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赤黒の“レジェンド”砂川誠の“コンサの深層・延長戦”  
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三上大勝選手(みかみ・ひろかつ)掲載号:2017年4月

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1971年室蘭市出身。室蘭大谷(現北海道大谷室蘭)高校卒業後、1993年にNEC山形サッカー部に所属。95年に選手を引退。引き続き山形に在籍した後、99年にコンサドーレ札幌へ。強化部スカウト担当、01年強化部強化担当、07年強化部長を経て13年から現職。

今シーズンの補強には手ごたえ

砂川 選手獲得の責任者を長く務めています。2017年シーズンは9人の選手を補強しました。

三上 ある程度は手ごたえを感じています。

砂川 どのような方針で補強を進めましたか?

三上 四方田修平監督をはじめ現場のスタッフは、まず今シーズンも3バックをベースにしたいという意向でした。その上で〝走れる〟能力があり、さらにクリエイティブな選手を獲得しようと考えていました。さらに言うとワイド(サイド)の選手で、それ以外にも複数のポジションが任せられる選手、というオーダーもありました。

もう1つ現場の要望としては、チームの得点源である都倉(FW都倉賢)がもしケガで出られなくなった場合。彼が欠場した時でもチーム力が落ちないように、といったことも考えた上で、今年加入してくれたような選手に来てもらいました。

三上 福森(DF福森晃斗)やク・ソンユン(GK)については、ビッグクラブからの誘いを引き留めることができました。

三上 ひとつ言えるのは、「コンサドーレはこういうプロジェクトをサッカークラブとしてやっていくんだ」ということが今は明確で。選手にも、そこにかかわってほしいと、きちんと伝えられている。それが引き留める上で大きかったと思っています。その2人も、プロジェクトの中で選手として成長できるのでは、と今まで以上に感じてもらえたのでしょう。

ここ数年、クラブとしていろいろな取り組みをする中で、数年前まで総収入が13億円ほどだったものが、今シーズンは24~25億円くらいまで増える見込み。それにともない、選手の強化費も増やしています。決して他チームより条件がいいとは言えないが、精いっぱいの年俸を提示しています。もちろん最終的には、僕たちの力だけではなく、かかわってくれたクラブのOBの力があった。そして何よりサポーターの力が引き留める上で一番大きな理由だったのではと思います。

-----ここから“延長戦”本誌未掲載-----

「コンサで成功したいか」が選手獲得のカギ

砂川 三上さんの“目利き力”はサポーターの間でも有名ですよね。活躍する外国人選手を見分けるコツってあります?

三上 1つは、人脈を大切にしているということ。情報がほしい時に、複数のルートから情報を持っているかが重要。もちろん、最終的には自分の目で選手を見て判断しますけど、一番重要だと考えているのは日本のJリーグで成功したい、コンサドーレでプレーしたいという気持ちがどれだけあるのか。それも選手本人だけではなくて、奥さんとか、ご家族の気持ちも含めてです。

砂川 家族を交えた交渉もするんですね。

三上 外国人選手は、本人がチームやそのまちを気に入っていても家族がそうではない、となると、うまくいかないことが多いから。

砂川 三浦俊也監督のもとで07年にJ1へ昇格した時は、DFブルーノ・クアドロス(現コーチ)、MFカウエ、FWダヴィのブラジル人3選手がいました。彼らの人間性って、昨シーズン昇格したMFジュリーニョ、MFマセード、FWヘイスの3人と人間性の面で重なっているなと思います。そして、そこがすごく重要だとも思いました。日本人選手のコミュニティーに“入ってきてくれる”というところも含めてです。自分のプレーにはプライドもあるだろうけど、ちゃんと日本人選手といい合えるような関係。昨シーズンはそこがすごく大きかったと思います。むしろ、噛み合わないと外国人選手ってフィットしないし結果も出せないんじゃないかな。

三上 そう、そこが一番大きい。ただ、もう少し強化費が多ければ、単純な能力だけで選手を選ぶ、ということもできるのだろうけど。

砂川 まだそういう選手を取るのは“早い”のかなとも思うんです。外国人選手に限らず。たとえば兵藤(慎剛)とかは、試合の主導権を握っていたチームでずっとプレーしていた選手。コンサは主導権を握ることのできるチームではまだないから、厳しいゲーム内容の中でプレーすることが多くなる。同じサッカーの試合だとしても、少しギャップがあると思います。そういう時でも腐らず、一生懸命やってくれるのかどうか。お金があるからといって、いきなりJ1でもトップクラスの実力を持つ選手を補強しても、チームとしてはなかなかうまくいかないのでは。つまり日本人にしろ外国人にしろ、個の力があるというだけの選手は、まだチームにフィットしづらいのかなと。もちろん、いずれは個の力が高い選手たちがプレーする集団になっていけばいいのだろうけど。

三上 最終形としてはそう。まだ、現状としてはそこまで達していないね。それにしても、スナもそういうことをきちんと考えているんだね。強化部で働けるよ(笑)。

砂川 いやいや(笑)。

J1定着と普及拡大の2つが使命

砂川 昨シーズンはどのくらい来場客があったんですか?

三上 昨シーズンはリーグ戦だと30万人強、平均では入場者数1万4000人を超えるくらいだね。

砂川 自分のサッカー教室で子どもたちの指導をしていると、子どもたちは当然サッカーが好きで、コンサのことも好き。実際にユースを目指している子ばかりです。でも北海道って、毎週末にびっしり大会の日程が組まれていて、せっかくコンサの試合が週末にあっても、サッカーが本当に好きな子どもたちが試合を見に行く暇ってなかなか取れないのが現状で。お客さんを逃がしてしまっていると思うんです。

三上 確かに、現状はそうだよね。なぜかといえば、北海道はサッカーのできるシーズンが短いから。ほかの地域はだいたい10カ月くらいシーズンがあるけど、北海道は雪があるから、実質6カ月くらいしかない。その中で、中学生、高校生、成人の部と各カテゴリーごとに全国につながる大会があって、試合を消化しないといけない。結果として、土日はほぼ毎週公式戦が組まれてしまう。スナが言ったように、本当にサッカーが好きな子どもたちとその家族が観に来るのが難しいわけです。

砂川 たとえば試合をナイターにするとか、どうにかできることはないのかなと。

三上 北海道サッカー協会さんや札幌地区サッカー協会さんに、年1度でいいので、小学生や中学生のカテゴリーごとに、公式戦を組まず空けてもらう日をつくってもらえないか、というような提案はさせてもらっています。前向きに検討していただいてはいますが、全国につながる大会なので、いつまでに何回戦を消化しないといけない、という制約もあって、実現には至っていない。クラブとしては、引き続きお願いをしていく立場です。

砂川 今後、三上さんがGMとして目指していきたいことは。

三上 トップチームがJ1で安定した戦いをするというのがまず1つ。それと、数年前から道内各地にU―12やU―15のユースチームを増やしています。昨年は釧路、今年は旭川。あとは道南にも、もう1カ所考えています。全道で指導環境を用意して、上のカテゴリーへ進める可能性のある子どもたちにリーチできる環境をつくる。最終的には札幌のU―18に、寮(しまふく寮)もあるので、さらに上を目指したい、成長したいという子たちを集められるようにしたい。目標はユースやアカデミーだけで3000人の“ファミリー”をつくりたいと思っています。今はまだ延べ1000人くらいなので、それを3倍にしようと。J1でトップチームが安定した戦いをして、アカデミーはU―18を目指すような形で道内各地に普及を拡大していく。この2つを目指します。

砂川 うちの子もコンサのスクールに体験入学します(笑)。俺自身もそうですが、北海道でサッカーをしている、好きな人たちの誰もが目指すクラブになってほしいし、それを目指してクラブは動いている。俺も、少しでもその力になれればと思っています。

(構成・清水)

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