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Interview

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小林浩美×柴田陽子
「菊地絵理香(苫小牧出身)、藤田光里(札幌出身)
の躍動で北海道が熱くなる」
掲載号:2016年8月

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小林浩美LPGA会長
柴田陽子恵庭開発社長 

女子ゴルフのメジャー大会が9月、登別で開催される。主催する日本女子プロゴルフ協会(LPGA)と会場となるゴルフ場(恵庭開発)のトップによる対談。小林浩美LPGA会長には、いま熱い女子プロ界の現状も聞いた。

メジャー大会は勝つべく人が勝つ

小林浩美氏は1963年1月8日、福島県いわき市生まれ。84年プロテスト合格。現役時代は日本国内ツアー通算10勝、アメリカツアー同5勝をあげる。 2008年日本女子プロゴルフ協会(LPGA)理事に就任。10年12月から現職。

柴田陽子氏は愛知県名古屋市生まれ。大学卒業後、大手航空会社の客室乗務員として勤務。2006年に恵庭開発取締役に就任。11年4月から現職。同社は不動産業のほか、登別カントリー倶楽部、恵庭カントリー倶楽部のゴルフ場の経営を手がける。

以下、2人の対談をお送りする。

――今シーズン、北海道ではLPGAのツアー大会が過去最多の5大会開催されます。

柴田 道民に見ていただく機会が増えますし、ゴルフ関係者として、とてもうれしいです。

小林 われわれも歓迎しています。開催地はスポンサーの意向が反映されますが、協会としても「北海道での開催を増やしてもらいたい」と推してきました。

協会では2013年から「世界で勝つ」を目標に「ツアー強化」を重点テーマに掲げ、選手の技術面や対応力を伸ばすことを活動方針に定めました。北海道のゴルフ場の芝は、本州と異なり、ブルーグラスやライグラスなどが採用されています。芝質でいうと、これらのコースを攻略するのは難しく、選手のスイングの質にとても影響します。ですから技術的な総合的なレベルアップが必要となり、協会のツアー強化の方針にもマッチしています。

――9月8日から(同11日まで)は、登別カントリー倶楽部でメジャー大会「日本女子プロゴルフ選手権大会コニカミノルタ杯」が開催されます。

小林 登別カントリー倶楽部を視察しましたが、山に囲まれていて、北海道の大自然を感じられるコースだと思います。ゴルフ場も戦略的なセッティングができる多様性が感じられます。

柴田 会長からそのように言っていただき、とてもありがたいです。当社としても今大会をおこなえることを光栄に思っております。

小林 大会のコースセッティングは岡本綾子さんが担当しています。彼女のこれまでの経験、知識をすべて注いでくれると思いますので、私もこの大会を楽しみにしています。

柴田 当ゴルフ場では大会実施にあたり、コース改修を重ね、器のような形をした深いポットバンカーや池などを新設しました。今後はメジャー大会にふさわしいグリーンの硬さ、速さやラフの長さに仕上げていきます。

あとは芝の手入れですね。いま、一番気を遣っている部分です。北海道の芝は暑さに弱い。しかも温暖化などで近年、涼しかった北海道の夏が暑くなっています。いま、道内のどのゴルフ場でも芝の管理は大変だと思います。

小林 近年は雨が多いので、メンテナンスはご苦労されていると思います。でも、トーナメントでは見た目からくるプレッシャーもすごく大事ですから、ぜひ頑張っていただきたいです。

柴田 会長からのプレッシャーも受けながら夏を乗り越えて、9月の大会にベストな芝の状態に持っていきたいと考えています(笑)

――どのような大会になればとお考えですか。

小林 プロ日本一を決める大会ですし、伝統と歴史が詰まったメジャーですからプロは気持ちの入り方が違います。だから、激しい競争を勝ち抜く、内容の濃い展開になればと思います。

また、どのツアー大会も共通していることは地元出身の選手が活躍すると、やはりすごく沸きます。地元出身の選手には、大きなプレッシャーになるかもしれませんが、それをはねのける気持ちで対峙して頑張ってほしいです。

ツアーではいま、苫小牧市出身の菊地絵理香選手と札幌市出身の藤田光里選手の道産子が活躍しています。2人が今大会で躍動し大いに盛り上がることを期待しています。

柴田 確かに道産子2選手が上位争いを繰り広げ、北海道を熱くしてもらえたら、うれしいです。テレビ中継もそうですが、ぜひゴルフ場に足を運び、彼女らをはじめとする一流プロのテクニックを生で見ていただきたいと思います。

小林 今季27大会が3日間開催で、11大会が4日間開催です。この大会は、メジャーで4日間大会になります。難しい芝質、変わる天候などの中で、4日間対応力を求められますので、心技体プラス戦略という総合力が問われます。

ですから、日本女子プロゴルフ選手権は勝つべく人が勝つ大会なんです。それが今年は誰なのかということも楽しみながら応援していただければと思います。

ファッションも注目の女子ゴルフ界

――一時期低迷していた女子プロの人気が近年、高まっています。

小林 確かに2000年前後には女子プロツアーは停滞期でした。ツアー大会数も32試合前後で今よりも少なかったです。大会数は経済状況の影響をとても受けます。当時はちょうどデフレの時代で、日本経済が下降していました。そして、当時は不動裕理プロがダントツに強い時代で、今のように若い選手がどんどん出てくるという状態ではありませんでした。

しかし、03年に宮里藍選手がアマチュアでツアーに勝ってからは、同世代の横峯さくらプロや諸見里しのぶプロなど、ジュニアからゴルフを始めた世代の大活躍で今の女子プロ人気が始まりました。ここ5年は毎年若手が台頭し、世の中の多様性とマッチングしてたくさんの選手に多くのギャラリーの声援を感じます。

試合数もここ4年連続して伸びていて、今シーズンのツアー年間賞金総額は35億3000万円で、過去最高を5年連続で更新中です。

大会前におこなわれる「プロアマトーナメント」が非常にスポンサーから好評です。スポンサーのお客さまと女子プロが一緒にラウンドして交流してもらうというものです。

柴田 お客さまから「プロアマ」で女子プロとまわるのは「楽しい」という声をよく聞きます。選手も「スポンサー、ファンあってのゴルフ界」ということ
を認識されていて、積極的にファンサービスをしている印象を受けます。

小林 ありがとうございます。選手はそれぞれが自覚して非常に頑張っています。また、試合では今10代から40代まで幅広い世代が活躍しています。ファンのみなさんには「次はどんな選手が出てくるんだろう」と期待感を持ってもらえているのかなと感じています。

柴田 あと、最近、ゴルフウェアもかわいいものがたくさんありますから華やかに映ります。女子プロのファッションも注目を集めていますよね。

小林 そう言ってもらえるとうれしいです(笑)。メーカーさんのおかげでもあります。それにひと昔前と比べると、ツアーにおける20代の選手の割合は増えていますからね。20代はとくにオシャレに敏感な年ごろですから。

元来、プロゴルファーは目立ちたがり屋が多い。実力だけではなく、見た目もほかの選手に負けたくないと感じるのは普通のことだと思います。協会としても新人セミナーで、服装やコーディネートの仕方など、専門の講師の方々に講義していただいております。

――選手たちの技術面はどう分析していますか。

小林 若手を含めた底上げは進んでいると感じています。しかし、いまの時代、フィールドは国内にとどまらず、グローバル化しています。競争はひと昔前より確実に激しくなっています。

――日本ツアーでは現在、イボミ選手、申ジエ選手など韓国勢が〝席巻〟しています。現状をどのように思っていますか。

小林 「プロは実力がすべてなので強い者が勝つ」。すべて数字で判断される仕事ですので、自分の内面から湧き出る熱望をもっと形にあらわしてほしいです。

つまり「勝ちたい!」という気持ちです。そして、自分がどこまで強くなりたいのかという目標を明確にし、なおかつその目標をさらに高く設定することが必要ではないかと感じます。 自分がどうなりたいかというビジョンを描いたら、そこに向かって、何をすべきかが決まりますので、結果や数字にこだわるゴルフをしてほしいです。

道産子選手2人は潜在能力が高い

――菊地、藤田の両道産子選手をどのようにみていますか。

小林 2道産子選手は潜在能力が高いです。菊地さんは安定的にボールが飛び、アプローチの精度もいい。ゴルフの質も年々向上しています。今シーズンはまだツアー1勝ですが、まだまだ勝ちそうな内容のいいゴルフをしています。

藤田さんは線が細いですが、ものすごく飛距離が出る。まだ若いですから粗い部分もありますが、もっとうまくなりたいという意欲が強いですよね。継続して、上位争いに食い込み自信をつけることが大事かなと。

2人ともににものを持っています。プロとして、まだまだ伸びざかりですね。

――柴田社長はいかがですか。

柴田 北海道出身の彼女たちの活躍は素直にうれしいです。ここ長い間、ゴルフ人口は減っているといわれている中で、近年、プレーする若い女性が増えていると実感しています。北海道は2人の活躍も影響しているのではないでしょうか。

――女子プロゴルフ界の展望を教えてください。

小林 協会としては冒頭で申し上げたように「ツアー強化」を一番に掲げ、取り組んでいきます。国内競争力をさらに高め、日本ツアーから世界のメジャー大会に勝てる選手を出すことが目標です。

日本では3日間開催が一般的ですが、海外では女子でも4日間が主流です。4日間大会の割合を今後も増やすと同時にセッティングの多様化を図りながら選手の対応力を高めたいです。さらには、迎える20年東京オリンピック・パラリンピックのゴルフ競技で金メダルを取ることも目標です。

柴田 当社としても今後の女子プロを含めたゴルフ界の発展のために、微力ではありますが、お手伝いできればと考えています。まずは9月の日本女子プロゴルフ選手権コニカミノルタ杯を通じて「メジャー大会をおこなったコースだから、ぜひプレーしてみたい」とファンの方々に思ってもらえるようにまい進していきたいと思っています。

=ききて/竹内洋規=