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月の穴場

斎藤 豊
昭和3年11月江別生まれ 自転車にテントを積み込み、北海道の全沿岸2,400キロを自給自足で9年間釣り歩く。 NHKをはじめ各民放テレビ・ラジオに出演。

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2012年10月号 

 海釣りもいいが渓流釣りもまた面白い。海と違って渓流は、たとえ釣れなくても川をじゃぶじゃぶこいで歩くだけでも気分は爽快になる。ときには思いがけなく未知の滝と出くわしたり、予期なく渓魚が対面してくれたりすると思わず「ヤッタゼィ~!」と叫びたくなってくる。
 網走管内西興部村は、石炭産出日本一、忍路子遺跡、藻興部川の氷のトンネル洞窟などで知られる地だ。しかしそればかりでなく、奥興部のドン詰まり、興部川上流の深山幽谷には「行者の滝」も流れ落ちる。滝の由来は『1910年、当時は昼なお暗い原始の樹林の中で、医師の治療も及ばぬ不治の病を宣告された若い女性が粗末な三角拝み小屋に住み、わずかな食料や山菜・川魚などを食べながら自分自身に与えられた難病に打ち勝たんと、白衣に身をまとって一心に滝に打たれて行をしているのを見たきこりたちが、誰言うとなく「行者の滝」と呼ぶようになった』と伝えられている。
 数条の乙女の涙を思わせるか細い滝だが、川は浅いので簡単に滝のある向こう岸まで歩いて行ける。その滝に触れようと、渓に1歩足を踏み込んだそのときだった。澄んだ流れを一気に横切った白い銀鱗。「まさかぁ?」と思ったがそれを見逃すはずはない。途端に興味の虫がムラムラ~っと頭をもたげだしてきた。 針にイクラを刺し、そっと川面に落とす。型は今イチだったが、20センチクラスの中型ニジマスが待っていたように次々と飛びついてきた。