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Interview

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日本に軸足をおく真のグローバルIT企業へ掲載号:2009年9月

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松原 信 富士通執行役員上席常務 プラットフォームソリューションビジネスグループ長

(まつばら・まこと)1948年6月21日生。長野県出身。73年富士通入社。一貫して流通部門の業務に従事。2002年北海道支社長。04年経営執行役。07年経営執行役常務。09年2月プラットホームソリューションビジネスグループ長兼務。同年6月執行役員上席常務。女子バスケットボール「富士通レッドウェーブ」後援会長。
テクノロジーソリューションを中核にサービスとプロダクトの両輪でビジネスをグローバルに展開する富士通。真のグローバルIT企業となるためには国内で盤石の地位を確立する必要がある。陣頭指揮をとるのが北海道支社長を務めた松原信氏だ。

道支社の取り組みが「富士通運動」へ

――2002年から3年間、北海道支社長を務められました。
松原 入社以来ずっと本社勤務でしたから、北海道支社への内示が出たとき、くす玉が割れるくらいうれしかった(笑)。転勤するなら北海道と、ずっと思っていましたから。
――北海道とのかかわりは。
松原 出張で来るくらいで、ほとんどありませんでした。
――全国と比較して北海道は厳しいマーケットだったでしょう。それは覚悟の上で。
松原 確かに経済状況が非常に悪いということは認識していました。2002年というのはネットバブル が弾けて非常に落ち込んだとき。お恥ずかしい話ですが、景気が悪いからという言い訳で、どこの支社も営業目標が未達成でした。だから全社的にも目標が未達 成。これは何とかしないといけないと思い、私は北海道支社のみんなとじっくり話をしました。
――どんなお話を。
松原 大変なことはわかっている。でも、ここは意地でも踏ん張って、ほかをギャフンと言わせようと。 この厳しい北海道で成績を伸ばしているとなれば、ほかの地域は言い訳ができなくなる。とにかく頑張ってみようと。そうすると、みんなその気になってくれ て、ほかの地域が前年比90%とか85%のときに、北海道は120%。それを毎年更新したんです。
――それはすごい。
松原 社内でも非常に話題になって、当時の社長も会長も未達成の言い訳を一切、受け付けなくなりまし た。「景気が悪くてIT投資も商売もなくて」などと言おうものなら、何を言ってるんだ、北海道を見ろ、あんなに大変なところなのにみんな頑張ってやってい るじゃないか、お前たちの努力が足りないんだと。それから社内で言い訳はなくなりました。
――一番経済状況の厳しい北海道から変えていったというのは、松原さんの“負けてなるものか”という思いが、支社のみなさんに浸透したということなんでしょうね。
松原 私が北海道に着任して感じたのは、いい部下がいっぱいいるということです。富士通の社員は基本 的にみんな優秀です。彼らのモチベーションを上げることによって、眠っていた能力、あるいは使っていない能力を発揮させると、個々の力は1・2倍にも1・ 3倍にも伸びます。リーダーの役割というのは、目標を掲げて、みんなと気持ちを一緒に、先頭に立ってやっていくということでしょう。
――「富士通運動」というのがあると聞きました。
松原 実は北海道支社が発祥なんです。「ふじつー」というのは語呂合わせで「2・2・2」。たとえば、ある製品を2倍売ろうとか、120%に伸ばそうとか、数字の「2」にからめ、高い目標を設定して挑戦するという運動です。
――松原さんの発想といっても過言ではない。
松原 確かにそういう関係で、私が2月に新設された「プラットフォームソリューションビジネスグループ」の長をやれということになったのかなという気はしています。
――そのグループはどんな部署なんですか。
松原 当社は2009年度から11年度までの3年で「真のグローバルIT企業」となるための中期目標を定めています。そのためには国内における盤石なポジション、収益が不可欠です。日本で強くなければグローバルでも強くなれません。

国内IAサーバシェアの首位奪取を狙う

――その通りですね。
松原 当グループの具体的な取り組みは、現在国内で14%にとどまっているIAサーバのシェアを、 10年度には20万台の出荷台数、シェア30%以上を獲得して首位奪取を狙うこと。これを実現させるためにはこれまでのやり方では通用しない。私は北海道 支社から本社に戻り、全国の営業を統括するポジションに就きました。だからこそわかるんです。そこで昨年秋から野副州旦社長とも、どういう体制にすべきか 議論を重ねてきました。その中で生まれたのが、製造と販売、サポートを一本化する当グループです。スピード感をもっていろんな展開ができる体制ができまし た。
――グローバルではありながら軸足は日本だと。
松原 当社の目指す姿は、テクノロジーソリューションを中核にサービスとプロダクトの両輪でビジネス をグローバルに展開するということです。その方法論は「シンク・グローバル、アクト・ローカル」。すでに当社は日本、欧州、北米、アジア、中国など、全世 界に拠点がありますが、それぞれの国・地域は言語も習慣も違うので、当然個別に対応しています。これはアクト・ローカル。一方で、そのベースとなる共通基 盤はしっかりつくる。グローバルビジネスの再構築の過程で、たとえば日本と海外の溝はつくらないといったようなことです。これがシンク・グローバル。すな わちグローバルプラットフォームとなるデータセンターを世界中に設け、ネットワークでつないでいく。そのプラットフォームはクラウドやSaaSの基盤とも なります。
――データセンターの話が出ましたが、道や東京理科大、富士通の子会社なども参加している「北海道データセンター立地アセスメント委員会」は、石狩湾新港地域が最も立地環境が整っていると評価しました。
松原 データセンターの管理、運営には莫大な空調コストがかかります。北海道のメリットは雪の冷熱。そういう意味では誘致に適した地域だと思います。石狩市としては誘致企業の1つとして当社に魅力を感じていただいているんだと思いますが、いま何かを言える段階ではありません。

=ききて/鈴木=