IT化とファイナンスコンサルで顧客の永続的発展を目指す
経営コンサルティングファームとして活動している税理士法人「ノースブレーン」。
税理士でもある前島治基社長は「企業が赤字になるのは税理士の責任」と断言する。単なる代行業務から脱却し、付加価値提供型の会計事務所として実績を積んでいるからこその発言だ。
一般的に税理士業務は、記帳代行や決算申告業務など〝過去〟の集計業務に終始しているのが現状だが、前島社長は「いわゆる〝税理士業務〟の大半は近い将来AIがおこなうことになるでしょう。当社のスタンスはクライアントの永続的発展。税務はそのための手段にすぎない」と先をにらむ。
同社では、集計業務で得た財務データをもとに「未来の見える化」と「先回り化」を顧客に提案している。
現在から1年以内の短期的未来と5~10年先の中長期的未来をシミュレーションするのが「未来の見える化」。短期的未来は、決算書などの過去の財務データをもとに損益予算を計画し、借り入れに対する返済計画や設備投資計画、売掛金の回収サイクルなどを加味した資金繰り計画を提供。中長期的未来については、経営者との対話の中から漠然としている将来像を数値化する。
同時に浮き彫りになるのが現在の弱点と将来のリスクだ。それらをあらゆるデータから徹底分析し「先回り化」する。例えば、資金ショートが生じる時期を導き出し、事前に対策を講じることができる。
銀行マンから税理士に転身した前島社長は「資金調達で最も有効な対策は、内部留保を増やすこと。節税が悪いとはいいませんが、内部留保が少ない企業に金融機関は金を貸さない。バランスシート(賃借対照表)の内容で決まります。当社は、資金繰りおよびバランスシートの正常化を図るファイナンスコンサルティングを提供しています」と語る。
また、顧客が本業に集中できる環境を整えるため、フィンテックなどのITを活用した管理業務の「超高速化」も提案。勤怠管理や経費精算と会計システムを連動させるなど徹底的な効率化により、社員の生産性を向上させ、利益体質の企業へと変貌させる。
「ITスキルと財務ノウハウを融合させた独自のメソッドで、顧客に貢献していく」と前島社長は力を込める。