「情報を先取り、タブーに挑戦」を編集方針とし、生活者・企業経営者に
最新かつ有益な情報価値をご提供する、北海道の地域政治・経済誌

ロゴ

トップページ > 社長ブログ > 地球を激変させるティッピングポイント(1)

長ブログ

このエントリーをはてなブックマークに追加

サスティナビリティ(83)
地球を激変させるティッピングポイント(1)
更新日:2010年04月05日

    

 昨年(2009年)12月、ワイアード・サイエンス誌が「地球を激変する7つのティッピングポイント」という特集を出した。これは「米国科学アカデミー紀要」へポツダム大学気候研究所のシェルンヒューバー教授が寄稿したもので(原題は地球におけるティッピング・エレメント)、難解な文章だったが興味をそそる内容だったので読み進めてみた。
 まず、ティッピングポイント(Tipping Point)とは一体何だろう。Tipは名詞では野球用語のチップやレストランで渡すチップを表すが、動詞になると“ひっくり返る”という意味にもなる。従って、ティッピングポイントとは通常はゆっくりで気がつかないほどの変化や動きが、ある時点で突然巨大な変化を引き起こす転換点を意味する。たとえば、水の入ったコップがテーブルの上で少しずつ移動し、テーブルの端を離れた途端にひっくり返ってしまう。この端がティッピングポイントである。一方、小さな変化があるきっかけで大きなトレンドや流行になるとの意味で、ティッピングポイントは商品開発やマーケティング分野でも近年使われている。
 地球環境問題に関し、温暖化ガスが年々増加することで地球規模の異常現象が発生し、甚大な被害が発生するといわれている。ティッピングポイントの研究は比較的新しいもので、2007年に発表されたIPCC(地球温暖化に関する政府間パネル)第4次評価報告書(数千ページに及ぶボリュームのレポート)では、まだ脚注で記載される程度のものであった。しかし、地球温暖化が進んでいる現状では真剣に検討しなければならない要素(エレメント)であることは間違いない。地球上で発生する様々な現象のうち、どれが気候変化に敏感に反応するかについて、まだ研究途上であり結論を出すに至っていない。しかし多くの研究者が取り組み始めており、2014年に発表される予定のIPCCレポートでは、より詳細な分析結果が発表されるといわれている。現時点では体系化されていないものの、地球の突然の変化に懸念を持つ研究者達がそれぞれの分野でレポートを発表している。今回シェルンヒューバー教授が発表したのは、それらのレポートをまとめて紹介したものである。
 さて、そのレポートにおいてのティッピングポイントは、地球の平均気温が現在に比べて、2℃以上上昇する時点で発生する可能性があるとのことだ。では、どのような変化が想定されるのだろうか。地球は今ティッピングポイントに向かって進んでいるのだろうか。大変興味深いテーマである。
 シェルンヒューバー教授は、以下に挙げる8つのティッピングエレメント(ティッピングポイントをもたらす可能性のある現象)を指摘している。

1.アフリカ チャドからの砂塵
2.アジアのモンスーンの突然の変化
3.エルニーニョ現象
4.メキシコ湾流の変化
5.北極海の海氷・南極大陸の氷床の融解
6.海底堆積物に含まれるメタンハイドレードの放出
7.海洋のCO2吸収力の退化
8.アマゾンの熱帯雨林減少

 今のところ、これらティッピングポイントが近年中に発生する可能性は高くはないと思われているが、地球温暖化がティッピング・エレメントを刺激することで、上記の内の一つでも発生した場合、地球に甚大な被害をもたらすことは確実である。
 昨年11月にコペンハーゲンで開催されたCOP15(第15回国連気候変動枠組み条約締結国会議)では温暖化防止のためのCO2排出規制について、先進国と新興国の立場の違いが鮮明になり、方向性について合意されることはなかった。このような状況が続いたとしたら、地球温暖化傾向に歯止めがかからず、ずるずると時間ばかりかかってしまう。IPCC第4次報告書では、1906年から2005年までの100年間で世界の平均気温が0.74℃上昇し、さらに最近の50年間では上昇スピードが倍の早さになっていると発表している。100年後の平均気温が1.8℃から4℃上昇(人類がCO2排出削減にどのように取り組むかで差が出る)するともいわれている。人類はかなりな努力をしなければ2℃上昇でティッピングポイントを迎えることになるかもしれない。
 次回より、それぞれについて紹介していきたいと思う。