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サスティナビリティ(85)
地球を激変させるティッピングポイント(3)南アジア地域のモンスーン
更新日:2010年04月30日

    

 モンスーン(季節風)は東アジアから南北米大陸東部にかけて広い範囲で吹く風で、特に東南アジアからインド洋沿岸部ではその規模が大きく、アジアモンスーンと呼ばれている。半年ごとに風向きが変わり、夏と冬ではほぼ逆向きの風が吹く。モンスーンが海側から吹くと湿った空気が内陸部に運ばれて雨期となり、大陸側から吹くと乾燥した空気が入って乾期になることはよく知られている。日本の梅雨にも影響を与えている。南アジア地域で雨期は9月まで続き、この地域の年間降水量の4分の3以上が雨期にもたらされる。全体として湿潤な気候になるため稲作などに適しており、南アジアでは十数億人が季節ごとに訪れるモンスーンの恩恵を得ている。モンスーンが変化するどうなるだろうか。
 最後の氷河期が終わってから、数度にわたってモンスーンに突然の変化が起きていることが研究で明らかになっている。最近では、1870年代に中国とインドで寒さと干ばつに加え、モンスーンが吹かなくなった。このため、飢饉が発生し1400万人以上が亡くなっている。人口増加による食料・建築資材・燃料確保のため森林が伐採され砂漠化が進むと、地表はより多くの日光を反射し気温は低下する。さらに、強力な大気汚染は日光を反射するので何らかの変化を引き起こす可能性がある。
 また、モンスーンを生み出す要因としてヒマラヤ山脈がある。この大気を遮る壁がアジア地域に恵みのモンスーンをもたらすとともに、サハラ砂漠を誕生させたといわれている。地球温暖化の影響で、ヒマラヤ系山脈からの雪どけ水が多くなり土壌水分を増加させると、春期から夏期にかけて地表表面温度の上昇が抑えられ、モンスーンが弱体化するともいわれている。モンスーンが吹かなくなったらアジアの農業に大打撃を与えることは確実だ。
 一方、南アジアでは長雨により各地で毎年のように洪水が起き、大きな被害を出しているのも事実だ。温暖化がある限度を超えてくるとインド洋や南太平洋の海水温度が高まり、海上の空気が上昇気流となりモンスーンの勢いが強まることも考えられる。激しい降雨は熱を解き放ち強め、それにより海からの湿った空気をさらに多く取り込み、結果としてさらなる降雨をもたらす。また海水温度が高くなると、巨大なハリケーンが発生する可能性が高まる。南アジア地域ではこれまでもバングラディッシュ、中国、インドなどの途上国・新興国で、ハリケーンによる甚大な被害が出ている。中でもバングラディッシュでは1970年に30万人、91年に14万人の犠牲者が出ている。温暖化による海面上昇でこれらの被害は一層すさまじいものになるのではないだろうか。
 ポツダム気候研究所レバーマン教授は、ワイヤードサイエンス誌で「歴史的にみるとモンスーンはきわめてきまぐれなもので、そこにはスイッチのようなものがあったことがわかっている。スイッチのオン・オフの差は非常に小さい」と言っている。地球温暖化がそのスイッチを切り替え、モンスーンに大きな変化をもらす可能性も否定できない。日本への影響も無視できるものではない。スイッチが切り替わるとき、それが地球環境激変のティッピングポイントだ。