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池上公介氏 著名人との対談で語った〝金言〟の数々
取材日:2016年8月

写真大 1940年札幌市生まれ。 65年に英語英才塾「池上イングリッシュクラブ」開設。2004年池上学院高等学校、09年グローバルアカデミー専門学校を開校。教育弱者救済が信条。日本青少年育成協会理事。

写真 教育にかける思いを誌上でも訴え続けてきた 写真 札幌市長の前は教育長も務め教育問題に精通する桂信雄氏と 写真 終始和やかな雰囲気でおこなわれた町村信孝氏との対談 写真 旧知の間柄でもあった永六輔氏と 写真 似た境遇の下村博文氏とは発達障がいについて意見交換

池上学院グループの池上公介理事長が教育界に身を投じたのは今から51年前の1965年。さらにいじめや不登校児、発達障がいなどの教育弱者救済を打ち出してからも31年がたつ。その間、弊誌において政治家や首長、文化人など数々の著名人と対談してきた。その中からキラリと光る池上氏の珠玉の〝金言〟を取り上げてみた。

【教育にかけた半生 弱者救済に邁進】
「池上学院高等学校」「池上学院グローバルアカデミー専門学校」などを運営する学校法人池上学園理事長の池上公介氏が、教育界に初めて足を踏み入れたのは1965年のことだ。理想の教育を目指し、得意の英語力を生かして英才教育の「池上イングリッシュクラブ」を開設。東京五輪の翌年で、英語の重要性が高まるのを見越してのことだ。
1985年には中学浪人生のための高校再受験予備校「池上学院」を開校。他の予備校が計画倒産したことにより路頭に迷った中学浪人生を助けたいとの一心からだった。
これを機に、いじめや不登校、中退者、学力不振といった、いわゆる〝教育弱者救済〟に方針を一大転換。〝池上メソッド〟と呼ばれる独自の教育理論で多くの子どもたちに手を差し伸べてきた。
2004年には単位制通信制高校「池上学院高等学校」を、さらに09年には発達障がい者を就労へと導く社会生活学科を併設した「池上学院グローバルアカデミー専門学校」を開校。半世紀にわたり、一貫して自らの信じる教育を実践し続けている。
これまでに『不登校・引きこもりからの奇跡の大逆転!』『叱り方の極意』など多くの著書も執筆。論客としても全国に知られ、弊誌でも数々の著名人と対談。教育界の改革を訴えるなど一石を投じてきた。
そこで今回は過去の対談記事を振り返り、その中で生まれた〝名言〟や〝金言〟を拾い上げる。

【落ちこぼれを立ちなおらせる秘訣を熱弁】
まず、00年新春号で対談したのは当時の札幌市長・桂信雄氏。「21世紀を生きる子供たちに私たちができること」と題し、子どもたちの現状や札幌市の教育に対する対応について議論した。
主に公教育といじめや学力不振などについて意見交換し、平等と能力教育のバランスに話が及んだ際には
「その子の能力に合わせ適切な教育をおこなえば、どんな子もわかるようになることは私自身、いくらでも経験しています」と自身の経験を踏まえて語っている。
「私が池上さんの教育方針に感心していることは、子どもたち一人ひとりに合わせた勉強のやり方で目標を掲げ、それに向かってともに努力し達成していることです」と桂氏。
「難しい勉強でも教え方で必ず理解してくれる。分かりはじめると子どもたちはどんどん自信を持っていくんです。好きな分野で能力を伸ばすのと同じように、不得意分野の克服によっても大きな自信が得られるんです」と不登校児が学校に復帰できた事例を紹介。その秘訣について熱く解説している。
また01年2月号では、当時の文部科学大臣だった町村信孝氏(故人)と対談。総理(当時)の森喜朗氏が掲げる教育改革の先頭に立つ町村氏とは「明日の教育」を巡って白熱したトークが繰り広げられた。
この対談のときに池上氏が懸念材料としてあげていたのが家庭(親)の崩壊だ。非行など問題を抱える子どもたちの多くが親の放任主義に起因していると社会的要因を指摘している。
「日本人が自信を失ったのは2回あると思う。1つは黒船が来たとき。(中略)そして第2次世界大戦。(中略)このことによって日本人が古くから大事にしていたものを子どもたちに伝えなくなってしまった。そのツケが50年たってすべて表に出てしまったということではないでしょうか」
この後、池上氏は親子関係の崩壊についての具体的な例を語っている。
「教育改革がどうだとか、制度がどうのこうの言う前に、家庭や地域が、きちっと子どもを躾ける社会を取り戻さないことには、子どもたちがとんでもないことになってしまう」と警鐘を鳴らしている。
また、町村氏が家庭における教育のあり方を問いかけた際には「教育には体育、知育、徳育があるが『食育』というのが欠けていると思う。家庭の中で今いちばん問題になっているのは、食卓の崩壊です。個食化して家族そろって食事することが極端に少ない。しかも食べる物が別々。子どもには好きな物しか食べさせない。さらにテレビを観ながらの食事。家族の会話がまったくありません」と指摘。食事習慣や栄養学といった多角的な視点から、子どもたちの現状についても言及している。

【笑顔の対談の中でときには厳しい意見も】
同年8月号では、先日亡くなった放送作家でタレントの永六輔氏と対談。この時すでに20年以上前から親交を深めていた2人は忌憚のない意見を交わした。一人っ子が多くなり、親戚から学べる機会が少なくなったことを嘆く永さんに対して「温室育ちの花を、そのまま北風に出すみたいで過程がない。『王子さま、王女さま』みたいに育てられちゃって、そんな子ばかりだから、不登校が増えてくる」と、過保護に育てられた現代っ子の境遇を指摘した。
さらに全国各地域を公演で巡る池上氏は都会と田舎の子どもの違いについて「地方や郡部に行きますと、そういうところでは不登校の子は少ない。ところが都会になると、どんどん増える。不登校中退専門のサポート校というのが、東京には30校以上もある。札幌でも不登校が増えてきていますが、私のところの札幌高等学院(当時)が全道で唯一なんです」と現状との乖離について発言をしている。
また、家庭の現状について話が及び「親に対する尊敬や畏怖の念がきわめて希薄になっている。いわゆる一家の大黒柱が今はなくなってしまった。だから家庭がグラグラしちゃうんですよ」と訴えている。
学校法人池上学園では不登校やいじめ問題だけではなく、09年に「グローバルアカデミー専門学校」を開校し、障がい者の教育支援・就労支援へと領域を拡大した。こうした時期に対談したのが当時の文部科学大臣だった下村博文氏だ。ともに母子家庭で育ち、塾を経営するなど共通点の多かった2人。さらに下村大臣のご子息が学習障がいを抱えていたこともあり、率直な意見が交わされた。
「義務教育以降は発達障害の子どもは放置され、施設で社会的に隔離されているのが現状です。難関の試験を突破して入学してきた一流大学生が実は発達障害で、就労できない。大学側も放置していると聞きます」と現状を報告。また「私は発達障害ではなく〝発達潜在〟と言い換えていますが、社会の偏見をなくすためにも本人や親、教育現場の知識不足が大きな問題ですね」と時の文部大臣に対しても厳しい視点で問題提起していた。
◇  ◇  ◇
このように最前線で教育の不備に立ち向かい続けてきた池上氏の半生。特にいじめや不登校、発達障がいなど、社会から見逃されがちな問題に取り組んできた。
今では卒業生が集う「池上未来塾」が結成され、すでに50代になり社会で活躍している教え子たちが池上氏のもとに集まって近況を報告し合っている。
最近では、池上学院高校の地域キャンパスを道内主要都市7カ所に開設するなど教育の地域格差の解消に乗り出しているほか、経済的な理由から高校に通えないといった貧困問題などに対応する新たな取り組みも始動する予定だ。

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