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Interview

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「民主党再生をまず北海道から実現する」掲載号:2013年5月

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横路孝弘 民主党北海道代表

 横路孝弘氏が民主党北海道の新代表になった。衆院議長まで務めた長老が、道連のトップになるのは異例だ。なぜ火中の栗を拾ったのか。横路氏の民主党再生にかける思いを聞いた。

民主党は内部分裂で自滅した

――3月16日に民主党北海道の新代表に就任されました。民主党は先の衆院選で道内の小選挙区で全敗、2年前の知事選でも大敗しています。北海道は民主党王国と言われてきましたが、現在の状況をどのように考えていますか。
横路 北海道の場合、今回の衆院選はさまざまな要素が重なったと思いますが、自民党との戦いは政策論争で負けたという感じがまったくない。政策論争になっていないし、政権を取っていた3年3カ月の間も、自民党から政策提起を受けて議論したということはほとんどなかった。
自民党は解散を叫んでいただけで、とくに特例公債法を人質にするという、やってはならぬ手法を使ったのです。予算というのは歳出が中心ですが、歳入の裏付けがなければ組めない。したがって、国税や地方税、特例公債法の関係なども年度内に採決するということで、20年間協力してやってきました。ところが、自民党は昨年と一昨年、2度にわたり禁じ手を使い、菅さんと野田さんが追い詰められたのです。
――予算案は参院で否決され、両院協議会で交渉が決裂しても、30日たてば自動成立します。一方、特例公債法は参院で否決されると、再度、衆院で3分の2以上の賛成がなければ可決できません。つまり、特例公債法が未成立だと、予算は成立しても、原資が確保できないという事態に陥るわけですね。
横路 歳入の4割は赤字国債ですから、特例公債法が可決されないと、10月、11月に予算の執行ができなくなるので、今度のような選挙になったのです。
今回の衆院選では、民主党も自民党も票を減らし、その分、第三極といわれる維新、みんなの党、そして北海道では大地に票が流れました。私たちとしてはやった政策は正しかったと思っています。
――政策は正しかったけれども、理解されなかったから敗れたと言うのは、負け惜しみみたいですね。
横路 そんなことは言ってません。なぜ負けたかを一言でいえば、民主党内の内部分裂に尽きます。要するに政策論争で負けたのではなく、自分たちが崩壊したのです。自民党が得票を伸ばしたわけではなく、3年前より減らしているのですから。
――せっかく政権を取ったのに、なぜこんなことになったのですか。
横路 よくわかりませんね。ただ、小沢一郎さんが、消費税を党内の権力抗争の材料に使ってしまった。
i2――それは、小沢さんが仕掛けたということですか。
横路 そうですよ。小沢さんがああいう指示・指令を出さなければ、(消費税導入については)何時間も何日間も徹底的に議論したのですから、落ち着くところに落ち着いたと思います。
ただし、もともとはということをいえば、自公政権のときに、年金の国庫負担を3分の1から2分の1にし、財源を消費税にすると法律で決めたのですが、その当時は消費税についてあまり議論したわけじゃありません。
結局、財政が厳しい中で、消費税の増税は必要だというのは、その通りなのですが、もっと違う形で問題提起をすべきでした。(3年前の参院選で)菅さんもやや唐突に消費税増税をおっしゃったと思います。
――2009年夏の総選挙で民主党は、マニフェストで増税に反対したのではないのですか。
横路 マニフェストでは消費税に触れていません。その点は誤解されています。私は前回の総選挙でも、懇談会等で税負担はやらざるを得ないと話していました。
日本の社会保障は、家庭で家族が面倒を見る、企業が福利厚生で面倒を見る、この2本立てで成り立っていました。そのため、政府の社会保障の支出、負担は、アメリカ並み。(先進国クラブといわれる)OECD34カ国の中で、税負担は一番低いほうです。  日本では、夫がサラリーマン、妻が専業主婦、子どもが2人というのが、社会保障や税を考える上で、一般的なモデルとなっています。昔は夫の給料だけで一応生活ができていたのです。そのベースになっているのは、終身雇用、年功序列制です。
ところが、小泉・竹中ラインがアメリカ的市場主義、いわゆる新自由主義政策を導入した。雇用が流動化すれば、会社を移りながら給料は上がっていく。日本はあまりにも悪しき平等主義だ。力の強い人間をもっと強くし、金持ちをつくれば、しずくが垂れてきて下を引っ張り上げる―というトリクルダウン理論を展開しました。ところが、しずくは全然落ちて来ないで、金持ちと貧乏人に二極化してしまった。
家族構成も変わった。いま一番多い家族構成は、単独世帯です。そして、夫婦と子ども、夫婦世帯、三世代と続きます。いまから50年前は、三世代と夫婦と子どもの家庭が合わせて8割でした。いまは4割です。圧倒的に単独世代が増えたわけだから、年を取ったら誰が面倒を見るのかということが問題になります。
それでどうするかということになり、公共的サービスの提供が必要になったのです。そのためには負担が必要です。これが消費税を上げなければならない理屈の社会的背景です。民主党はだから消費税増税を提起したのです。
――それをちゃんと国民に説明しましたか?
横路 しましたよ。消費税増税は国民に負担を強いるものですが、では、このままでいいのでしょうか。昔は若い人が結婚できたんです。将来、収入が上がっていくという見通しがあったからです。子どもを産むこともできました。いまはどうですか。小泉・竹中政策の結果、非正規雇用は35・2%、1800万人もいます。年収200万円以下が増えています。35歳未満の男性の未婚率は48%です。子どもがどんどん減っていき、最大の問題は人口減少です。
50年後には4000万人減ります。日本全国平均で減るわけではないので、過疎地はさらに減ります。国土交通省の調査によると、2015年に人の住んでいるところの2割は、40年後に人がゼロになります。しかし、人がまばらになっても、医療も福祉も、子どもがいれば教育も提供しなければなりません。
だから、われわれは社会保障と税の一体改革ということを提起しました。少子化対策としては、雇用を安定させるため、労働契約法、労働者派遣法を改正し、非正規を解消するか、非正規であっても差別をなくする、そして女性の社会参加を増やすために保育機能を充実する―ということをやってきたのです。
正しい政策なんですよ。それを自民党は、3歳までは子どもに親が寄り添わなきゃいけない、民主党が言うような社会が子どもを育てるというのは間違った政策だ、と主張したのです。
いま私たちは国会で、子どもの貧困防止法案、介護職等の人材確保法案を用意しています。

民主的でリベラルな政党が必要だ

――代表就任の挨拶で「原点に戻って活動しようじゃありませんか。今日は再出発のときです」と呼びかけましたが…
横路 政権を取って経験のない初めてのことをやったので、みんな政権に集中して活動をした。しかし、そこでやったことを地域につなげるとか、逆に地域の声、NGO、NPOの声を吸い上げて国政に反映させるということがおろそかになってしまいました。
もともと民主党は市民が主役の政党にするということで、「民主」と名付けました。したがって、議員立法を大いにつくろう、そのためには、エネルギーの問題、環境問題、子どもの問題、障がい者問題、平和の問題などがあるので、いろいろなNGO、NPOから話を聞く窓口を設けました。それが市民政策調査会です。そこで聞いたことをもとに議員立法をつくる集団が市民政策懇談会です。会長は私で、毎日話を聞いて、新しい法律をつくる、法律を変える作業をしました。交通バリア法、シックハウス規制の法律など、たくさんつくりました。政権を取った間に、それが十分機能しなくなってしまいました。
北海道はとくにNGO、NPOの基盤がしっかりしており、市民ネットのような地域政党もあります。地方議員による民主議員ネットという組織もあります。農民連盟、商工連盟、連合とも提携、連携できています。学者グループやまちおこし、地域おこしをやっている方々など、幅広い人々と一緒にやってきたという実績があります。こういうところをベースに、われわれはもう一度、地域に足をおろして、活動をしようと考えています。
今日(3月30日)の常任幹事会でも、開かれた政党、地域の声を聞く地域に根ざした政党となり、道民のために努力していこうと申し上げました。
――横路さんが最初に民主党をつくったときも、地域に根ざした政党の集合体を目指したと思います。
横路 ローカルパーティー連合(Jネット)をつくりました。道内でも新しい風北海道会議をつくり、まちおこしや商工会や青年会議所の人たちが加わり、上田文雄さんが事務局長を務めました。
――最初の衆院選の当選者はいまと同じくらいでしたが、新進党が分裂したこともあって他の政党を吸収合併し、どんどん大きくなっていきました。その結果、本来は足腰がしっかりした骨太の政党をつくるはずだったのが、いつの間にか議員政党に変質してしまった。
横路 北海道を除けば、ほかの地域の多くは国会議員だけがいて、地方議員があまりいません。国会議員中心だから、国会議員の考え方で右にも左にも行くような状態になってしまいました。しかし、もともとの民主党の流れがあるわけだから、それと齟齬が生じてしまうという問題がありました。これを乗り越えながら何とかやってきたんです。
i4――全国レベルでの民主党の再生は難しいんじゃないですか。
横路 党内には保守の固まりがあります。その対抗軸がどうしても必要なのに、それがなくなっています。もちろん政権政党というのは幅広いから、いろいろな考えの人がいていいんですよ。しかし、軸のところは民主的でリベラルな政党でなければなりません。自民党の中にもリベラル派がいなくなり、共産党も社民党も消え去りそうなときに、われわれがしっかりしなければなりません。
そうでなければ、日本の政治は圧倒的に右寄りの保守の流れになってしまいます。  衆院選挙が終わり、日本がどこに向かって舵を切るのか、いま一番心配しているのはアメリカです。日本担当のキャンベル国務次官補は、「日米関係で安全保障が問題なのではない、心配しているのは日本と韓国、中国との関係だ」「日米関係では経済問題が懸念される」と言っています。
だから安倍首相が言っても、オバマ大統領は安全保障の話など全然言及していない。
――そうすると、民主党再生のモデルとなり得るのは北海道であり、北海道の民主党を再生することが民主党を立て直すことにつながるということですか。
横路 そのために今回、代表を引き受けました。

=ききて/酒井雅広=