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サスティナビリティ(49)
流通業の環境対応(イオン-2)
更新日:2009年03月20日

    

 イオンは、CO2総排出量目標を2012年時点には2006年対比30%減の260万トンと設定しており、総削減量185万トンのうち31万トンを「お客様と共に取り組む」ことで削減しようとしている。その大きな部分がレジ袋の削減(有料化)の取り組みである。
 2007年1月、京都東山2条店でレジ袋有料化が開始された。レジ袋1枚5円の有料化は競合上不利であり、開始前には営業を中心に社内でも反対の意見が多かったとのことである。事実、開始後2カ月間の客数は減少し、上山氏も“不安がよぎった”と当時を振り返っていた。しかし、京都市のゴミ減量推進会議をはじめとした各種市民団体と共同歩調を取り市民ぐるみの運動に発展していったことで、事態は徐々に変わっていった。上山氏は、「環境問題に対し“消費者の皮膚感覚”が変わってきているのを感じた。」と話していた。
 イオンリテール2007年の実績で、買い物袋持参率は20.3%になり、レジ袋削減枚数は2億3492万枚におよんだとのことである。レジ袋の原料から製造にいたる総エネルギー量を石油の量で換算すると、200リットル入りドラム缶で2万1495本にもなるとのことだ。
 レジ袋削減に向けた取り組みは順調に推移している。2009年2月現在イオングループ444店舗で実施しており、買い物袋持参率は80%にも高まっている。2012年までには1000店に拡大する計画である。有料レジ袋1枚の値段は5円だが、その半額は地域の環境保全活動等の環境貢献活動に寄付し、残り半額は排出権購入に当てることを同社は既に発表している。取得した排出権は国に無償譲渡し、京都議定書で約束した6%の削減枠にあてるとのことである。レジ袋を購入するのに後ろめたさを感じる消費者も多くなってきているが、こうすることによってマイバッグを持参しない場合でも環境に貢献することになる。レジ袋有料化を通じ、地域の市民団体と連携した活動が全国レベルで進められていった。この活動はレジ袋削減に限らず、マイ箸運動、リサイクル運動など他の環境改善運動へと広がりつつあり、イオンに対する消費者のロイヤリティーも必然的に高まっていくことになるだろう。
 「お客様と共に取り組む」活動では植林にも力を入れている。同社では1991年から延べ63万人にもおよぶお客様と「イオンふるさとの森づくり」活動を推進しており、2008年2月まで累計683万本の植林を国内外で実施した。道内では、知床や支笏湖での植林がよく知られている。
 イオンが温暖化ガス排出量削減で最大の効果を期待しているのが商品と物流に関する取り組みである。この分野で2012年までに57万トンのCO2を削減しようとしている。イオンはトップバリュ・ブランドでPB商品戦略を推し進めているが、安全・安心であると共に環境に優しい商品「トップバリュ グリーンアイ」を排出量削減の中核商品として打ち出している。グリーンアイ商品は、有機農産物、有機農産物を原料とした加工品、畜産物で、化学合成された農薬・肥料・科学製品をまったく使用しないか制限した手法で生産しているためCO2排出が大きく抑えられる。さらに、これら商品を包む(ラッピングする)包装資材についても石油から生成されたものではなく、セルロース系バイオマスプラスチック素材に代えようとしている。既に一部で導入が開始されており、卵や野菜のパックなどに使われている。食料品売場では現在膨大な量のプラスチック素材が使われているので、バイオマスプラスチックが主流になった時点で大幅なCO2排出量が削減できると期待されている。
 同社が現在チャレンジしているのがカーボンフットプリントの取り組みだ。カーボンフットプリントは、原料から製造・配送・陳列・廃棄にいたるまでの商品ライフサイクル全体で、どれだけのCO2を排出したかを1品ごとに消費者に表示する仕組みである。個々の商品にCO2排出数値を印字するには、製造業をはじめとした取引先企業の全面的な協力が必要であり、その作業の困難さも容易に想像できる。また、費用負荷も相当なものになるだろう。しかしながら本取り組みを進めるのは、第1に消費者の環境に対する関心の高まりへの対応であり、第2にはCO2がどの過程で最も発生するかを把握することで削減努力を集中化できることである。まだ研究・実験段階であるが、近いうちにはお店でカーボンフットプリントが印字された商品を見ることができるようになるだろう。
 4番目のCO2削減分野は京都メカニズムの利用である。京都議定書では海外から取得した排出権を自国が約束した削減量に取り込むことを認めている。第1の手法は、先進国が途上国で排出量削減プロジェクトを立ち上げて排出権を取得するものでCDM(クリーン・デベロプメント・メカニズム)と呼ばれている。第2は、余剰な排出権を国や企業間で売買する「排出権取引」で、第3は複数の先進国企業が共同して削減作業に取り組む「共同実施」である。イオンは第3の共同実施でCO2削減による排出権を取得している。これは、他の6社と一緒にオーストラリアにある1万ヘクタールの土地にユーカリの木を植林し、CO2の森林吸収から排出権を得るものである。イオンは京都メカニズムの活用で47万トンのCO2を削減しようとしているが、基本的には本来業務での削減を目指しており、商品・物流、店舗設備・仕組み、お客様との取り組みでそれぞれの目標削減量を上回り京都メカニズムの依存度を引き下げることが本来だと考えている。
 今後のイオンの取り組みとその成果が期待される。次回は伊勢丹の取り組みを述べたい。