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Interview

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“究極の鮮度”の
スーパードライを北海道中に!
掲載号:2016年6月

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平野伸一 アサヒビール社長

「アサヒグループホールディングス」の中核企業である「アサヒビール」の北海道工場は今年4月に竣工50周年を迎えた。3月に同社社長に就任した平野伸一氏に、同工場への思いやビール市場で圧倒的なシェアを誇る同社の展望を聞いた。

ダイバーシティの最先端企業である

平野伸一氏は1956年1月16日、兵庫県生まれ。早稲田大学教育学部卒。79年アサヒビールに入社し、経営企画部中国室長、執行役員埼玉支社長、専務取締役営業統括本部長、副社長などを歴任。2016年3月18日付で同社社長に就任した。

――アサヒビールではこれまでの「アサヒドライプレミアム」をクオリティーアップさせ、4月12日に「アサヒドライプレミアム豊醸」を新発売しました。平野社長は、CMキャラクターに起用した女優の柴咲コウさんとともに同11日におこなわれたマスコミ向けのCM発表会に出席。その席上、柴咲さんから新商品を注がれていました。

平野 柴咲さんについでいただいたビールでしたから、余計においしかったです!飲み過ぎてしまいました(笑)。

この商品の特徴は最大級の“コクと“香り”です。そして、アルコール度数は6・5%と高く設定しています。ビールは度数が高くなると、アルコール臭といいますか、独特の臭いが残り、味にも影響がでてくるのですが、ドライプレミアム豊醸は、その心配が一切ありません。夏場にかけて、ギフト用としても期待をしています。

――同じくビールでは、アサヒとして7年ぶりの新ブランドとなる「アサヒ ザ・ドリーム」を3月23日に新発売しました。

平野 この商品は究極のコクキレでありながら、糖質50%オフのビールです。糖質を下げると一般的にうま味がなくなってしまいますが、このビールは違います。構想から2年かかりました。ぜひ、一度飲んでみていただければと思います。

――社長就任から2カ月が経過しました。

平野 社長就任後、全社員に向けた最初の「社長朝礼」を、当社発祥の地である吹田工場(大阪府)でおこないました。そのときに「アサヒビールはダイバーシティの最先端企業である」という話をさせていただきました。

日本でダイバーシティといえば、女性、外国人、障害者の登用というイメージが強いかもしれませんが、それを示したかったわけではありません。本来の意味である「多様性」と、ダイバーシティの考え方の根底にある受け入れる度量「受容性」を持った企業であるということを伝えました。

――「ダイバーシティの最先端企業」である理由を教えていただけますか。

平野 当社は1987年に「アサヒスーパードライ」を発売し、ビッグブランドになりました。その年の販売箱数は1350万箱、2年目は7500万箱、3年目は1億箱に達しました。それから27年間連続で、1億箱を超え「日本で一番飲まれているビール」に成長しました。

スーパードライのおかげで、会社も急成長しましたから、同時に人材不足に陥りました。そのため、企業としてキャリア採用を積極的におこないました。

また、近年では2001年に北海道とも縁の深い「ニッカウヰスキー」を営業統合。翌02年には「協和発酵工業」と「旭化成」の酒類部門を譲渡されました。

事業統合した企業は通常、人材をすべて受け入れないケースもあるのですが、当社では全員採用を基本としました。企業としては、プロパーとキャリア採用組のほか、ニッカ、協和発酵、旭化成、マキシアム――の出身者が在籍する形となりました。

最初のうちは同じ出身者同士で“村”をつくるのですが、当社では人事異動などで、それをすべて〝シャッフル〟しました。すべての人材を受け入れたこと、それをシャッフルしたことにより、自然と多様性や受容性が生まれる環境になっていったように思います。

当社はかつて、ビール事業しかありませんでしたが、「ウイスキーのプロが加わりました」「ワインのプロが加わりました」「RTD(チューハイなど、開封後そのまま飲めるドリンク)のプロが加わりました」――弱い部分を補完して、さらにその相手を受け入れる土壌があった。

これはまさしくダイバーシティなんですよ。こうして当社は近年、ビール製造・販売だけではない「総合酒類企業」の体制が確立されてきました。

若者がビールを飲む環境づくりを

――経営方針について教えてください。

平野 理詰めでシェアを伸ばしていきたいと思っています。社内に関しては、社員の成長を通じて組織の成長を促していきたいです。1人のヒーローがけん引していくと、大きな組織であればあるほど、その成長には限界がきます。毎日、日替わりヒーローが誕生するような組織が理想です。

また、現場重視の経営を目指すほか、「食の安心・安全」「自然環境保全」など、社会的課題解決へ積極的に取り組む企業を目指していきます。

――若者の“ビール離れ”についてはどのように考えていますか。

平野 缶チューハイにユーザーが流れるなど、確かに若者のビール離れは進んでいます。ただ、本当に若者はビールが嫌いなのかと聞かれたら、そうではないと感じています。

傾向として、いまの若者は「キレのある飲みやすいアルコールを望んでいる」と思います。そのため、当社では昨年、アルコール度数5.5%の超辛口の「アサヒスーパードライ エクストラシャープ」を期間限定で発売しました。若者をメーンターゲットにしたのですが、非常に好評を得ています。

また、昨年は春限定で、桜をデザインしたピンク色のスーパードライも市場に投入し、これも反響は大きかったです。この商品は「シルバーメタリックのスーパードライを買うのは正直、男性的イメージが強すぎて躊躇する」という若い女性の声から誕生しました。昨年におこなった伊勢丹様の女性社員と当社の女性社員による共同プロジェクト内での会話でした。

いまの若者はビールを飲む機会が減っています。アルコールも多様化していますからね。エクストラシャープもピンク色のスーパードライも、若者のビール離れを防ぐというよりは、一人でも多くの若者にビールを飲んでもらえる環境づくりをすることが重要ではないかと考えて発売しました。

北海道工場限定で製造後翌日以内に

――北海道工場は今年、竣工50周年を迎えました。

平野 本当に地元の方々に対しては感謝に堪えません。当社はもともと北海道に基盤がなく、ゼロからの出発でした。そこから50年も存在させていただいたわけですから。

当社の発祥は1889年創業の「大阪麦酒(ビール)」です。その後、1906年に大阪麦酒、札幌麦酒、日本麦酒が合併して「大日本麦酒」が誕生。そして、第2次大戦後の49年にGHQ指導のもと、「独占企業はダメだ」ということで「朝日麦酒」とサッポロビールの前身である「日本麦酒」に分かれました。

日本麦酒の拠点は東日本で、当社は西日本。そのため、設立当初は北海道とのかかわりはまったくありませんでした。北海道で当社の商品を扱ってもらうようになったのは52、53年ごろから。ただ、しばらくは東北の卸店様が細々と市場に流す程度でした。

しかし、61年に「北海道酒類販売(以下、北酒販)」様に扱っていただくようになってから販売網が拡大しました。その後、63年に北酒販様との合弁会社である北海道アサヒビールが設立。66年に北海道工場は稼働しました。

ところが、アサヒビール全体としては当時、決して業績がいいとは言えず、「アサヒ」ではなく、「夕日ビール」と揶揄されていた時代でした。80年代中盤には市場シェアが10%以下にもなりました。その後、87年発売のスーパードライをきっかけに現在の当社の地位を築くまでになりました。

そのため、北海道工場が50周年を迎えるにあたり、北酒販様など関係先から「北海道での歴史は当初、つらい20年だったけど、残りの30年はいい時代を歩んだ」とのお声をいただき、本当にありがたい限りです。

――北海道工場は札幌市内では唯一の大規模ビール工場となります。

平野 当工場では現在、年間7万キロリットルのビール類を製造しています。品種はスーパードライを含めた主要5種類。一部、ギフト専門などの季節限定商品の製造もおこなっています。

北海道工場の今後については、規模をさらに大きくしたいというのが本音です。新発売した「アサヒ ザ・ドリーム」はまだ家庭用しかありませんが、業務用への拡大も検討していきたいと考えています。そうなると拠点が必要になりますから、ザ・ドリームを北海道でもつくれるようにしたいですね。そのためには、まず北海道でザ・ドリームがたくさん売れることが条件となります。

――北海道におけるアサヒビールの戦略は。

平野 “究極の鮮度”にこだわったスーパードライを北海道中にお届けします。これまでは全国的に製造3日以内に出荷していましたが、4月末から北海道工場限定で製造後翌日以内に出荷する「鮮度実感パック」を生産します。毎月、月末時期の決まった日などに、この商品が店頭に並ぶことになります。

当社にとって初の試みで、今年1番の目玉となります。圧倒的な人気を誇るスーパードライだからこそ継続した出荷が可能です。北海道で多くの支持をいただけたら17年度末までに全国展開したいと考えています。

もちろん竣工50周年を機にという感謝の気持ちもあります。北海道ではいま、日本で一番新しいスーパードライが飲めます。その味をたくさんの道民のみなさまに楽しんでいただければと思います。

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