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サスティナビリティ(34)
環境モデル都市下川町を訪問-(3:補足)
更新日:2008年09月30日

    

「木をしゃぶる」:豊かな森林資源を“とことん”活用しようとするのが安斎町長を先頭とした下川町の取り組みである。その中核となるバイオマスの多面的な利用が今脚光を浴びている。バイオマスとはバイオ(生物資源)とマス(量)の合成語で、「再生可能な生物由来の有機性物質で、化石燃料を除いたもの(田中勝鳥取環境大学教授、岡山大学名誉教授)」といわれている。植物はその成長過程で光合成により大気のCO2を吸収する。したがって、燃焼してもCO2の発生はプラス/マイナスゼロとカウントされる(カーボンニュートラル)。一方的にCO2を発生する化石燃料とは異なり、地球環境にやさしい資源として見直されている。バイオマスには家畜排出物や食品残渣(さ)などの廃棄物系バイオマス、稲わらやもみがらなどの未利用バイオマス、今話題になっているトウモロコシやサトウキビなどの資源作物バイオマス、そして木質系バイオマスがある。
 この中で木質系バイオマスの再利用は進んでいない。間伐材や林地残材は年間370万トンもあるにもかかわらず、今までその僅かの量が紙用に使われているのみだった。しかし、化石燃料(特に電力用石炭)の高騰とCO2削減効果で、燃料用チップやペレットなどの木質バイオマスが見直されつつある。最近のニュースでは三井造船千葉事業所、旭化成グル-プ、東京ガス、関西電力等で石炭との混焼による利用が開始されている。山形県村山市では木質チップを蒸し焼きにし、発生したガスで発電しており、余剰電力を電力会社に売電しているとのことだ。
木質バイオマスエネルギーは、高騰する石炭などの化石燃料と比較し、その相対価格は下がっている。売電の収入、クリーン電力証書によるCO2排出軽減に対する資金供給を考慮すると採算が見合いつつある。さらに、民有林の間伐による森林整備に国や地方公共団体からの支援、加えてCO2削減に貢献するとして排出権取引の対象となれば、木質バイオマス産業は十分に成り立つ。雇用も創出できるのではないだろうか。

 バイオマスの活用として次に挙げられるのが石油代替のエタノール化。米国では全エネルギーの4-5%がバイオエタノールである。ところがその原料が食料と競合するトウモロコシであることで論議を呼んでいる。ブラジルでは原料がサトウキビで、ここでは森林の乱伐や農地転用に非難が集まっている。この問題を解決すると見られているのが未利用バイオマスの稲わら・麦わら・もみがらである。これら未利用バイオマスの一部は肥料・飼料・家畜の敷材として使われているが、70%はそのまま農地にすき込まれている。その量およそ900万トンということであるからもったいない気がする。今後ますます重要度が増し、農作物の増収が期待される北海道では、未使用バイオマスは隠れた資源といえるだろう。下川町ではヤナギからエタノールを生成する取り組みがおこなわれているが、その成功は未使用バイオマスからローコストで大量に代替エネルギーを採取する上で大いに参考になるだろう。期待してその推移を見守りたい。

 さらに、廃棄される紙、家畜排泄物、食品廃棄物などもバイオマスである。日本はカロリー換算で自給率は40%であるにもかかわらず、輸入食品の70%程度に相当する2,200万トンもの食品廃棄物を出しており、その80%が焼却・埋め立て処理されている。家畜排泄物は90%が堆肥(たいひ)として使われているが、その利用にも過剰感が出ているとの話も耳にする。これらの廃棄物の利用としては、バイオ処理して肥料やペレット加工したり、発生するメタンを利用したバイオガス発電に使う道がある。6月に訪問したウォルマート・ダラス・マッケニー店(エコ実験店)では、自社処理した廃棄物を肥料にして店で販売しており、ドイツでは3,700施設強のバイオガスプラントで年間640万MWHの電力を発電している。このように考えると、日本では膨大な資源(廃棄バイオマス)を無駄にしている。これら廃棄物を見直す時期にきているのではないだろうか。

 ある調査によると、光合成によって生産されている地球上のバイオマス資源は、エネルギー換算で世界消費の10倍以上とのことだ。太陽光と同じく膨大な再生可能エネルギー源を我々はほとんど手つかずのままにしている。

 下川町は多面的にバイオマスの活用を進めており、それを振興策として町を挙げて推進している。下川町に続く市町村が次々に出るとともに、北海道が一体となってバイオマス利用、ひいては環境産業に取り組むことが今求められているのではないだろうか。