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々刻々

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2017/01/24(火) 2年連続、札幌で犬の殺処分ゼロ。猫は今後の課題

  

「もう時間がありません、助けてください!この子の飼い主になってくれる人はいませんか?」――保健所に収容された悲しげな瞳をした犬や猫の写真と、彼らに代わって声をあげる人間のコメント。近年SNSを開けば、こういった投稿が拡散されているのを多く見かける。

15年以上も継続する〝ペットブーム〟から年月は経ち、今日では3人に1人が犬や猫を飼っているとも言われる。愛犬や愛猫を家族同然に思う人が増える一方で、後を絶たない〝飼育放棄〟される彼ら。そしてその末路……。

そんな状況をより多くの人に知ってもらうため、1月14日、札幌市西区にある「農試公園ツインキャップ」で、北海道、札幌市、動物愛護団体(北海DOぶつnet、認定NPO法人HOKKAIDOしっぽの会)が共催する「譲渡でつなごう命のバトン わんにゃん家族プロジェクト」が開催された。

会場内には8つのブース(テイネドッグスクール、北海道庁、獣医師会、札幌市動物管理センター、犬のM基金、ツキネコ、しっぽの会、ニャン友)と、メインステージが設けられ、道立保健所等で保護された犬や猫の新たな飼い主探し、家族みんなで楽しめる子ども向けの動物愛護条例クイズラリー、犬のしつけ教室、紙芝居などがおこなわれた。中でも、新たな飼い主を待つ約50匹の犬や猫には多くの人が集まり、ボランティアスタッフに質問をしたり、直接触れ合ったりして距離を縮めていた。

病気で目が見えなくなってしまった犬、3匹の元気いっぱいな兄弟犬、ペットショップにいても不思議ではない愛らしい子猫……さまざまな事情で飼育放棄され、そして保護された彼らは、みなボランティア団体に所属する人の一般家庭で〝一時預かり〟として飼育されている。

不幸な犬たちを助けるためのボランティア団体「犬のM基金」で代表を務める秋田千嘉子さんは「どんな犬にも、必ず合う人はいると思っています。中には病気を患っていたり噛み癖があるなど、リスクを持つ犬もいます。でも預かりボランティアと暮らしていくことで、どの犬も一般家庭で暮らせるようになるんです。私たちも決して簡単に新たな飼い主を決めるのではなく、何度も面談を繰り返し、ふさわしいと判断した家庭に譲渡するようにしています。独身者、若いカップル、高齢者には、その方々のご家族に意思確認させていただくケースもありますね」と、二度と悲劇が繰り返されないよう、犬の気持ちや環境を最優先に考慮していることを話す。

また「預かった犬は、家族同然に暮らします。新たな飼い主が決まったときは、もちろん寂しい気持ちになる人がほとんどですが、〝うちよりもっと幸せになれる〟と信じて送り出しています。昨年は目の見えない犬、尻尾のない犬もいましたが、最長でも1年ちょっとで新たな飼い主さんが決まっているんです」と、新たな飼い主との〝出会い〟は、どんな犬に訪れるものだということを教えてくれた。

そんな保護団体の思いが通じてか、札幌市では2014年、2015年と2年連続で〝犬の殺処分ゼロ〟を達成。札幌市の動物管理センターで指導係長を務める高田泰幸さんによると「15~16年前は年間約1000頭の犬が捨てられ、保護団体の方々からは、市の取り組みに対して批判の声が少なくありませんでした。しかし2014年からは、市が中心となって保護した動物を〝管理〟から〝愛護〟にしようという方針に変わり、そこからは保護団体との連携が多くなりました。一緒に譲渡会を開催したり、動物愛護の意識を高める啓発事業をしたり。また、マスコミによる報道も、このような実績を残すことにつながったのだと思っています」

また高田さんが「印象的だった」と語るエピソードがある。「半身不随の柴犬や、右頬に悪性腫瘍を持つシュナウザーの最期を看取りたいという奇特な人がいてくださったこと。もう決して長くはないとわかっていながらも、最期は我が家で少しでも安らかに、という気持ちを持たれており、彼らを譲渡しました。あきらめずにいて良かったと思う瞬間でしたね」と高田さんは話した。

一方で今後の課題は、猫の殺処分という。猫の収容数は2006年から2011年まで2000頭を下回ることがなかったが、2012年から徐々に減少し始め、昨年の2015年度は1252頭。殺処分数は前年度の534頭を大きく下回り、48頭だった。数字だけを単純に見れば、助かった命が増えている。しかし最期の瞬間を保健所で迎えなければならない命を、どうしたらゼロにできるのか――。

猫は不妊・去勢手術をしていない状態で捨てられ、野良猫同士で繁殖が進み、収容につながるケースが多いという。一人ひとりがペットの終生飼養に責任を持ち、いつの日か〝殺処分〟という言葉を聞かなくなる日がくることを願いたい。(後藤)

=写真=「わんにゃん家族プロジェクト」の主催者や参加者と、譲渡会で飼い主を待つ子猫