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サスティナビリティ(97)
地球を激変させるティッピングポイント(15)まとめ-6
更新日:2010年08月30日

    

 「お盆を過ぎたら海に入ってはいけません」と子供のころ先生に言われたものだ。北海道はお盆と共に秋の気配が訪れるのが例年のケースだが、どうも今年は変である。8月中旬を過ぎても30℃近い暑さの連続で、その上湿度が高く北海道らしい清々しい日がなかなか訪れない。「北海道も本州並みの気候になってしまった」、「北海道の良さが失われてしまうのでは」、「これでは北海道を訪れる方々が失望するのでは」といった心配の声が道内のあちこちで聞かれる。ただ、これも比較の問題ではないだろうか。8月23日は暦の上では24節季の1つ「処暑」で暑さが和らぐとされる日だが、宮城県でも18観測地点で30℃を超え、東京の練馬で36℃、大阪で35℃と、暦とは裏腹に全国的に猛暑が続いている。この暑さは当分続く見通しで、9月に入っても本州では平年より暑い日が多いとのことだ。東京方面の知人との電話は、「気が狂いそうだ」、「眠れない」、「どうにかしてもらいたい」といった泣き言から始まる。一方、観光に北海道を訪れた方々からは「久しぶりによく眠れた」、「この時期ゴルフを楽しめたのは最高だ」、「やっぱり北海道だ、来て良かった」と言われる。北海道に住んでいて我々が感じる以上に、関東以南の人たちは猛暑に辟易しているのだ。猛暑の地に住んでいる人からみれば、北海道は相変わらず避暑地であり、場合によっては移住を考える場所だろう。そろそろ朝晩には窓を閉めるようになった北海道。一方関東以南ではまだしばらくの間エアコンなしでは眠れないだろう。北海道にとって“過ごしやすさ”を訴えるチャンスと見るべきだろう。「北海道に来ても暑くてね」、「北海道も梅雨時並みの湿気で、集中豪雨もあって」という声が聞かれるが、皮膚感覚の違いをもっと理解すべきではないだろうか。せっかく北海道への憧れを抱いているのに、あえて否定することはないだろう。

 「地球を激変させるティッピングポイント」の7番目は“海洋のCO2吸収力の衰え”である。化石燃料を中心とした人為起源のCO2は、その40%が大気中に残り、約30%が森林によって、同じく30%が海洋によって吸収される。CO2の森林吸収についてはその重要性が認識され、植林や森林保全の活動が開始されている。一方、海洋についてはなぜか話題になることが少ない。「海洋が人為的に発生したCO2を吸収する力が落ち込んでいるかもしれない」と、コロンビア大学が警告を発している。CO2は海洋表層で溶解し、それをプランクトン、海藻、湿原の植物が吸収する仕組みであるが、これら吸収源は毎年7%ずつ減少しており、大半は20年以内に失われる恐れがあるとのことだ。そうなると大気中のCO2は一気に増加し、地球温暖化に拍車がかかることになる。それでは、海洋のCO2吸収力減退が日本や北海道にどのような影響を及ぼすのだろうか。まず地理的に日本及び北海道が有利なのは、四方が海に囲まれている点だ。人為起源のCO2を30%も吸収する海洋に囲まれている国は世界でも限られており、大陸内部の国々と比較すると大きなアドバンテージだ。ただし、海洋がCO2を吸収するといっても、季節・地域によって差があり、CO2を放出するケースもある。国立環境研究所では、北太平洋でのCO2吸収量(放出量)を季節別・海域別に調査している。調査はカナダと日本を結ぶ貨物船ルートで海水を採集し、溶解しているCO2を検査する方法だ。これを1995年から1997年の3年間実施している。調査結果によると、太平洋西部及び中央太平洋中緯度海域で最も高いCO2吸収を示している。特に、北海道の太平洋海域では夏期に極めて高い吸収力になっている。ふと、北海道の太平洋沿海を流れている親潮が頭をよぎった。親潮は豊かなプランクトンを含んでおり、海面で溶解したCO2をプランクトンが処理しているのではないだろうか。いずれにしても、日本、特に北海道の沿海部はCO2海洋吸収の高い地域のようだ。

 「地球を激変させるティッピングポイント」の8番目は“アマゾンの熱帯雨林減少”である。ブラジルでは現在野焼きが原因と見られる森林火災が頻発し、前年同期に比べ85%も増加している。森林は海洋と同じく、人為起源により発生したCO2を30%も吸収してくれる。特にアマゾンの熱帯雨林は、“地球の肺”と呼ばれるほど吸収力が高く、豊かな森林(ジャングル)は光合成でCO2を吸収し酸素を放出している。CO2を大量に吸収し蓄積している点で、アマゾンの熱帯雨林は地球上でもっとも重要な役割を果たしているといえるだろう。2050年にはアマゾン全体の4割が消滅すると言われているが、現在進んでいる森林火災の勢いが衰えなければ、2050年を前にティッピングポイントを迎えるかもしれない。アマゾンの熱帯雨林減少は日本や北海道にどのような影響を及ぼすのだろうか。アマゾンは日本から見て地球の反対側に位置するが、距離的に遠い事で影響が軽微であるとは必ずしも言えるものではない。森林吸収が衰え増加したCO2は、地球の自転と偏西風や貿易風で大気中に拡散され、世界規模で温暖化が進むことになるだろう。数年のタイムラグがあるとはいえ、アマゾンの熱帯雨林減少の影響は日本にも及ぶとみるべきだ。

 「地球を激変させるティッピングポイント」について15回にわたり連載したが、正直、調べれば調べるほど不安な気持ちになってくる。ティッピングポイントについては数年前に研究が始まったばかりということもあり、今後何が起こるかの予測を明確に示せないのが現状で、今後の研究成果が待たれる。しかし、そうこうするうちにも温暖化は確実に進んでいる。地球のサステイナビリティ(環境の持続性)に対する不安は消えない。