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サスティナビリティ(52)
流通業の環境対応(セブン&アイ・ホールディングス)
更新日:2009年04月20日

    

 3月4日に開催された日本経済新聞主宰「リテイルテック・ジャパン25周年記念 環境問題シンポジュームで、セブン&アイ・ホールディングス常務執行役員CSR総括委員会委員長の稲岡稔氏が3番目に登場し、同社の環境問題対応について話された。同氏は、年商5兆8千億円、連結従業員15万人のわが国最大流通グループで、環境問題を中心となって推進されている。
 「北海道洞爺湖サミットをピークにCO2削減が叫ばれ、環境問題はメディアの最大関心事であった。しかし、昨年のリーマンブラザーズの破綻を契機として国際的経済危機が一挙に広がり、環境問題に対する景観が変わってきた。急速なグローバライゼーション、大きな情報格差と情報の偏在、抑止力を失った利益至上の信用創造、さらにはウォール街の巨額の富と極端な格差社会が、負の側面として噴出してきた。これは、国や企業が社会的責任を果たしてこなかったか、もしくは適切な規制が機能しなかったせいであろう。セブン&アイ・ホールディングスでは、環境問題をISOが企画提案した“SR:社会的責任”の枠組みのなかに位置すべきものと捉えている」このように稲岡氏は環境問題に関する同社の理念を説明した。
 「一方、オバマ大統領の登場で、新たな変化が起きようとしている。“Yes we can”にはアメリカの本来の姿を取り戻したいというメッセージが込められており、就任演説における“世代から世代へと引き継がれてきたすべての人が平等で自由であるという神からの約束を次の世代に引き継ぐ時がきた”という個所にはサステイナビリティの思いがこもっている。今、個別的“環境問題”が噴出しているが、われわれセブン&アイ・ホールディングスでは、企業理念から考える環境問題を取り組んでいきたい。それは、人類が“環境”と調和し、子孫まで持続的に“生きる幸せ”を求めることだと理解している」
 同社では環境問題に対する基本的考え方を次のように設定している。まず、全員が環境問題について真剣に考えることであり、それは特定の分野や課題に偏ることなく包括的に考えることで、理念をきちんと制度化することである。さらに、顧客のニーズを地域別・店別に把握することであるとしている。その上で、①お客様の安全・安心②事業活動の全て(商品の場合、原料・製造・輸送・販売・排気)に環境への配慮を組み込む③CO2の削減を重点項目とし、現在全社を挙げて取り組んでいる‐とのことである。
 「食の安全・安心」の分野では、2006年ころから食品偽造や産地の意図的詐称表示が相次ぎ、また中国製加工食品の残留農薬問題が表面化し、不安感や不信感が噴出してきた。総売上の55%が食品部門からもたらされているゼブン&アイ・グループにとって、食の安全・安心は最大関心事であり、「生産者の顔の見える野菜・果物」の提供に取り組んでいる。2002年5月、野菜から開始した取り組みは生鮮3品(青果・精肉・鮮魚)全体に拡大し、2008年9月現在では325産地、3025名の顔の見える生産者による90品目がイトーヨーカ堂全180店で販売されるまでになっている。これら品目は第三者によるチェックを受け同社ホームページに掲載されており、PCと携帯電話で誰がどのように作った野菜かを公開している。
 また、循環型農業にも取り組んでおり、契約した農業生産法人に店舗で発生した食品廃棄物をリサイクルし肥料や飼料を提供している。その代表的な例が「セブンファーム富里」である。また、今までは店舗販売用として供されず廃棄処分になっていたサイズ不揃いなどの「規格外品」も低価格で販売されるようにしている。「規格外品」は、もったいないという消費者意識の高まりもあり評価を得ているとのことだ。
 店舗で発生するCO2をいかに削減するか。同社は店舗形態別に取り組んでいるところで、実験結果を今後全店に拡大していく計画である。セブンイレブンでは照明・冷凍/冷蔵設備・空調機・電子レンジにインバータ方式の採用、断熱パネル・結露防止ガラス扉・セラミックタイルの導入、フロンの回収などをテスト導入し、その効果を検証している。
 イトーヨーカ堂店舗では、CO2排出低減施策としてアリオ橋本店で実験がおこなわれており、空調設備、衛生(用水・手洗い)、電気設備(制御・監視・効率)、ソーラー発電、照明設備の各分野で20項目のCO2削減ロジェクトが実験稼動している。
 「世界のCO2を増大させている最大の要因は熱帯雨林の伐採です。全体の20%が熱帯雨林破壊による森林吸収力低下であり、次いで14%が工場から出る排気ガス、同じく自動車の排気ガスが14%です。セブン&アイ・グループは熱帯雨林保護活動に参加することで地球温暖化抑止に貢献したいと思っています」と、稲岡氏は同社の取り組みを説明した。国際熱帯木材機関(ITTO:横浜に事務局、事務局長はカメルーンの林野大臣)は、アフリカ、アジア、ラテンアメリカにある8,000haの熱帯雨林保全を計画しており、そのCO2削減効果は120万トンにおよぶ見通しである。セブン&アイ・ホールディングスはこのプロジェクトにCDM(海外におけるCO2削減への貢献によるクレジットの取得)方式にて参加する方針を表明している。本プロジェクトは2010年のランドサット衛星による調査に基づき開始される。120万トンの内、いかほどの排出量が同グループに供与されるかは定かでないが、地球全体の温暖化対策を見据えた手を打ちつつあるのは確かである。