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サスティナビリティ(37)
愉快なスペインの人達と(3)
更新日:2008年10月30日

    

 スペインの方々を3日間にわたってお連れしたのは、東京中央卸売市場の太田市場、築地市場、大手量販店のセブン&アイ・イトーヨーカドー木場店、イオン・ジャスコ柏店、ヤオコー・柏店、百貨店では高島屋日本橋店、三越日本橋店、伊勢丹新宿店で、いずれも日本を代表する市場であり小売店舗である。
南欧人のおおらかさなのか、いつも集合時間が守られずバスの出発が遅れた。約束の時間を守れない場面が多かったが、各商業施設に到着すると店長さんや責任者の方々が丁寧に迎えてくださり店内の案内をいただいた。各施設を視察後、質疑応答の時間を取ってもらったが必ず出る質問は次の3つである。

 1. PB(プライベートブランド)商品が少ないようですが、その売上比率はどのぐらいですか。
 2.お肉の値段がとても高いのですが、消費者からの不満はないのですか。
 3.オーガニック(有機栽培)野菜はどの程度取り扱っているのですか。また、消費者はオーガニックに関心をもっていますか。

 訪問者の多くは日本を初めて訪れた人たちである。彼ら(彼女ら)にとって、これら3点が日本の流通業を視察して強く印象に残った点なのだろう。
数年間続いたユーロ高(ここ1-2週間でユーロは大幅に下落しているが)は、ヨーロッパ各国に深刻な物価高をもたらしている。地下鉄の初乗りが円換算で1000円だったりするから驚きである。

 大手小売業は、商品販売価格を抑えかつ利益を維持するため、競ってPB商品を幅広く取り扱っている。PB商品は小売業がメーカーと共同で開発・企画し、ストアブランドで販売する商品である。企画・開発コストが抑えられ、生産された商品の全量が小売業に買い取られる契約になっている。また物流費やメーカー広告費が大きく節減されることで製造側のコストは低く抑えられ、小売業にとっては大幅に低い仕入れ価格で商品を入手することができる。

 ヨーロッパでは小売業の寡占化が進んでおり、テスコ、カルフール、ウォルマート(英国のアズダ)など巨大小売業は商品開発力もあり、また取り扱い単位も非常に大きくPB商品の効果が発揮されやすい。テスコでは13種類のストアブランドを扱っている。日本でもイオンが「トップバリュ」、セブン&アイが「セブンプレミアム」名でPB商品を扱っているが、いかんせんその取り扱い比率はヨーロッパの大手小売業に比較すると大幅に低い。それがこのような質問になったのだろう。

 消費者物価が徐々に高まっている日本においてもPB商品は今後さらに増えていくと思われる。この場合、大手製造業のナショナルブランドの名称をOEMでストアブランドにする手法(コントロールドレーベル)では、PB商品の採用効果はそれほど大きなものではない。

 一方、特定の商品群(カテゴリー)を専門に取り扱っている中小の製造業が、開発力と安全管理能力の優れた小売業と連携した場合、PB商品の採用効果は高まる。ここに北海道の食品加工業活躍の場があるのではないだろうか。日本一の品質と生産量を誇る食品素材(水産物、農産物、畜産物)を基に、大手小売業の開発力を得て加工生産した場合、北海道はPB商品の一大生産拠点になるのではないだろうか。とかく、北海道の食品素材は素晴らしいが付加価値が伴っていないといわれる。小売業の開発力とコラボレーションした場合、大きな可能性が生まれてくるのではないだろうか。

 以前、LOHAS(ライフスタイル・オブ・ヘルス・アンド・サステイナビリティ:健康と地球環境の維持を大事にする生活スタイルの人たち)の話を本ブログで取り上げた。ヨーロッパでは人口の35%がロハス層といわれている。ロハスの人々は健康のため、積極的にオーガニック(有機)食品を摂る。お店ではオーガニック食品コーナーを設けたり、中には野菜のすべてをオーガニックで陳列する店もある。一方、今回訪問した大手スーパーではオーガニック食品取り扱いはせいぜい1-2%程度であった。スペインからの訪問者たちはその違いに驚いたのだろう。ただ、彼ら(彼女ら)が喜んだのは高島屋の催事場に行ったときのことだった。店長さんがわざわざ連れていってくれたのは8階催事場で、たまたま「北海道物産店」が開催されていた。広い会場には北海道産の水産物・農産物が山のように陳列されていたが、その農産物のほとんどに生産地区名とともに「有機野菜」と表示されていた。
日本でのオーガニック食品取り扱いはまだ始まったばかりであるが、食の安全・安心に対する関心は高まってきており、またロハス層の人たちも増えてきている。オーガニック食品の取り扱いは今後大きく変わっていく予感がする。そして、その生産拠点は間違いなく北海道であろう。
世界最大の小売業ウォルマートは、中国で有機野菜の生産を拡大する方針を打ち出している。何とその契約農家を3年後には100万軒にすることを目指しているという。同社が安全確保の検査を含め生産管理を実施するとのことである。セブン&アイも関東・東北で契約農家を拡大している。

 日本一の品質と生産量という北海道農業の優位性を生かすためにも、有機農業の拡大と小売業界とのコラボレーションがここでも重要課題であろう。
スペインの愉快な方々と同行した3日間でこのようなことを考えさせられた。