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Interview

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“ビール復権”の旗印を掲げる!掲載号:2017年3月

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高島英也 サッポロビール新社長

サッポロビールの新社長に高島英也氏が就任した。北海道本社代表兼北海道本部長を務めるなど、道内ともゆかりが深い。同社は目下、ビール類市場が好調。高島氏は17年を“ビール復権”の1年と位置づけている。

黒ラベルの売り上げが好調

高島英也氏は1959年11月20日、福島県生まれ。東北大学農学部卒業後、82年にサッポロビール入社。2007年仙台工場長、09年取締役兼執行役員経営戦略本部長を経て、12年に常務執行役員北海道本社代表兼北海道本部長に就任。15年からポッカサッポロフード&ビバレッジ取締役専務執行役員、ポッカサッポロ北海道取締役会長を務め、17年1月から現職。

◇    ◇

――17年1月にサッポロビールの新社長に就任されました。

高島 率直に申しますと、会社がとてもいい雰囲気になっています。手応えをつかんでいる状況での就任で、やらなければならないという気持ちです。

――高島社長は醸造部門の出身です。

高島 私は97年から01年まで、大阪工場製造部長を務めていました。若手の営業担当に同行し、各店ごとの樽生ビールの味や泡を調査し、品質向上を目指しました。当時、製造部門の社員が外回りをすることはありませんでした。お客さまからお叱りも頂戴しましたが、貴重な経験ができました。

当然、醸造製造部門の社員は、工場でしっかりとした品質の商品をつくることが使命です。あわせて、それを飲んでいただいているのは誰なのか、というお客さまへの視点も必要になります。工場の若い社員にも現場の大切さを伝えていきたいと思っています。

――サッポロビールはビール類の売り上げが好調ですね。

高島 16年はサッポロビールとして「ビール強化元年」と位置づけていました。当社が創業してから140年という節目の年でもありました。

当社はこれまで発泡酒や新ジャンルなどの市場をつくってきましたが、自分たちの強みは何だろうと考えた場合、やはりビールだと。

ビール市場がダウントレンドの中、15年と比較すると、当社はビール全体で104・4%の伸びでした。

主力3ブランドを見ると、対前年比で「黒ラベル計」が102・8%、「ヱビス計」が102・0%、「麦とホップ計」が102・4%と、すべて前年超えとなりました。

中でも黒ラベルは大変好調で、コンビニ、スーパーなど量販店の缶ビールの売り上げが、対前年で117%と好調でした。

――理由をどのように分析していますか。

高島 現在の黒ラベルのテレビCMは、10年から放送しています。俳優の妻夫木聡さんが出演されている「大人のエレベーター」シリーズです。年々、黒ラベルの世界観が浸透してきたように感じます。

黒ラベルの樽生はこれまでは飲食店で「サッポロ生ビール」という商品名で、飲用いただいていることが多かったのですが、15年から「サッポロ生ビール黒ラベル」に名称を統一しました。あわせて、ビールジョッキのロゴマークも黒丸に金星に変更して、缶ビールのブランドロゴと一致させたんです。

また、北海道では札幌の大通ビアガーデンが定着していますが、同様のイベントを東京・大手町や大阪でも実施し、飲用機会を増やしました。「いまジョッキで飲んでいるビールは黒ラベル」という認知が広まり、家庭でも飲んでいただける機会が増えたのではないでしょうか。

当社にとってうれしいことは、黒ラベルのご飲用が20代、30代の若年層で増えていることです。

ヱビス華みやびを3月に新発売

――北海道では地域限定の「サッポロ クラシック」を発売しています。

高島 「サッポロ クラシック」は16年連続で対前年をクリアしています。。新千歳空港のタックスフリーのエリアで、6缶パック(350㍉㍑)が売れているんですよね。お土産で買っている海外の観光客も多いと思います。

――今年の新商品の発売予定はありますか。

高島 17年は「ビール強化元年」を一歩前に進めて「ビール復権宣言」という旗印を掲げてスタートしました。
「ビール復権宣言」と銘打っていますが、新ジャンルも大きな市場なので、ここでもしっかり戦っていこうと考え、「サッポロ麦とホップ The gold」を1月末にリニューアルしました。

3月上旬にはヱビスブランドでいままでなかったタイプとして、ホワイトビール「ヱビス 華みやび」を新発売します。

ヱビスビールが持っている強み「麦芽100%」「長期熟成」はそのままですが、酵母を変更しました。100年以上のブランド歴史の中で、初めて「上面酵母」を使っています。とても心地よい香りが特徴で、味わいもやわらかでコクがあります。

17年も手綱を緩めることなく、次の手を着実に打っていきます。

――政府・与党は、ビール類にかかる酒税を20年10月から3段階で変更し、26年10月に統一する方向で調整しています。ビールが強いということは、強みになりそうです。

高島 ビールの減税自体は歓迎しますが、発泡酒や新ジャンルが増税されることは残念です。段階的に変更されるので、消費者の購買動向の変化を踏まえ、しっかりと対応していきたい。

――高島社長は常務執行役員北海道本社代表兼北海道本部長を務めていました。北海道時代で印象に残っている仕事は何ですか。

高島 どんな仕事でも共通しているのは、当社は「北海道」と「恵比寿」の2つのふるさとを持っているということです。

なんといっても、サッポロという名前が社名についているくらいですからね。1876年(明治9年)に札幌の地に開業した開拓使麦酒醸造所が当社の前身で、それ以来北海道とともに歩んできました。

私は北海道本部長、北海道本社代表を務めた2年半で、北海道のブランド、歴史的な資産をいかにお客さまの価値に変えられるかを実践してきました。

北海道が持っている資産に当社がシンクロナイズさせていく。たとえば、アイヌ民族のすてきな文化と自分たちの商品です。また、ホッカイドウ競馬やばんえい競馬などの馬文化も、北海道ならではです。全国にもっとピーアールしたいと思いました。

ばんえい競馬缶を黒ラベルや麦とホップで出させてもらって、その期間中は存在を知ってもらう取り組みもおこないました。

北海道が誇る食材に関しても、ありがたい話で、農業や水産業のみなさんとのつながりも強くなりました。東南アジアに進出している道内の事業者もいらっしゃいます。

シンガポールにはポッカサッポロフード&ビバレッジの一大生産拠点があります。道庁や進出事業者とともに、サッポログループとしてグローバルな事業を展開させていただいています。

18年は北海道と命名されてから150年を迎えます。多くの記念事業が予定されていると聞いています。その中で、当社が果たす役割、責任はとても大きいと思います。北海道の開拓とともにわれわれの歴史がありますので、さまざまな形で応援させていただきます。

ワイン事業を“第2の柱”に

――ビール類以外の商品展開を教えてください。

高島 ワインは「グランポレール」シリーズといいまして、国産ブドウ100%の日本ワインが好調です。自社畑も所有していますが、余市に協働契約栽培農家もいらっしゃいます。

海外ワインはオーストラリアの「ペンフォールズ」やシャンパーニュの「テタンジェ」など、ほかにはない唯一の価値をもったワインを取り扱っています。“ファインワイン”とも呼ばれています。こうしたワイン事業を、当社の“第2の柱”に育てていきたいと考えています。

そのほか、焼酎などのRTDは、いま世の中にたくさんの種類があふれています。当社はこの市場では後発ですが、“驚きをカタチに。”をスローガンに、当社ならではのオンリーワン商品を投入しています。慌てず商品展開をしていきたい。酸っぱさが評判の「男梅サワー」、ビタミンCやクエン酸がたっぷり入った「キレートレモンサワー」などがあげられます。

いま、商品開発においては、それぞれのジャンルのボーダーをつくらない状況にしています。飲料をつくってきた人とビールしかつくってこなかった人をあわせる。そこに焼酎の開発者も加わり、「何ができるのか楽しみ」という態勢にしています。驚きのある商品をお客さまに届けたい。

――趣味は散歩や薫製づくりとうかがっています。

高島 北海道にいた頃、早朝に北海道神宮の周辺を散歩していました。当時、在札幌ドイツ名誉領事を務めていたので、NHKラジオ講座の会話を聞きながら歩いていましたね。

東京に転勤になった後も散歩の習慣が続いています。いまは引っ越しましたが、神奈川の新丸子という場所に住んでいました。そこから東京側に丸子橋を渡ると浅間神社があるんです。富士山信仰で富士見台があり、天気がいい日はきれいに見えるんです。神々しい気分になりましてね。何かエネルギーをもらえるのかなと思っているんです。

――本日はお忙しいところありがとうございました。

=ききて/前田圭祐=