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サスティナビリティ(48)
流通業の環境対応(イオン-1)
更新日:2009年03月10日

    

 「流通業界にとって、地球温暖化対策は避けて通れない問題どころか企業戦略の中核になってきている」。3月4日、東京国際展示場(ビッグサイト)で開催されたセミナーにおいて、大手小売業の環境問題責任者は自社の取り組みについて熱く語った。
 同セミナーは、流通業界最大のイベント「リテールテックJAPAN」25周年を記念して開催されたもので、「環境問題に積極的に取り組む大手流通業」と題し、3時間にわたって講演及びパネルディスカッションが行われた。講師は、イオンリテール株式会社常務取締役上山静一氏、株式会社伊勢丹環境委員会事務局長加藤正己氏および望月友子氏、セブン&アイHLDGS常務執行役員稲岡稔氏、株式会社ローソン常務執行役員CIO横溝陽一氏の5人で、私はコーディネーターとしてセッション全体の企画及び当日の進行を担当した。350人収容の会場はほぼ満席で、環境問題に対する関心が高まっていることと、自社が参考にすべき取り組みを一言も聞き漏らさないという真剣な聴講姿勢が感じられた。

 最初のスピーチはイオンリテールの上山常務執行役員で、世界的にみても最も先進的といわれているイオングループの取り組みが熱っぽく紹介された。
 上山氏は流通業における環境問題の第一人者で、中国やインドでのNGO大会にも招かれイオンの環境に対する取り組みを発表しておられる。通常1時間半の講演を30分でお願いしたにもかかわらず、イオングループの環境プロジェクト全般を懇切丁寧にお話しされた。上山氏の発表には、企業としてまた個人として地球温暖化に先進的に対応しなければならないという使命感さえも感じられた。
 イオングループは2006年度のCO2排出量を詳細に把握し、それを2012年までに30%削減するという極めて積極的な目標を掲げ、具体的な実施方法を企業として打ち出している。わが国全体としては、京都議定書で約束した6%の排出ガス削減(1990年対比)が実現できていないどころか、07年には7.3%の増加となっている。国際的に約束しなければならない2020年時点の排出量削減中期目標もいまだに打ち出すにいたっていない状況である。このような中、30%の削減目標を提示しその実現に取り組んでいる企業努力は賞賛に値するものである。
 同社は2008年3月に「イオン温暖化防止宣言」を発表し、2006年時点の排出量370万トン(CO2換算)を30%削減し、2012年には260万トンにするとの企業目標を設定した。2006年時点の経営手法をそのまま延長すると2012年には445万トンになると推定されるので、260万トンにするためには185万トンもの温暖化ガス排出を抑制しなければならない。それでは、どのような手法でこの膨大なCO2削減しようとしているのだろうか。
 イオンでは、店舗・商品・お客との取り組み、および京都メカニズムの4つの視点から、目標とする削減量を実現しようとしている。第一が、店舗での設備・仕組みの見直しで、これにより50万トンのCO2を削減しようとしている。小売業で最もエネルギーを消費するのは言わずもがなであるが店舗そのものであり、照明、空調、冷凍ケースで使用されるエネルギーは膨大な量のCO2を発生させる。イオンがこの分野で取り組んだのはエコストアの展開である。2005年5月名古屋市に開店した「千種ショッピングセンター」がエコストア第一号店で、昨年10月に開店しわが国最大規模のショッピングセンターとして話題となった越谷「イオンレイクタウン」が同プロジェクトの8号店である。2009年以降の新規店舗はすべてエコストア使用にする計画で、太陽光発電については、2012年までに200店舗に拡大する計画だ。
 エコストアを開発するに当たっては、35におよぶ要素技術が用いられている。太陽光や風力の再生可能エネルギー、井戸水や雨水、自然光や省エネ電球、壁面緑化、熱源エコシステムの採用などが、その具体例である。しかしながら、講師の上山氏が強調していたのは従来の作業プロセスの見直しと改善である。今までさほど気にせずに実施してきた作業の中に、環境改善の余地が数多く埋もれており、これを社員とお客様が一緒になって見つけ出すことであると話しておられた。さらに重要なこととして、店舗の省エネ・温暖化ガス削減をエコストア実験店に止めることなく、既存店に水平展開することだと上山氏は述べていた。その例として紹介されたのが苫小牧店である。空調機温度監視自動制御や冷温水ポンプのインバーター制御をはじめとし、エコストア実験店で成果のあった施策を適用することで既存店での地球温暖化防止に役立たせている。同社は2012年までに既存店への対策を強化し、店舗レベルでの温室効果ガスを50万トン(CO2換算)削減する計画である。
 次回はレジ袋有料化など、消費者と共に進めてきたイオンの取り組みについて、上山氏の発表内容を紹介する。