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サスティナビリティ(108)
環境問題:2010年を振り返って(1)
更新日:2010年12月20日

    

 異常気象に見舞われた2010年も終わろうとしている。サステイナビリティ(地球環境の維持)の観点から、この1年間はどのような年だったのだろうか。この夏、札幌でも30℃を越す真夏日が続き、35℃以上の猛暑日も何日か経験した。関東・関西地区の気温は異常を通り越して「人間の住める環境なのか」と辟易するほどで、熱中症、ゲリラ豪雨の襲来、竜巻の発生と多くの被害をもたらした。世界的に見ても、欧州やロシアでは記録的な猛暑、中国やパキスタンでは豪雨、南米では反対に寒波に見舞われた。ロシアでは干ばつで作付面積の25%が壊滅し、タイや中国などの米作地帯でも土石流や豪雨の大被害をこうむった。

 今年1年を象徴的に表す漢字として「暑」が選ばれた。暑は今年だけなのだろうか。米国宇宙局(NASA)は、本年10月末までの平均世界気温は1880年以降で最高になったと発表した。11月、12月を加えた2010年を通しても過去最高になる可能性がきわめて高いとのことである。偏西風の蛇行やエルニーニョのせいだと専門家は分析しているが、根底では地球温暖化が影響していると見られている。エルニーニョが今年春に消滅すると、今度はその反動でラニーニャ現象が現れている。ラニーニャは夏の猛暑と冬の寒波を西日本中心にもたらすこととなり、異常気象はしばらく続くことになるだろう。

 今年だけ突出した異常気象なのかというとそうでもないようだ。本年1月21日に発表された同じNASAの調査によると、09年の世界平均気温は、調査が開始された1880年以降で2番目の高さだったとのことである。昨年と今年で、世界の気温は史上1位と3位を占めることになり、地球温暖化は急速に進んでいるとみなければならない。09年は1951年-1980年の平均気温に比べて0.57℃高かったとNASAは報告している。10年度の気温は限りなく1度上昇に近づくのではないだろうか。実際、本年7月の北半球中緯度地域の気温は過去20年の平均に比べ1度上昇したと伝えられる。異常気象が異常でなく、常態化していると見なければならない。気温上昇のスピードが加速化されており、ここ10年間の上昇は過去のどの期間よりも高くなっている。恐ろしいのは産業革命が始まった時点の平均気温から2℃高まった時だ。以前連載したティッピングポイント(地球を破滅に導く転換点)に至る危険性が拡大する。穀倉地帯での干魃、北極・南極・ヒマラヤの氷山融解による海面上昇と海洋循環の変化、海面気温上昇による台風やハリケーンの多発、砂漠化の拡大による耕作地の減少と黄砂の襲来等々、地球や人類を脅かす現象が次々と発生する可能性が高くなる。

 異常気象をもたらすCO2排出抑制に対し、10年にはどのような取り組みが行われたのだろうか。メキシコのカンクンで地球温暖化対策を話し合うCOP16(国連気候変動枠組条約第16回締約国会議)が開催されたが、先進国と新興国間の軋轢や中国・米国の抵抗によってほとんど何の解決策も見いだせなかった。明年南アフリカで開催されるCOP17まで多くの解決策が持ち越されることになった。カンクンは以前行ったことがある。カリブ海に面した避暑地で、透明な海の美しさが印象的な場所である。この海の青さはいつまで続くのだろうか。現地ではよくアスタ・マニュアーナという言葉を耳にした。「また逢いましょう」「明日になれば」と言う意味だが、どうも“マニュアーナ現象”があらゆる場面で見受けられていると感じるのは私のみではないだろう。問題の先送りやその場限りの対応はサステイナビリティ(将来に向けての持続的努力)とは全く反対側に位置するものだ。1997年に京都市で開かれたCOP3で京都議定書が採択され、日本やEUなどの条約締結国では2008年から規定に沿った削減努力を実施しているが、その期限は12年で13年からは新たな枠組みを始めなければならない。アスタ・マニュアーナ的先送りで、果たして20年までに世界の気温上昇を産業革命時点から2℃以内に抑えるというぎりぎりの目標は実現することができるのだろうか。

 09年はリーマンショックによる景気の落ち込みで生産活動が大幅に下がり、我が国のCO2排出総量は1990年対比1.5%増程度にとどまった。しかし本年は工業生産がリーマン以前の70-80%までに回復し、生産活動によるCO2が増加したとみられる。また、猛暑でエアコン利用が高まったこともあり、京都議定書削減約束(90年比6%減)には遠く及ばなかったのではないだろうか。本年目立った施策としては、エコカー減税、家電エコポイント、エコ住宅ポイント、太陽光パネルの設置推進などがあるが、いずれも業界支援の色合いが濃くCO2削減に大きく寄与したとは思われない。
 風力、地熱、バイオを中心とした再生可能エネルギーの積極的推進や、森林整備によるCO2吸収量の拡大について確かな手が打たれただろうか。
 2011年は、これらの分野で北海道が活躍し脚光を浴びる年にしたいものだ。