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敏腕経営者が挑む次なる市場は…企業主導型保育所で社会貢献
取材日:2017年7月

写真大 狩野美香子社長 (かりの・みかこ)1953年生まれ。99年に介護サービス輝を設立。14年にゼンショーホールディングスの傘下になり、同年6月株式会社化と同時に社名を「輝」に変更。17年4月に顧問に就任。その後、「狩野」を設立し、社長に就任。

 高齢者向け賃貸住宅のパイオニアとして、介護事業と賃貸事業を結びつけたビジネスモデルを生み出した狩野美香子氏が、新会社を設立。企業主導型保育事業に乗り出した。今秋以降、道内3カ所に保育所を開設する。将来のビジョンについて思いを語ってもらった。

【待機児童問題を解決し、社会貢献にも】

 ――企業主導型保育事業はどういったものですか。

 狩野 待機児童問題の解決と、仕事と子育ての両立を目指し、2016年度から内閣府が主導している制度の事業モデルです。企業のニーズに応じた保育所の設置や運営を柔軟に助成する画期的なもので、企業内保育所とは異なり、園児の半数を企業から、残りは近隣から募集できることが特徴です。

 認可外保育施設に位置づけられますが、国から賃料や事務員の賃金など保育所の運営費・整備費が助成されます。

 ――新たな分野に挑戦しようと思ったきっかけは。

 狩野 今年の4月に介護事業を手がける「輝」(かがやき)の代表を退き、顧問に就任したことが1つのきっかけです。ある程度自由がきくようになり、新たな挑戦をしたいと考えていました。その矢先、待機児童問題に起因する教育制度の改変が目にとまりました。

 待機児童問題は女性の社会進出ともからみ合って、政府や行政機関は世論の批判にさらされています。私も子育てと仕事の両立をしてきましたが、やはり働きたい女性が短時間でも働ける世の中にしたいと思いますし、この制度を活用することで社会貢献にもなると思い、保育所の経営を決意しました。

 ――「輝」の前身である「介護サービス輝」を開業したのも、同様の動機でしたね。

 狩野 開業した1999年は、高齢化社会における将来の課題が山積していました。施設に入れない、病院に入れないという人が多かった。そこで介護事業と賃貸事業を融合した新たなビジネスを立ち上げました。待機児童問題も大きな社会テーマになっていますが、問題点がたくさんあるほうがビジネスの糸口は見つけやすいですし、解決のしがいもあります。

 ――保育所運営に参入する企業が増えています。

 狩野 大手福祉事業者などさまざまな業種が参入していますが、しっかりとした理念がなければうまくいかないでしょう。ただ、私の性格上、競合が増えた方がモチベーションが上がる。独自の特色を出して、選ばれる保育所を目指します。

 ――具体的には。

 狩野 やはり福祉事業で得たノウハウを活かしたい。安心・安全な環境を整備するだけでなく、アレルギーにも対応した食事を用意するなど、細やかな部分にもこだわります。もちろん教育も重要です。テーマは〝よく学び、よく遊ぶ〟。読書や音楽をはじめ、のちのちは英語講師を招いた英語遊びなども取り入れたい。保育所は子どもを〝預ける場〟というイメージがありますが、それだけにとどまらず、情操教育的な要素を取り入れていきたい。人の話を聞けるのはもちろん、正しい言葉使いを小さいうちから身につけさせるなど、就学前の準備にも力を入れたい。卒園児がどのような大人に成長するか、とても楽しみですね。

【まずは道内3カ所で保育所をオープン】

 ――すでにオープンも決まっているようですね。

 狩野 最初の施設が札幌市手稲区に11月にオープンする予定です。現在、既存施設を改装中です。さらに、来年3月までに石狩市と白石区に開設します。こちらの2施設は新築で、規模はそれぞれ30人ほど。提携企業も決まっています。まずは目の届く範囲で地に足をつけて、やみくもな拡大路線は目指していません。現場はプロに任せ、子どもと高齢者との交わりなど、私だからできることを企画していきます。

 ――保育士不足が深刻ですが、対応策はありますか。

 狩野 待遇面での差別化に着手します。そのための助成金ですから、働く側に還元しないと意味がない。雇用状況をはじめとする業界の底上げにもつながると思います。また、15年に新設された「子育て支援員制度」も積極的に活用します。子育て経験のある主婦が、自治体の研修を受けると取得できる民間資格で、保育士の補助業務が可能となります。年配者でもチャレンジできます。新たな雇用を生み出していきたいです。

 ――今後が楽しみですね。

 狩野 私が保育業界に参入することで、市場が活性化してくれればいいですね。企業主導型保育所は認可保育園とは違い、事業者側である程度の保育料設定が可能。具体的にはまだ言えませんが、利用しやすい料金設定にします。

 後々は引きこもりや発達障害など、問題を抱える子たちにも対応していくなど、保育事業をとことん突き詰めていきたい。今からとてもワクワクしています。待機児童問題は徐々に解消していくはずです。将来的には出生率が上がると期待しています。

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