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月の穴場

斎藤 豊
昭和3年11月江別生まれ 自転車にテントを積み込み、北海道の全沿岸2,400キロを自給自足で9年間釣り歩く。 NHKをはじめ各民放テレビ・ラジオに出演。

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2011年7月号 

 地元の漁師でさえ初めて見る魚。当初は、その名がわからず新聞やテレビでも話題を呼んだ。何せ、日高沖合に突然現れた大魚の群泳。最初は「エチオピア」だとか判然としない魚名だけが独り歩きしたが、後に本州中部の太平洋岸などにすむ深海魚「メダイ」であると判明した。
 えりもの釣りを終え、翌朝三石漁港に立ち寄ったときだった。「得体の知れねぇでっけぇ魚が漠々(ばくばく)釣れる、乗っからんかぁ?」と鋼鉄船。でっけぇと聞けば、すぐ良からぬ虫が騒ぎ出す。かき集められた他の釣師14人とさっそく乗船した。港から思いっきり突っ走ること約2時間、徐々にスピードを落とした午前8時頃だった。へさき(船首)に突っ立って前方に眼(まなこ)を凝らしていた見張り役が、突然「いた、いた、いたぞう!」と大声で叫ぶ。目の前約50メートル、真っ青な水面を悠々と群遊する帯状の黒い固まり。船が近づくと、群れ全体がゆっくり姿を落として行く奇妙な魚。まさしく、われわれが目指すメダイであった。
 船べりから仕掛けを下ろすと、途端に40センチ級がいきなり食いついてきた。死に物狂いで走り回る魚体を何とか手元まで巻き上げ、横腹に抱えてハリを外すまでは無我夢中だ。水面下2~3メートルのところで銀鱗を見ながらの釣り。ハリに掛かると大きな魚体でぐいぐい旋回しながら走り回る強烈な引き込み。そんなことの繰り返し、わずか4時間ほどで40余匹、約40キロを釣り上げた。忘れもしない昭和42年7月の夏の船釣りだった。