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サスティナビリティ(109)
環境問題:2010年を振り返って(2)
更新日:2011年01月05日

    

 明けましておめでとうございます。2011年が皆様にとって幸多い年になることを願っております。
 2011年はどのような年になるのでしょうか。昨年末から正月にかけて経済誌・新聞各紙は「2011年大予測」、「2011年総予測」などのタイトルで数十ページにわたる特集を組んでいる。その多くに目を通したが、政治・経済・社会・国際からスポーツ・芸能に至る広範囲にわたって内外の専門家が健筆をふるっており、いずれも大変興味深く読まさせてもらった。しかし、ふと感じたのは、これら大予測は「地球」という舞台の上で繰り広げられるものであり、その舞台の変化や見通しについてはほとんど触れられていないことである。もちろん、気候変動については多数の要因が絡んでおり簡単に予測できるものではないが、少なくとも過去10年における世界の異常な気温上昇、CO2濃度の変化、そして具体的現象としての干ばつ、猛暑、豪雨、森林火災、海水面の上昇などが発生しており、これらをリスク要素として組み込んで予測しなければならないのではないか。
 今冬で気になったのは、欧州や米国東海岸を襲っている100年来の寒波である。空港はクリスマス帰郷の人達で溢れかえり、道路も自動車が走れるような状態ではない。しかしテレビ画面を見ると、新千歳空港程度の雪であり、道路も北海道の高速道路の状況と大きく違うようには見えない。考えてみると、札幌市の緯度は北緯43度であるのに対し、イギリスは国土のほとんどが北緯50度と60度の間で、ドイツもほぼ同じである。北海道と同じ緯度なのはフランスや南部を除いたイタリア。ミュンヘン・サッポロ・ミルウォーキーと言われているが、ミルウォーキーは札幌とほぼ同じ緯度に位置するのに対し、独のミュンヘンは北緯48度。札幌や北海道よりもはるか北に位置する主要ヨーロッパ諸国が温暖な気候に恵まれているのはメキシコ湾流から運ばれる暖流のおかげである。
 気象専門家は今冬のヨーロッパを襲っている異常気象を北極振動や海水温が引き金になっていると指摘しているが、もし、メキシコ湾流が異常をきたしているとしたら大問題だ。メキシコ湾流は熱帯地域で暖められた海水をグリーンランド近くまで運び、再び熱帯海域に戻す循環を繰り返している。そのエンジンとなっているのが、北極近くで冷やされた塩分濃度の高い海水が一挙に海底近くまで沈み込む力だ。その勢いで海洋が大循環している。今年、グリーンランドの気温は平年を5.2℃も上回ったと発表されている。ニューヨークマンハッタン島と同じ大きさの氷床が大西洋に流れ出したとも報道されている。グリーンランドを含めた北極地域での氷床・氷河の溶解は想像を超えるものではなかったのだろうか。大量に溶解した氷床は軟水であり、塩分が濃い海水に比べると海底に沈み込む勢いがきわめて弱く、海洋循環が弱まる危険性がある。そうすると、メキシコ暖流の恩恵を被っていたヨーロッパ主要国に影響を及ぼすことになる。また、熱帯海域の海水温はさらに高まっていく。
 もしこのような現象が実際に起こった(起こっている)としたならば、欧州経済に多大なマイナスインパクトを及ぼすことになる。ただでさえPIIGS(ポルトガル、アイルランド、イタリア、ギリシャ、スペイン)各国の経済破綻が懸念されているのに、異常気象がこれら各国の農産物の生産や観光産業に追い打ちをかけ、さらにこれらの国を支える独などの主要国に打撃を与えたならば世界経済は停滞せざるを得なくなるだろう。
 メキシコ湾流の変化についてはまだ専門家からの調査報告はない。しかし、ここ数年、想定していなかった異常気象が地球上で発生し、結果として政治・経済・社会に大きく影響をもたらしていることを思えば、気候変動リスクを加味しなければ「大予想」も机上のものでしかなくなる。人間の全ての活動は地球上でなされているということを今一度思い起こす必要があるだろう。