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サスティナビリティ(58)
「風・林・水・菜」-4林の巻-1
更新日:2009年06月20日

    

 木は、水という“液体”とCO2という“気体”を、太陽光という“宇宙からの恵み”によって、炭水化物という“固体”を生み出している(稲本正氏:オークヴィレッジ代表)。
京都議定書で、日本は1990年対比6%の温暖化排出ガスを2008年から2012年までに削減すると約束している。その3分の2に相当する3.8%が森林吸収であり、これによって森林保全への意識が高まってきている。CSR(企業の社会貢献)活動の一環として多くの企業が植樹をおこない、また京都議定書で定められたクリーン・デベロプメント・メカニズム(CDM:開発途上国での地球温暖化対策事業)で温暖化ガス排出量を取得すべく、海外での植林活動も数多く報告されている。
差し迫っている地球温暖化の限界点を避けるためにも、森林によるCO2吸収はその役割を高く期待されている。森林を持続的に維持するためにも植林・植樹は継続的に実施しなければならないが、より重要なのは森林の保全活動である。森林は光合成によりCO2を吸収するが、ただ植林して見守っているだけでは温暖化防止に貢献する森林にはならない。下草刈りや間伐により森林を元気にし、CO2吸収力が衰えた樹齢の高い樹木を伐採し、そこに苗木を植えるという循環型の森林保全事業を継続することが求められている。
ところで、ショッキングなニュースを目にした。それは「気候変動で森林のCO2排出量が吸収量を上回る」というもので、これは、本年4月20日から開催された「国連森フォーラム」で発表された。今まで、地球温暖化の抑止に一役も二役も買っていると思われていた森林によるCO2吸収が機能を発揮しなくなると指摘した。今後、温暖化が進み産業革命前に比べ2.5℃以上上昇すると、干ばつの長期化、害虫被害の増加で森林の破壊と劣化が進み、排出量が吸収量を上回ってしまうというものである。南方の森林は乱伐されたり活発な微生物の活動により、現在でも吸収量を差し引いて17億トンものCO2を発生しているという研究発表もある。北方でも、シベリアでは森林火災で年間100万ヘクタールが消失しており、また凍土の溶解で大量のメタンガスが発生しているとする別の研究もある。米国北部、中国北部、欧州南部、地中海、アフリカの亜熱帯地域、中南米、オーストラリアで干ばつが激しくなり、山火事や害虫の被害がさらにひどくなるとのことだ。これらの地域は、日本の政府や企業がクリーン・デベロプメント・メカニズムで環境事業に対し多額の投資をして排出量を取得しようとしている国々である。海外での植林事業参加で本当にCO2派削減できるのだろうか、また排出量を取得出来るのだろうか。もう一度原点から考え直す必要がある。
それでは、視点を国内に向けてみよう。日本の森林は世界のそれとは全く状況を異にしているといえる。すでに本ブログでも触れたように、日本は国土の67%が森林に覆われており、森の国といわれる独の40%はもとより、仏の23%、中国の13%、英国の12%、と比べて格段に高い面積比率である。そして、日本の森林面積の4分の1が北海道にある。戦後(50年ほど前)から、先人たちが苗木を植え植林活動を推進してきた成果が、現在豊富な森林資源として残されている。それが今、約1,000万ヘクタールの育成林として広がっており、収穫期を迎えている。森林総合研究所による樹齢別のCO2吸収量(1ヘクタールあたり)でみると、針葉樹は樹齢11年から20年が3.2トンで一番高い。40年までは高い吸収力が持続するが、50年を過ぎると半分以下になる。広葉樹は針葉樹の吸収力の半分以下である。CO2吸収能力は若齢(10-40歳相当)が最も活発で、広葉樹よりも針葉樹の方が大きいことが分かる。一方、育成林の年代別面積の調査では、1-10年:30ヘクタール  11-20年:75ヘクタール  21-30年:170ヘクタール  31-40年:300ヘクタール 41-50年:300ヘクタール 51-60年:100ヘクタール 61-70年:40ヘクタール  71-80年:25ヘクタール
となっている。
これら数値から、2つの問題が浮かび上がってくる。1つは、植林後41年を経ている樹木は収穫期を迎えており、これを間伐し有効に活用しなければならない点。もう1つは、20年以内の樹齢の森林面積が少なくなっており、森林整備(間伐)で空いた土地に植林しなければならない点である。
京都議定書で吸収源として規定している森林は以下の3種類である。
1、新規植林:過去50年間森林でなかった土地に植林
2、再植林:1990年に森林でなかった土地に植林
3、森林経営:持続可能な方法で、適切に整備されている森林(森林の整備、管理、保全
1、2は、森林面積が国土の7割近くを占める日本ではほとんど対象とはならない。したがって「森林経営」した森林が対象となる。すなわち、間伐などの適切な整備がなされた林、または保安林に指定されている天然林である。
世界の森林事情が乱伐と地球温暖化により厳しい状況に置かれている今、日本は豊かな森林資源を活用するとともに森林吸収を高める必要があるだろう。次回は、今回取り上げた基本認識をベースに、北海道の可能性とその具現化について記していきたい。