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サスティナビリティ(96)
地球を激変させるティッピングポイント(14)まとめ-5
更新日:2010年08月20日

    

 当社ビルの入り口を入ると「Heat Islands」と題したオブジェが置かれている。ギャラリーインプレッション社の作品で、張りぼてで作られた盛り土には数十本の花と草が差し込まれている。盛り土は赤く焼け焦げており、花は咲くことがなくつぼみのまま枯れ果てている。
 今、世界中の主要都市がヒートアイランド化している。東京やニューヨークで連日猛暑日・真夏日が続いているのは毎日のように報道されている。北京では地表温度が68℃になり路面で卵焼きができるそうで、気化したガソリンに電気系統がショートして走行中のバスが炎上するケースも出ている。インドでは50℃を超える気温で数百人が“焼死”したと伝えられている。特にひどいのはモスクワで、6月中旬から130年ぶりと言われる猛暑が続き、7月29日には最高気温も41℃まで上昇し、熱波と乾燥による森林火災が衰えることなく広がっている。CO2を吸収する貴重な森林資源が大規模に消失し、反対に膨大なCO2を発生させている。グリーンランドでは8月5日、マンハッタン島の数倍の大きさといわれる氷の塊が割れ、北大西洋を漂っている。地球温暖化によるヒートアイランドは今年のみの現象なのだろうか。
 “地球を激変させるティッピングポイント”の6番目は「海底堆積物に含まれるメタンハイドレートの放出」で、日本及び北海道に及ぼす影響について素人的発想を述べてみたい。メタンハイドレートについては本ブログ6月10日付け“サステイナビリティ(89)”で説明したが、おさらいすると「“燃える氷”がメタンハイドレートで、メタンが中心にあり、周囲を水分子が取り囲んだ固体の結晶で見た目は氷に似ている。火をつけると燃えるため“燃える氷”と呼ばれている。おびただしい量のメタンハイドレートが何百万年をかけ、深海などで低温と大きな水圧によって凍りついて蓄積されている。またシベリアの永久凍土の地下数百メートルにも堆積している。」
 メタンハイドレートは8つの“ティッピング・エレメント”の中でも日本や北海道への影響が最も深刻なのではないだろうか。日本近海は世界でも有数のメタンハイドレート埋蔵地域で、西日本の南海トラフに最大の埋蔵量があると推定されている。さらに北海道十勝沖、新潟沖などにも堆積されているとのことだ。メタンハイドレートは、石油をはじめとした化石燃料が枯渇した後の資源として注目されており、資源小国の日本も開発に積極的で各地で試掘が行われている。しかし、採取方法によってはメタンハイドレートに含まれるメタンガスが一気に気化、大気中に拡散され地球温暖化を加速させる恐れがあるとの意見もある。さらに、南海トラフでは近年中に東海・東南海・南海地震が確実に発生すると予測されている。このような場所で採掘するのはきわめて危険ではないかと素人には思わざるを得ない。メタンはCO2に比べ重量当たり21倍の地球温暖化効果があり、採掘中にメタンが漏れ出したら恐ろしいことだ。漏れ出したメタンの強力な温室化効果が温暖化を一層進め、それにより海底に静かに眠っているメタンハイドレートからメタンを発生させ温暖化が進むという悪循環は避けなければならない。現在まで採掘に1千億円ほどの開発費をかけ、さらに本格化するそうである。この資金を風力発電などの再生可能エネルギー開発に使う方が、投資効果から見てもよほど適切なのではなかろうか。風力・太陽光・地熱・バイオなどの自然エネルギーは日本に無尽蔵にある。1千億円あると、大型の風力発電設備を200基持つことができる。採算に乗る可能性も疑わしく危険なメタンハイドレートをエネルギー源として開発するよりも、北海道の財産である風をもっと有効に活用すべきだろう。
 さらに、危惧されるのは、シベリアの永久凍土に埋もれているメタンハイドレートだ。温暖化で一部のメタンは、すでに地上に漏れ出しているそうだ。モスクワ近郊の森林火災は北西に向かって広がっており、その熱と煙がシベリア地域に影響を与えないとは限らない。ただでさえシベリアの森林火災は毎年大量の森林資源を消滅させており、温暖化がそれに拍車をかける可能性は否定できないだろう。大量に発生するCO2がその地域の気温上昇を促す恐れは多分にある。永久凍土は限りなく永久なのだろうか。凍土が溶け出しメタンが地表に浮上すると、さらなる温暖化が進んでしまう。シベリアで増加したCO2が、地理的に近い北海道に影響をもたらすとしたら、事前に何らかの手を打たなければならないだろう。その救世主が北海道の豊かな森林資源だ。CO2を十分に吸収できるよう、間伐の積極的な実施など森林資源整備が今急がれている。
 冒頭紹介したオブジェには、次のようなメッセージが添えられている。
 「世界中に広がってしまった温暖化、先進国が作り出した温暖化。このままでは大陸が燃え尽きてしまう! 子供達の未来は大人一人ひとりの自覚に委ねられているのです。世界中の大人たちに啓発する気持ちをこの作品に込めました。」