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サスティナビリティ(104)
上海(1)
更新日:2010年11月10日

    

 ザ、ザーという音と共にテレビ画面に波が走ったかと思うとすぐにブラックアウトしてしまった。10月16日、上海のホテルでくつろぎながらNHKテレビを見ていた時のことだ。こうなる直前、画面上にダライラマらしき写真が映っていた。同氏が日本を訪問した時のニュース映像が本来は流されていたのだろう。たぶんノーベル平和賞をもらった劉暁波氏の報道もブラックアウトされていたと想像する。噂で聞いてはいたものの、目の当たりにすると中国の執拗な報道規制に驚かされる。ダライラマが元気に日本訪問している姿も、劉暁波氏がノーベル賞受賞の栄誉に輝いたことも多くの国民に知られたくなかったのだろう。

 10月12日から、万博見学を中心とした5日間の日程で上海を訪れた。わずかな期間の訪問だったので、したり顔で尖閣列島問題でぎくしゃくしている日中関係の現地情報を紹介したり、中国事情について記載するつもりは毛頭ない。ただ、上海滞在中に見たこと、聞いたこと、経験したことをそのまま4回連載で書いてみたい。本ブログのテーマはサステイナビリティで環境問題を取り上げているが、日中間のサステイナビリティ(持続可能性)や中国の環境問題ともからむと考えるからだ。第1回は“中国での報道”について、第2回は“万博”について、そして第3回は中国で感じた“環境問題”、第4回は中国の“成長に潜む陰”を予定している。

 さて、テレビの話題に戻る。画面が真っ黒になってしまったのでチャンネルを中国放送局のニュースに切り替えた。画面には多くの日の丸が林立し、抗議デモが行われている様子が映っていた。当然のこととして中国語で放送されているので、どこで行われているのか当初は分からなかったが、背景の建物などから東京らしいことに気付いた。これは、同日(10月16日)駐東京中国大使館の前で実施された尖閣列島問題に抗議するデモのニュースで、前航空幕僚長田母神俊雄氏が会長を務める団体が行ったものである。日本ではあまり大きく報道されなかったと帰国後聞いたが、画面を見る限りにおいては中国人にとってずいぶんとインパクトのあるものだった。反日感情の火に油を注いだのではないかと心配になった。
 一方、成都で発生したデモは1万人以上の若者が参加。西安では7000人を超える学生が市中心部の広場で反日デモを行った。しかし、私がチャンネルを切り替えながら中国の主要テレビ番組を見た限りにおいては、中国の反日デモの内容はほとんど報じられていなかった。不思議なのは、上海で当日(10月16日)放映されたNHKのニュースでは反日デモの様子が流されていたことである。何を基準として報道規制しているのかよく分からないが、ダライラマ(チベット問題)や劉暁波氏(天安門事件)の方が、漁船衝突(尖閣列島問題)よりも影響が大きいとの判断なのだろうか。インターネットがこれほど普及し、特に中国ではPパソコンや携帯を通じてネット情報があふれている今、テレビの報道規制にどれほどの効果があるのか疑問を感じる。しかし、中国共産党指導部の断固たる意志を表明するものとしてやらざるを得ないのだろう。
 なお、NHK英語版の海外向け番組では、ドラマや対談、日本文化が中心に放映されており、ニュースも当たり障りのない内容に終始していた。これならば突然放映をストップされる心配は全くないが、あまりにも主張のない(主張を避けた)番組なのではないだろうか。
 あくまで限りある時間の中で、限りある番組を見た上での印象ではあるが。