「情報を先取り、タブーに挑戦」を編集方針とし、生活者・企業経営者に
最新かつ有益な情報価値をご提供する、北海道の地域政治・経済誌

ロゴ

トップページ > インタビュー

Interview

このエントリーをはてなブックマークに追加

高橋道政の基本姿勢は徹底した現場主義掲載号:2014年1月

photo

高橋はるみ 知事

 知事に就任して10年、高橋はるみ氏は常に現場主義とスピーディーな対応に努めてきた。現在、北海道が直面する課題である食クラスター、産業振興、TPP問題、防災などについて、知事の考えを聞いた。

景気回復が実感できるようにサポート

――2013年はどんな年でしたか。
高橋 政権交代があって、株高、円安になり、日本の景気が良くなってきましたね。それが北海道にもジワジワ伝わってきて、日銀短観など、さまざまな景気指標によると、道内も久しぶりに良い状況になっています。中小企業を含めた企業マインドも良くなっています。この状況を全道の小規模な企業、道民の一人一人に実感していただけるように、来年度予算を組んでいきたいと考えています。
また、災害が多い1年だったなと思います。3月には道東を中心とする暴風雪によって尊い人命が失われる、悲しい災害がありました。二度とこういうことが起こらないような対処を建設部に指示し、識者の意見も踏まえて、対処方法を検討し具体的な取り組みを進めているところです。
――このところ全道各地で知事就任10周年を祝うパーティーがおこなわれ、大盛況。12月1日、函館の参加者は、800人の予定とか。
高橋 2013年3月に札幌の後援会にこぢんまりとやっていただいた後、それぞれの地域の後援会で開催しようということになったもので、何カ所かで開いていただいています。そこにスケジュール調整をして出席していますが、本当にうれしい限りです。
ただ、後援会のパーティーは別として、12年は道内14ブロックに2回以上お邪魔しました。しかし、今年(13年)はどうしたことか、すごく行っているところは何回も訪れているのに、まったく行っていないところもあります。それが残念ですね。10月、11月は道外へ行くことが多かったので、その分、道内が不足した感じです。14年は13年に行っていない地域を優先的に回りたいと考えています。
――この10年間を振り返っての感想は?
高橋 さまざまな政策課題、事件、自然災害など、それら一つ一つへの対処を思い起こしますと、長かったようでもあり、あっという間であったようにも思います。
――とくに忘れられない出来事というと…
高橋 課題対処という意味で原点になったのは、2003年夏の台風への対処です。日高、十勝が大雨による大変な被害を受けました。そういう中で、まず現場に行くことを第一にしました。ヘリコプターに乗り、行けるところまで行こうということで、新冠に着陸し、その後は道なき道を行き、状況を把握し、本庁に戻って対策に取り組みました。
あれはやっぱり、現場主義を徹底してやっていかなければならないという、私のその後の行政方針の基本を自ら体現した印象深いことでした。
i2――災害対策に常に心を砕いてきたということですね。2年前の3期目の選挙の直前には、東日本大震災が起きましたね。
高橋 当面予定されていた選挙活動を全てキャンセルし、太平洋沿岸を根室から函館まで駆け足で全部見て回りました。その上で、速やかに対策を講じ、道政史上初、選挙の告示後に臨時道議会を開き、当面の対策を議論していただき、補正予算を組みました。
――何か事が起きたときの即応性を高橋知事は大事にされている。
高橋 それから私とともに仕事をしてくれている道庁の人たちも、もう10年も続けていると、〝高橋のやり方はこういうことだ〟ということを理解してくれるようになってきたと思います。私一人で動いたって事が成るわけではないので、まさにスピーディーに動くということが、組織に浸透してきていると思います。

道内外から評価が高い〝4チェン運動〟

――北海道の〝食〟を知事は就任以来、非常に力を入れています。そこで食クラスターとフード特区に関する取り組みと意義について、お聞かせください。
高橋 北海道は建設業の方々が頑張って開拓し、公共事業を集中的に投入して発展してきました。しかし、一人の花形プレーヤーだけに頼ったチームづくりは大変リスクが大きい時代になっています。
一方、北海道にはほかに資源がないのかといえば、そうではない。21世紀型の資源があふれるほどあります。食はその1つですし、環境の良さ、水資源の素晴らしさ、いま的に言えば再生可能エネルギーなどです。
そういったものを活用して、民間の方々が自立的に発展していただく経済活動、社会活動を道内で展開し、北海道のいわゆるGDP、道民生産力や付加価値を増やしていくことが重要だという思いの中で、この10年間やってきました。
その中の地域資源の最たるものが、食です。これを活性化していくことです。やることは山ほどありました。道産食材を全日空の国際線、国内線の機内食などで使うキャンペーンで、先般、同社の社長がいらっしゃったときに、〝4チェン〟を大変評価していただきました。米チェン、麦チェン、酒チェン、ワインチェンですね。
米チェンは、もともと道内の人が「道産米はまずい」と言って食べていなかったのを、道民のみなさんに食べていただく運動です。あとの3つは、道民のみなさんに地産地消という意味で食べていただこう、飲んでいただこうというのが大きな目的ですが、道外の需要家の「北海道にはあまりおいしいものはないだろう」という意識を変えていくのも目的です。
おコメもいまや、ゆめぴりかが品質も価格も日本一になろうとしています。麦は国産小麦イコール道産小麦ですから、海外品からの代替を進めていきたい。お酒も「北海道は酒米なんてダメだよ」といわれたのが、いまは良い物がどんどん出ています。ワインではここ10年ほど、ワイナリーが次々に立ち上がっていて、全国的に注目されています。ヨーロッパの気候と相通じる北海道では、品質の高いブドウができるので、ワインの品質もどんどん高まっています。
この4チェンを道外の方に評価していただけるのが、私は本当にうれしく思います。これも食のクラスター、食の産業づくりの大きな方向性を示しています。

フード特区の目玉食品機能性表示制度

また、めんたいこや赤福を例にとり、「素材は全部北海道じゃないか」とよく言われます。素材の良さに甘んじることなく、道内で付加価値を高めていこうという努力が必要です。これがフード・コンプレックス国際戦略総合特区につながっていきました。いま一生懸命、食品の機能性表示を含めて頑張っているところです。  その先に食品の輸出も見えてくると思います。食品関係の企業誘致もしたい。北海道のものを素材にしている企業の方々が、それを道外で加工・生産している現状をもっと変えていきたいと考えています。フジッコも来てくれました。ツムラは、薬草を道内で生産しています。再生可能エネルギーも、観光も、北海道の素材のあるものを一つ一つ民間の方々のお力をいただきながら、これからも産業化を進めていきたいと思います。
――機能性食品は、北海道の成長産業になり得る分野ですね。
高橋 食品は、おいしいものをつくるという方向での付加価値の向上もありますが、一方で機能性食品は国内外の健康志向の高まりに対応し、需要が生じています。そのマーケットに打って出るためには、客観的な科学的根拠を備えてPRできることが重要です。それが機能性食品の表示制度の強みでもありますので、その点をしっかり活用していきたいと思います。
ただ、国が認めてくれたいまの表示はちょっと中途半端です。「何に良い」と言ってはいけないのです。「○○に良いという論文があります」とも表示できない。「この食品には○○の成分が入っています」としか表示できないのです。厚生労働省や消費者庁は事故があったときのことを想定しているのだと思いますが、せっかく特区の指定を受け、北海道食品機能性表示制度がスタートしたのですから、この点をもう一歩先に進めてほしいと思います。
――TPP(環太平洋連携協定)については、どのように対処していきますか。
高橋 国会で決議した5品目(コメ、麦、牛肉・豚肉、乳製品、砂糖・でんぷん)をはじめ、小豆、インゲン、軽種馬など、北海道の重要品目を関税撤廃の対象から除外するよう、つい最近も農水大臣に強く強く申し入れをしました。
農水省には北海道選出の副大臣、政務官がいらっしゃるので、われわれの主張をしっかり受け止めながら、政府はTPP交渉をしていただけるものと考えていますが、交渉の動向を注視し、適時適切に、申し入れを続けていきます。
また、いま、減反の見直しという大きな農政上の転換が図られようとしています。このこともしっかりウオッチしていかなければならないと考えています。
――14年に向けた抱負をお聞かせください。
高橋 ①食産業立国の推進やアジア・ロシアなど海外との交流拡大といった「経済の活性化」②本道の豊かで美しい自然環境を生かす「環境先進地づくり」③少子高齢 化を見据えた医療・福祉・子育て支援の充実など「暮らしの安全・安心の確保」―といった3つの分野に力を入れて、道庁の総力を挙げて政策の展開を図りま す。子どもたちからお年寄りまで、道民のみなさまが夢と希望をもって生き生きと暮らせる北海道づくりに全力を尽くしてまいります。

=ききて/酒井雅広=