「情報を先取り、タブーに挑戦」を編集方針とし、生活者・企業経営者に
最新かつ有益な情報価値をご提供する、北海道の地域政治・経済誌

ロゴ

トップページ >   情報INDEX > とんかつ玉藤 大盛況!どうきゅうハワイ進出成功3つの秘訣

報INDEX

このエントリーをはてなブックマークに追加

とんかつ玉藤 大盛況!どうきゅうハワイ進出成功3つの秘訣
取材日:2017年5月

写真大 左から伊芸デービッドハワイ州知事、中西泰司どうきゆう社長、高橋はるみ北海道知事。5月8日、ホノルルでおこなわれた「北海道とハワイ州の友好提携署名式祝賀レセプション」会場にて。北海道とハワイの架け橋となった同社を象徴するようなワンカットだ

写真 開店から3カ月たったが行列が途切れない 写真 伊芸デービッドハワイ州知事(中央)夫婦と 写真 三澤康在ホノルル日本国総領事(左)と 写真 ルイスサラベリアハワイ州経済局長(右)とランス水本セントラル・パシフィック・バンク元頭取(左)と 写真 店内は国内同様の純日本風のつくり 写真 メニューの表記も日本語がメーン 写真 職人の媚山佑太さん(左)と近藤正広(右)さん 写真 高橋はるみ北海道知事も視察に 写真 視察に訪れた石井純二北洋銀行頭取(左)と中西社長

 どうきゆう(本社・札幌市、中西泰司社長)が米国ハワイのホノルルに「とんかつ玉藤」カパフル店を開業して3カ月。行列が絶えない繁盛店として注目を集めている。北海道発祥の飲食店がハワイで成功を収めた3つの秘訣「緻密なマーケティング」「現地での人脈構築」「妥協のない味へのこだわり」に迫った。

【カパフル店は行列が途切れぬ繁盛ぶり】

 どうきゆうは、産業給食・外食産業の道内最大手。道内の企業や病院などの給食を受託しているほか「牛角」や「まいどおおきに食堂」といった飲食店をフランチャイズ展開。自社でも「旬屋」などの飲食店を手掛けている。昨年6月1日には、パスタ専門店「チロリン村」の商標権を取得し、札幌、旭川などで直営・FC店合わせて10店舗を運営している。

 1952年創業のとんかつ専門店「玉藤」を傘下に収めたのは96年。現在は札幌、千歳に展開し、道内9店舗に拡大している。

 中西泰司社長が、この伝統ある玉藤のハワイ出店を、計画したのは3年ほど前だ。「欧米の日本食ブームに加え、当時はハワイに本格的なとんかつを提供する店がなかった。ハワイ出店は社員の総意。士気も大いに高まった」(中西社長)と経緯を語る。

 同社にとって初の海外進出となる「とんかつ玉藤」カパフル店は、米国ハワイ州オアフ島ホノルル市、ワイキキビーチにほど近いカパフル通りに面した商業ビルの2階に立地。人気の飲食店が軒を連ねる激戦地でありながら、今年2月11日のオープンから連日大盛況。3カ月が経過した現在も行列が途切れることはない。「同店は42席ですが、おかげさまで1日7回転するほどの盛況です」と中西社長。道内の大型店に匹敵する来店客数を誇っている。

【市場調査など3年かけて入念に準備】

〝観光立国〟という共通点を持つ北海道とハワイ州は、かねてから幅広い交流をおこなっていた。5月には、経済や観光、農業、教育などの幅広い分野で交流を深められるように友好提携を締結。道は、年間800万人の観光客が訪れる世界有数の観光地ハワイを通して、北海道の魅力を発信していくことも狙いの1つとしている。

 北海道とハワイ州の関係がより深まるきっかけとなったのは、2012年のハワイアン航空による新千歳〜ホノルル直行便の就航。14年には友好提携を視野に入れた協力覚書に調印している。これにともないハワイへ進出する道内企業も増加、なかでも飲食店の出店が多い。

 しかしハワイへの出店は容易ではない。「工事の許認可に長期間を要する」「高い建築コスト」「高い人件費・就労ビザ取得が困難」といった側面があるからだ。また、言語の違いはもちろん、文化や法律など越えなければならないハードルは多い。

 同社では2015年4月、ホノルルに現地法人「DOKYU USA」を設立。玉藤の開店に向けて着々と準備を進めてきた。進出に際して重きを置いたポイントが3つある。それが「綿密なマーケティング」「現地での人脈構築」「妥協のない味へのこだわり」だ。

 中西社長は、入念な市場調査をおこなうため、自ら自転車でホノルル市内の街路を探索。既存の飲食店の状況や賃貸物件などをくまなく調査した。「ハワイは車社会。駐車場がないと多くの来客が望めない」(中西社長)など、条件に適した良質な物件を求め自力で探し歩いた。

 同時に現地での人脈づくりにも奔走する。もともと同社はハワイ産のパパイヤを輸入していた関係でハワイ州農務省とのパイプがあった。中西社長の生来の人柄もあり、現地の弁護士、金融機関といった実務にかかわる人脈はもちろん、官庁との関係構築にも尽力。現在では伊芸デービッドハワイ州知事、三澤康在ホノルル日本国総領事、北洋銀行とも業務提携しているセントラル・パシフィック・バンクの齋藤譲一名誉会長など、そうそうたるメンバーと懇意にしている。

【職人を2人配置し伝統の味を提供】

 そして中西社長が最も力を注いだのが、今年で創業65周年を迎える「玉藤」の伝統の味をそのままハワイで提供することだった。

 その手法は、厳選した豚肉を低温で18日間熟成。厚切りの肉を直径60センチの大型銅鍋で肉汁を閉じ込めながらサクッと揚げる。独特の旨味とやわらかさが同店の特徴。長きに渡り数多くのファンを虜にしてきたのは、職人が伝統の味を受け継ぎ、守り抜いてきたからだ。

 カパフル店には、国内のエース級の職人2人を送り込み、この伝統的な手法を再現。食材調達の関係上、豚肉、油やパン粉などは米国産を使用しているが、米は精米したての道産ななつぼしを使用するなど味へのこだわりは国内の店舗に引けをとらない。看板メニューの熟成ロースかつやヒレかつ、カキやエビフライなど、ハワイ在住者はもちろん、観光で訪れた外国人にも高い評価を得ることになった。

 138平方メートル程の店内は国内店舗と同じように木造づくり。看板やメニューも日本語表記をメーンとしているのも特徴的。これは「北海道で培ったスタイルをそのまま持ち込めば必ずハワイでも認めてくれる」という中西社長の強い意向によるもので、純和風の日本情緒あふれるつくりを貫いた。

 また、全面開放型のオープンキッチンを設置しているのも特徴で、丁寧な職人の手さばきが客席から見えるのも好評。味はもちろん接客や店の設えまで、ハワイで玉藤の伝統を全て再現している。ブランドに対する絶対の自信と誇り。これが成功の最大のポイントになったといっていいだろう。

 同店には噂を聞きつけた著名人や現地の日本人が数多く来店している。

 道内からも高橋はるみ北海道知事らが来店。視察に訪れた石井純二北洋銀行頭取は「視察をさせていただき、ハワイで道産子の伝統の味が高い評価を得ていることに感激しました。どうきゆうのハワイ進出はまさにサクセスストーリー。〝第2の玉藤〟が出てくるよう北洋銀行として万全のサポート体制をとります」と語っている。中西社長はハワイでの多店舗化も視野に入れており、さらなる事業展開に意欲的だ。

その他