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サスティナビリティ(91)
地球を激変させるティッピングポイント(9)アマゾンの熱帯雨林減少
更新日:2010年06月30日

    

 ブラジルは地球儀で見ると日本のほぼ反対に位置し、航空機を乗り継いで24時間以上もかかり、めったに行くことのできない場所である。たまたま1994年、前に勤めていた会社の世界大会がリオデジャネイロであり、初めてかの地を訪れる機会に恵まれた。そのとき、オプションとしてアマゾン川流域に行ったが、意外に感じたのは熱帯雨林の景観である。木々がうっそうと生い茂るジャングルを想像していたが、放牧地と大豆畑が随所に見られ、またそれらを結ぶ道路網が整備されていた。
 70%がブラジルにあるアマゾンのジャングルはアマゾン川流域に広がり、世界最大の熱帯雨林であることはよく知られている。熱帯雨林には地球上の全生物の半数以上が生息し生物多様性に優れており、海に芳醇な水を提供し豊かな水産資源をもたらしている。さらに、アマゾンの熱帯雨林は「地球の肺」と呼ばれており、豊かな森林(ジャングル)は光合成でCO2を吸収し酸素を放出している。CO2を大量に吸収し、蓄積している点で、アマゾンの熱帯雨林は地球上でもっとも貴重な役割を果たしている。そのジャングルが開墾され焼かれてサバンナのような平原になったならば、CO2吸収が抑えられ温暖化が急速に進むことになるだろう。
 私が訪れた1994年は森林破壊が過去最大規模で行われた年で、1992年から1996年の間に森林伐採が34%増加したと報告されている。ただ、この期間で森林破壊が一段落したわけではなく、1994年の伐採量に続くのが2004年で、東京都の面積の12倍という規模の森林伐採が報告された。2000年から2005年の5年間で、それ以前の5年間の伐採量が18%増えている。森林破壊は恐ろしいほどの速さで進んでいるのである。2050年にはアマゾンの熱帯雨林全体の約4割(200万平方㌔)が失われるだろうという予測も出ている。
 アマゾン地域では、最初に道路が建設され、その後農地が開拓される。その土地が荒廃すると作物生産量の低さに苦しむ農家がその土地を牧畜用に転換し、作物用としてさらに森林を伐採する。この繰り返しで、森林破壊が進むことになる。
 人為的起源の温室効果ガスは、その30%が森林によって吸収されると言われている。アマゾンの熱帯雨林は膨大な量の炭素を吸収・保存しているが、これが破壊されることは地球温暖化を劇的に変化させることになるだろう。恐ろしいのは、森林破壊と乾季が重なると森林火災が起きやすくなり、さらに森林崩壊が進むことである。
 オックスフォード大学のマルヒ教授らは2009年のレポートで、気候変動がアマゾン熱帯雨林の喪失を促す可能性とそのメカニズムについて発表している。この論文で、アマゾンの熱帯雨林減少がティッピングエレメント(地球を激変させる要因)になる可能性を指摘している。
 1994年にリオデジャネイロを訪れたとき、甘酸っぱい排気ガスの臭いが漂っていたことを思い出す。この頃よりブラジルは輸入石油への依存から脱却すべく、サトウキビを原料とし、バイオ技術でエタノールを生産しそれを自動車の燃料としていた。いまや、ブラジルのバイオ技術は世界的なレベルになり、各国に技術とプラント輸出をしている。これがブラジルの経済再生の一翼を担ってきたのは賞賛されるべきものだ。しかし、アマゾンの熱帯雨林を開墾してサトウキビ畑を広げているとしたならば、総量としての温室効果ガス削減は実現できないのではないだろうか。一国の経済発展と地球環境問題を同時に解決することの難しさを感じる。