はたして日本経済は今後の5年間順調に推移するのだろうか。
  現在の景気回復基調は新興国の急速な経済拡大と、QE2(米国の第2次量的緩和策)で大量のドルが世界市場に流入しているのが原因であると言われている。この2つが継続するかどうかについては疑問符がつく。
  中国を中心とした新興国経済もインフレ率、失業率、ジニ指数(所得格差)が拡大しており、さらに人民元の引き上げで今までのような一直線の経済成長は期待できないと思われる。北アフリカ・中東地域では食料の高騰と所得格差拡大により、相次いで動乱が発生しており、石油危機の様相を呈している。この点も、非常に気がかりだ。
  日本では、政治の混迷が今後5年間における最大の低迷要因だ。おそらく2度の衆議院選挙、2度の参議院選挙が終わるまで安定的な政権はできていないだろう。成長戦略、EPA/TPPによる市場開放戦略、税と社会保障に関する抜本的な改革案は仮に国会を通ったとしても、それらの政策がこの5年間で実現されるのは厳しいだろう。
  国や地方の債務合計は15年にはGDPの200%を超え、個人貯蓄や企業の余剰資金の合計に近づき、格付け会社は日本国債の評価をさらに引き下げる可能性が大である。
  昨年11月、メキシコのカンクーンで開催されたCOP16(第16回国連気候変動枠組み条約)は、先進国と新興国間の前向きな合意が結ばれることなく閉幕した。15年までに参加各国が温暖化阻止に向け、地球規模の対策を取れるのかについては、見通しが暗いと言わざるを得ない。そうこうしている内に、農産物や鉱物資源の不足が顕著になってきている。このままの状態が続けば異常気象が各地で多発し、食料を含めた資源問題が危機化するのは間違いないだろう。
  ただ、12年には米国・ロシアで大統領選挙、中国の国家主席交代があり、新しい政策を見守るという面で、13年までは世界経済に極端な変化はないと思われる。また、日本企業の円高対応力は増しており、新興国の経済も政治的混乱はあるものの中間層の生活改善が順次進むと見られる。日本経済そのものは1-2%のGDP成長で推移するのではないだろうか。日本経済には力強い回復はなく、低迷の時期が続くだろう。

第2段階(16年-20年):世界的経済混迷の5年間
  2桁に近い成長を続けた中国では、都市と地方の所得格差がさらに広がり、就職先の見つからない若者たちの怒りが爆発し、これが契機になって不動産バブルが崩壊する。
  また、欧州中央銀行が必死になって防いでいるが、南欧のEU加盟諸国がIMF管理下に置かれる可能性が高い。これら諸国を支援していた独やフランスも、国民の「なんで〝働かない国〟を助けるのか」という怒号の中で、これ以上の支援は続けることを断念し、これによりEUは崩壊の危機に瀕することも想定される。
  世界人口の大幅な増加と中流化により、食料と資源価格が暴騰し、地域間格差・所得格差により世界各地で暴動が多発し、難民が発生する。自然災害の頻発がこれに拍車をかける。
  日本では、15年頃にようやく安定政権が誕生し、債務水準の改善と成長戦略の着手に取りかかるであろう。その時点では国・地方自治体の債務総額がGDPのゆうに2倍を超え、国民貯蓄資産を上回る。これを契機に金利上昇、国債の価値低下、為替レートの円安で大幅なインフレとなる危険性が生じる。危機に直面し、日本もようやく抜本的な改革が国民の総意として開始されるだろう。
  地球温暖化防止の取り組みが先延ばしされてきた結果として、20年を前に自然災害が多発するようになる。おくればせながら、温暖化防止の施策が世界的に実施されることになり、その中で、日本の環境関連技術が世界的に導入され始め、北海道でも、環境関連ビジネスが拡大していく。

第3段階(20年-25年):世界規模の環境被害の5年間
  20年までに上昇を産業革命時点から2℃以内に抑えるとした地球気温は、対策の遅れで結局3℃の上昇となり、危惧されたティッピングポイント(地球を破滅に追い込む自然災害に至る転換点)の一部が危険水域に達することになる。さらに、日本では関東直下型地震、東南海・東海・南海地震のいずれかが発生する可能性が高い。
  ただ、人類の叡智と20年以前に研究・開発された環境技術の普及により、最悪の事態は回避し、25年を迎える前に世界経済は一部回復基調に入る。化石燃料依存から早期に脱却した日本は海洋国の利点も生かし新たな成長に向け、世界をリードすることになる。

このブログを発行した直後に東日本大震災が発生し、自然の猛威を目の当たりにした。大震災を機にエネルギーの見直しや災害対策、さらには日本人のライフスタイルに変化が生じた。
世界経済では中国の低迷が始まり、EUの混迷はさらに深まり、米国も数度の景気対策の効果は限定的でバランスシート不況から脱していない。
 日本も世界経済の低迷の影響から輸出が伸びず、さらに韓国を含めた新興国の追い上げに苦慮しており、失われた20年のまっただ中だ。
 国際協調による温暖化ガス排出抑制策も全く機能しておらず、温暖化は歯止めがかからない状態が続いている。北極海やグリーンランドの氷床は歴史的な速度で融解が進んでおり、世界の平均気温上昇も止まる気配がない。この影響で、ここ1年間でも米国中西部やロシアの大干ばつ、欧州の気温低下、タイを始めとした東南アジアの大洪水など、かつてない頻度と規模での自然災害が発生した。異常気象による食料の不足と価格上昇により、世界各地で動乱が起こる可能性が高くなっている。
 社会面でも、ジニ係数(貧富の格差指数)が上昇を続けており、格差是正を求めて世界各地でデモが頻発している。大規模な動乱に発展すると世界の社会・経済に多大な影響をもたらすだろう。
 2010年から2025年までの概要は当初想定を大きく修正することなく推移すると思わなければならない。さまざまな悲劇と苦境と辛苦を経験する中、人類の叡智は温暖化防止、エネルギー源の見直し、食料や水資源の最適化、新たな産業を誘発する技術開発に積極的に向けられるだろう。そうすることによって、2025年からは世界、日本、北海道で新たな人類の努力が力強く開始されることを期待したい。
 そのような中、北海道は〝風〟〝林〟〝水〟〝菜〟の資源でいち早く再生し、日本のみならず世界から羨望の目でみられる地域になっているはずだ。

 今回で「2025年」の連載を終了するが、次回移行の構想を練るため少々時間を頂戴したい。
 その間、42回にわたるブログのバックナンバーを読み直していただければ幸いです。

バックナンバー
「2025年」 1 2011年 1月 :始めに
「2025年」2  2011年 2月 :「昭和史」半藤一利氏の「40年史観」
「2025年」3  2011年 2月 :プラザ合意後の為替レート
「2025年」4  2011年 3月 :2025年までを3段階に分けた概観
「2025年」5  2011年 3月 :「日本は更なる失われた5年間」 円高を考える
「2025年」6  2011年 4月 :「日本は更なる失われた5年間」 東日本大震災
「2025年」7  2011年 4月 :「日本は更なる失われた5年間」 ミゼリー指数
「2025年」8  2011年 5月 :「日本は更なる失われた5年間」 地球温暖化の予想
「2025年」9  2011年 5月 :「日本は更なる失われた5年間」 北海道の風力資源-1
「2005年」10 2011年 6月 :「日本は更なる失われた5年間」 北海道の風力資源-2
「2005年」11 2011年 6月 :「日本は更なる失われた5年間」 新しい生活スタイル
「2005年」12 2011年 7月 :「世界的経済混迷の5年間」 2015~2019年の概観
「2025年」13 2011年 7月 :「世界的経済混迷の5年間」 米国の抱える課題
「2025年」14 2011年 8月 :「世界的経済混迷の5年間」 中国の抱える課題
「2025年」15 2011年 8月 :「世界的経済混迷の5年間」 EUの抱える課題
「2025年」16 2011年 9月 :「世界的経済混迷の5年間」 日本経済の実力-1
「2025年」17 2011年 9月 :「世界的経済混迷の5年間」 日本経済の実力-2
「2025年」18 2011年 10月 :「世界経済混迷の5年間」 北海道の風力発電
「2025年」19 2011年 10月 :「世界経済混迷の5年間」 北海道の森林資源
「2025年」20 2011年 11月 :「世界経済混迷の5年間」 北海道の水資源
「2025年」21 2011年 11月 :「世界経済混迷の5年間」 北海道の農産資源
「2025年」22 2011年 12月 :「世界規模の環境被害」 COP17と京都議定書
「2025年」23 2011年 12月 :「世界規模の環境被害」 ソニー・東京都の温暖化対策
「2025年」24 2012年 1月 :「世界規模の環境被害」 新たな年に向けて
「2025年」25 2012年 1月 :「世界規模の環境被害」 地球温暖化への警告
「2025年」26 2012年 2月 :「世界規模の環境被害」 アフリカ・サヘル地区の砂塵
「2025年」27 2012年 2月 :「世界規模の環境被害」 メキシコ湾流の変化
「2025年」28 2012年 3月 :「地球規模の環境被害」 海面上昇のもたらす被害
「2025年」29 2012年 3月 :「地球規模の環境被害」 コミュニテイパワー会議参加
「2025年」30 2012年 4月 :「地球規模の環境被害」 黄砂のもたらす環境汚染
「2025年」31 2012年 4月 :「地球規模の環境被害」 日本経済の持続性
「2025年」32 2012年 5月 :「地球規模の環境被害」 日本のエネルギー資源
「2025年」33 2012年 5月 :「地球規模の環境被害」 日本のガソリン価格と円高
「2025年」34 2012年 6月 :「地球規模の環境被害」 アルベルト効果と氷床融解
「2025年」35 2012年 6月 :「地球規模の環境被害」 2050年の世界地図と北海道
「2025年」36 2012年 7月 :「地球規模の環境被害」 2050年の世界地図(続)
「2025年」37 2012年 7月 :「地球規模の環境被害」 北緯43度:トロントと札幌
「2025年」38 2012年 8月 :「地球規模の環境被害」 エネルギー選択会議の議論
「2025年」39 2012年 8月 :まとめ:2025年の地球規模の危機回避に向けて
「2025年」40 2012年 9月 :まとめ:自然災害に対する日本の抵抗力
「2025年」41 2012年 9月 :まとめ:北海道の可能性 
「2025年」42 2012年 9月 :あとがき