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サスティナビリティ(55)
「風・林・水・菜」-1
更新日:2009年05月20日

    

 本ブログを掲載し始めてから、講演の依頼を受けることが多くなった。4月末には週に3回もお話しする機会を持たせていただいた。私は、30年ほど北海道を離れており東京や海外にいたので、久しぶりに帰ってきた人間が北海道をどう見ているのかにご興味をお持ちになられるのだろう。講演内容は本ブログでも取り上げた「北海道グリーン・ニューディール」が中心であったが、その中で参加のみなさんがおおいに関心を示されたのが、北海道の持つ限りない豊かな資源についてのくだりであった。講演後、多くの方々から「元気づけられた」との声をいただいたのは嬉しい限りである。
 講演では、北海道の豊かな資源を代表するものとして“風・林・水・菜”の4項目を取り上げた。風は北海道西海岸(オロロン街道)に吹き荒れる強靱な風力エネルギー資源、林は日本の4分の1を占める北海道の森林資源、水は冬期間積雪として固定化され春と共に湧き水・伏流水として流出する豊でおいしい水資源、そして菜は他県では難しい大規模農業で栽培される安全・安心な有機農産物資源である。化石資源の価格急騰と枯渇、異常気象の頻発、安全な水や食料の危機、そして温暖化ガス排出規制による経費の高騰が予想される21世紀に、これら4つの資源は北海道の大きな財産となるだろう。

 日本の食糧自給率は、カロリーベースで40%であることはよく知られている。しかし日本のエネルギー自給率に関しては不思議と取り上げられる機会が少ない。どだい日本は資源輸入国だから仕方がないというあきらめだとしたら、おそろしいことである。それが4%であるという事実をどれだけの人が知っているだろうか。4月10日に麻生太郎首相は環境エネルギー対策を「低炭素革命」として発表した。この中で、日本の取り組む優先課題として太陽光発電とエコカーを取り上げている。いずれも日本にとって早急に取り組むべきテーマではあるが、不思議と風力発電には触れていない。東京大学名誉教授で製品研究基盤機構理事長の安井至氏は、「なぜ風力発電が話題にならないのだろうか。北海道における風力発電が含まれていないのは、未来への投資とはいいがたいのではないだろうか。」と指摘している。(2009年4月22日:日経エコロミー)

 北海道の豊かな森林資源は、地球環境を持続・改善する上で大きな役割を果たすだろう。京都議定書で日本の排出ガス削減目標は6%となっているが、そのうち3分の2にあたる3.8%が森林吸収によるものであり、日本の4分の1を占める北海道の森林資源は整備いかんによってCO2削減に大きく寄与することになろう。さらに、森林整備による間伐材はエタノール、プラスチック、チップ、ペレットへの活用に大いなる可能性をもつ。また、循環型森林経営による国内木材生産は海外生産地の伐採を軽減し、生育や輸送に係るエネルギー消費(ウッドマイレージ)を削減する事に結びつくことになろう。
 道立衛生研究所・飲料水衛生科長の伊藤八十男氏によると、北海道民一人あたり水資源賦存量は全国平均の3倍で、豊かな水量を誇っている。また、その質は極めて良質で、道内の河川は常に全国のきれいな水ベスト5の上位を占めている。雪解けの水を蓄えた地下水は湧き水や伏流水となり、全国のおいしい水でも常にトップクラスである。この豊かでおいしい水が十分に活用されていないのは残念なことである。しかし、裏返すと大きな可能性を秘めているといえるだろう。日本ミネラルウォータ協会の調べによると、2008年の北海道の生産量は5万7826キロリットルで、山梨県のわずか8%であり、静岡県と比べても23%に過ぎない。人口の4分の1が飲料に適しているとはいえない水を飲まざるを得ない中国の人たちに、北海道の豊かでおいしい水を提供できないだろうか。大きな可能性を秘めている。
 昨年10月、スペイン政府主催の流通視察団をお招きし主要流通施設(東京都中央卸売市場・大手小売業店舗)にご案内したが、今年3月にも第2回目の団体が日本を訪れた。両視察団から共通して言われたのが「日本のスーパーには有機栽培の野菜が少ないですね」という言葉であった。欧米では食品の自然志向が高まっており、ブームともなっている。米国・欧州におけるオーガニック食品の売上は年率20%で伸張しており、米国では69%の消費者がオーガニック食品を、少なくともたまには購入している。北海道の農業にとって大いなる可能性が今後拓けてくると考えられる。北海道ブランドの有機野菜が、日本各地はもとよりアジア各国で販売される日も近いのではないだろうか。
 本ブログでは次号より“風・林・水・菜”をシリーズとして取り上げる。