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道内企業のクラウド化を促進し「働き方改革」を実現
取材日:2017年1月

写真大 主治医のような社会保険労務士法人オフィスオカモト代表 岡本洋人 おかもと・ひろと/1973年札幌市生まれ。大学を卒業後、住宅メーカー、速記事務所に勤務。98年に社会保険労務士試験合格。大手会計事務所に転職し、2003年から同会計グループの社会保険労務士法人代表。06年にオフィスオカモトを設立。

写真 マネーフォワードのMFクラウドは必要な情報をリアルタイムで見ることができる 写真 「クラウド導入で働き方が変わる」と力説 写真 経営理念などを示した「100年ドアーズ」

 昨年10周年を迎えた「オフィスオカモト」。自らを〝主治医のような社労士法人〟と命名し、道内の中小企業経営者に寄り添っている。近年は業界に先駆けてクラウドの導入を推進している。その有用性などについて岡本洋人代表に話を聞いた。

【1日半かかっていた仕事を新人が5時間で 】

 ──複数のクラウドサービスを使われていますね。
 岡本 チャットワーク(コミュニケーションツールの一種)や、会計業務、請求書管理、給与計算、勤怠管理、経費精算などあらゆる分野に用いています。

 ──クラウド導入で何が変わりましたか。
 岡本 一番便利になったのが、会計業務です。当社は、記帳代行は会計事務所にお願いしているのですが、試算表として戻ってくるのに時間がかかっていました。クラウドなら売上管理ソフトと連携すれば、ボタンひとつで売上や売掛金の仕訳データが自動で登録できます。経費管理ソフトと連携すれば、今月の支払いがいくら必要かまですぐわかる。例えるなら、いままではアイマスクをして経営していたが、それが取れたくらいの変化ですね。

 ──面倒だった請求書作成も簡単になったと聞いています。
 岡本 従来は請求書と会計とそれぞれのソフトが必要で、2つのデータを作成していました。クラウドに変えると、データ連携をしてくれるので、二度手間を省けます。当社の場合は8割以上が顧問報酬など毎月定額の売り上げなので、「繰り返し設定」をしておくと、毎月決まった日に請求書ができあがり、あとは追加や変更をチェックするだけです。
 従来はベテランでも1日半かかっていた請求書の作成業務を、いまは新卒の社員が担当し、請求書の作成から口座振替の手続き、発送業務までおよそ5時間で完了です。印刷した請求書を封入して、切手を貼って、郵便局に持っていくという一連の作業もクラウド上で全て完結してしまいます。しっかりチェックした上での5時間なので、実際はもっと短くできると思っています。

 ──現在は他社へのクラウド導入をサポートしています。
 岡本 弊社でクラウドを使ってみて非常に満足しているので顧問先に推奨しているところです。顧問先の悩みで多いのが「請求書の作成業務」や「経費精算」といったバックオフィス業務が本業を圧迫しているケースです。しかし、クラウドを導入すると、今まで二度手間三度手間かけていた作業が丸ごと不要になります。

 ──業種ごとの具体例を教えてください。
 岡本 ある歯科医院では、歯科衛生士兼事務を担当する奥さまが毎週土曜日に休日労働していました。会計事務所に送るために通帳を見ながらエクセルに記帳作業をおこなっています。また月に1回は給与計算があります。これも紙のタームカードを両面スキャンし、さらにエクセルシートに打ち込んでメールで送っている。そうすると会計事務所側でもチェックが必要。給与が月末締め10日払いの医院だと、年末年始や大型連休は大忙しです。
 クラウド化をすると、ネットバンキングの記帳データを取り込んで仕訳も提案してくれるだけでなく、2回目以降は人工知能が学習して仕訳してくれます。毎月の作業がどんどん楽になっていく。仕事が「処理型」から「チェック型」に変わるので、間違いも減り、処理のスピードもあがります。休日労働はもちろん、平日のお昼休みに銀行にいくといった作業もなくなります。

【無駄な作業を削減し大幅に業務を効率化】

 ──ほかの導入例は。
 岡本 まだ導入準備中ですが本社と3つの店舗がある「タイヤ販売店」では、会計、給与、勤怠など1本あたり100万円以上する高額なソフトを使っていました。しかもタイヤメーカーから提供された販売管理ソフトや在庫管理ソフトも使っていたのですが連動性がなかった。
 さらに店舗では販売管理用のソフト、自社用のエクセルデータ、さらに会計ソフトに打ち込むという作業をおこなっていた。
クラウドに変えると、作業手順が減り、大幅に効率化できます。

 ──当初は反対もあった。
 岡本 役員の方は現状でもシステムにかなりの設備投資をしているので「これ以上の効率化は難しいのではないか」と半信半疑でした。実際はクラウドの各ソフトは1つ数千円です。メンテナンスや保守費用もかからないので、従来ソフトの年間の数万円の保守費用で全てまかなえるうえ、かなりの業務効率化を体感いただきました。

 ──推奨しているクラウドサービスはありますか。
 岡本 弊社ではマネーフォワード(本社・東京都港区、辻庸介社長)の「MFクラウドシリーズ」を活用しています。2年前に他社のクラウドソフトも使ってみたのですが、当時は操作性が素人向けでやや物足りなかったり、ソフト同士の連動性もなかった。自社での積極活用やお客さまにおすすめするまでに至りませんでした。
 昨年、フィンテックのセミナーでマネーフォワードの担当者とお会いしました。大変フットワークが軽く、親身になっていただいた。昨年2月には札幌支店も開設され、より身近な存在になりました。東京での新しいサービスや情報を届けていただけますし、先日弊社に辻社長もご来所いただきました。

 ──他社ソフトと比較してどこが優れていますか。
 岡本 給与計算ソフトの例ですと、パッケージソフトにはない、便利な機能として、社会保険料等の料率変更が自動でアップデートされ、難しい操作も必要ないことです。また従来型は保険料率のデータを更新してしまうと、過去の給与計算のやり直しが難しいのですが、変更前にさかのぼれるのもメリットです。
 勤怠ソフトと給与計算ソフトが連携しているため、年次有給休暇の管理ができる勤怠ソフトのデータも自動で取り込み、昇級等がなければ給与計算は完了です。弊社の場合50社の給与計算の代行を請け負っていますが、クラウド化により大幅な省力化ができます。

 ──昨年10周年を迎え、経営ビジョン「100年ドアーズ」を作成されています。
 岡本 当社が100年続く企業であるための経営理念と哲学を示したものです。労働生産性を高めることで、従業員の労働時間の削減と給与のアップをおこない、10年後に従業員の年間労働時間を1200時間、年収を700万にします。海外に住みたいとか、カフェで働きたいなど従業員の希望をかなえるため、場所や時間の自由度を高め、真に豊かな生き方を実現することを目標に定めています。

【クラウド化で「働き方改革」をサポート】

 ──クラウド化で働き方を変えるのですね。
 岡本 われわれの本業は労務相談ですが、調べてみるとスタッフはメールや電話、調べもの、お客さまとのやりとりなどに1日2時間費やしている。スタッフ10人で1日20時間。1年で4800時間です。また手続き代行業務でも同様の時間がかかっている。そのためスタッフ1人あたりの年間平均労働時間は2490時間(2015年実績)にのぼっていました。
 しかしクラウド導入などの取り組みにより、この1年で2260時間に削減できました。今年は2000時間まで削減させます。

 ──安倍晋三総理も「働き方改革」を提言しています。
 岡本 弊社も来年1月から在宅ワークや事務所以外の場所で仕事をできるようにします。ただ障壁もある。例えばデータが会社のサーバーにあると、アクセスに制約があり、セキュリティ対策が難しい。しかし、これもセキュリティレベルの極めて高いクラウドサーバーにデータをおいておけば解決できます。
 今後はAIの活用も検討しています。弊社はアメリカでは医療の世界でも導入が進んでいるコグニティブ・コンピューティング・システム「ワトソン」を労務管理の分野に使う計画です。昨年3月に日本IBMの開発責任者とお会いして、ワトソンによる労務相談質問応答システム(チャットボット)の試作品開発に投資しました。ワトソンは、機械学習でどんどん賢くなっていくため完成とは言えませんが、今年10月には実用化する計画です。

 ──クラウド化の時代に社労士の役割とは。
 岡本 クラウドで働き方を変えることができます。しかし、まだその魅力は十分に伝わっていません。お客さまの身近で接している社労士や税理士など士業自身がクラウドを使いこなし、その重要性をお客さまに伝えていく必要があると思います。
 弊社は2026年には、日本の労務トラブルを大幅に縮減し、顧客も従業員もみなが幸せになっている社会をつくっていきたい。クラウドはそのためのツールと思っています。

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