「情報を先取り、タブーに挑戦」を編集方針とし、生活者・企業経営者に
最新かつ有益な情報価値をご提供する、北海道の地域政治・経済誌

ロゴ

トップページ > 社長ブログ > オバマ次期大統領の環境政策と北海道(4)

長ブログ

このエントリーをはてなブックマークに追加

サスティナビリティ(41)
オバマ次期大統領の環境政策と北海道(4)
更新日:2008年12月30日

    

 前回は風力発電の問題点を指摘したが、果たしてこれらの問題点は克服することができないものなのだろうか?単純な発想として、欧米を始め中国やインドでも、風力発電は2007年に前年の27%増のスピードで拡大しており、そんな中、なぜ日本の設置スピードが遅いのかという疑問が浮かび上がってくる。
 因みに、2007年度の日本の風力発電の新設は米国の38分の1であり、確かに太陽熱やバイオによるエネルギーが脚光を浴びているが、それらの発電は小規模であり、またKWHあたりの発電コストも太陽光発電が40-50円に対し風力(風車1-2本の場合)は10-14円と云われている。海外では、風力を中心とした再生可能エネルギー比率を大幅に拡大(EU全体の2020年目標は20%)しているのに対し、日本は僅か2%にも満たない。
 さらに、原子力発電の停滞(上越沖地震による新潟柏崎狩羽発電所の停止を含め)により、石油・石炭などの化石燃料の発電が増え、電力会社の温暖化ガス排出量は増加している。これが、電気を利用する消費者や企業にとって更なる省エネの努力を求める事になる。
 膨大な資金を投入して電気自動車(EV)を開発しているが、エネルギー源である電気そのものが大量の温暖化ガスを発生するものとしたら、EVの効果も半減する。電気をこまめに消したり、蛍光灯やLEDに取り替えて電力利用を抑えたり、コンビニの24時間営業を批判するだけでは大きな改善はなされないだろう。
 フランスでは近年中に、原子力発電と再生可能エネルギーの発電により電力需要の100%を賄う予定である。発電に温暖化ガスは一切発生しないことになる。日本(北海道)でも、せめて2020年までに電力の20-25%が再生エネルギーによるものにならないだろうか。そうすると、原子力・水力と合わせほぼ半分の電力は化石燃料を使わないクリーン・エネルギーとなる。
 北電は565万KWHの総発電の内25万KWH(4.4%)が風力であり、他の電力会社に較べ積極的な取組になっている。近々31万KWHを実現すべく見直しをしている。これを100万KWH以上までに拡大できないだろうか。

 幸い、風力発電に風が吹いている。
 第一に、新エネルギー等電気利用法RPS法によると、2010年までに電力会社は2007年のほぼ倍のグリーンエネルギーを提供しなければならない義務が課せられている。今後、オバマ次期大統領の環境政策やEUの積極的な取組とあいまって、その枠は拡大する事も考えられる。さらに、受け手となる事業家も多数が認可を待っている。
 第二に、風力から得られた電気を平滑化するための蓄電技術が急速に開発されつつあり、“風まかせ”から脱却できる可能性が高いことである。東北電力ではバッテリーとの組み合わせを試行しており、その成果が期待される。
 第三に、国内排出量取引も2008年度は501社が登録し、ようやく開始となる。海外での排出権購入やCDM(海外での環境事業による排出権取得)に加え、国内クレジットによる排出権取得やグリーン電力基金にも大きな関心が寄せられることになろう。風力発電事業による温暖化ガス排出抑制が排出権とみなされるようになると、更なる資金が集まることも考えられる。
 この風を最大に活用できるのが“オロロン街道”ではないだろうか。まず、北海道の日本海岸は風車にとって絶好の風が得られる。風力発電の風は最大25m最低5mで稼働可能とのことである。苫前ウインビラの場合、冬は申し分ないが夏はぎりぎりとのことである。ただ、海岸により近いところや海上に設置した場合は夏でも充分発電可能である。実際、瀬棚の風力発電は海岸近くに設置しており年間を通じて電力を得られている。そのような場所は、本道の日本海岸に多く存在する。オロロン街道は年間を通し発電出来る場所であり、更に蓄電装置を併用すると安定的電力供給が可能ではないだろうか。

 “オロロン街道”沿いには整備された港がある。小樽、石狩、留萌、羽幌、稚内の港を利用すると、大型の風車の輸送にも支障がないのではないだろうか。また、一時は1ユーロが170円ほどしていた為替レートも現在は125円前後で、一時に較べ20%ほど円高になっている。欧州製の風力発電装置を購入する場合でも一時に較べると大幅な低価格で購入することができる。さらに、室蘭の日本製鋼所も風力発電設備の開発・製造に着手し始めている。
 東北電力も風力発電には力を入れており、年間52万から85万KWHに60%も引受け上限を拡大するとのことである。北海道電力と東北電力間の相互送電ネットワークが強化されると、更に安定的なグリーン電力の供給が可能になるのではないだろうか。 環境省・経済産業省も風力発電に資金面の支援を拡大する方向である。

 これらが実現したとき、北海道にどのような経済的メリットが生まれるのだろうか。はたして北海道版“ニューディール”は可能なのだろうか。次回に掲載したい。