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月の穴場

斎藤 豊
昭和3年11月江別生まれ 自転車にテントを積み込み、北海道の全沿岸2,400キロを自給自足で9年間釣り歩く。 NHKをはじめ各民放テレビ・ラジオに出演。

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2010年7月号 

 「河原で串焼きするべぇ」てなことで、渡島管内矢越岬の夜釣りの帰り、釣友Tさんと知内町湯ノ沢に入渓した。奥に進むにつれて「クマ出没注意!」の標識が目立つ。その度に腰のクマよけ鈴をカランコロンと鳴らす。渓で良型岩魚(いわな)を10匹も釣った頃、突然ドシャ降りの雨がやって来た。串焼きどころじゃない。逃げ込んだのは開湯800年の歴史を誇る知内温泉だ。
 長い廊下を伝うと、墨痕(ぼっこん)鮮やかな「殿の湯」の横書き文字が目についた。脱衣するのももどかしく。ガラッと戸を開けて湯加減を見た。途端に「熱ッチッチィ~!」。湯温は60~70度もの熱さなのだ。蛇口を捻(ひね)って漸く入れる頃、何を勘違いしたかスッポンポンのまま若い女性達3人が入って来た。「女性客はいない」と窓口で聞いたらしい。ところが入った所にスッポンポンの男が2人。女性もびっくりしたかも知れないが、いきなり入って来られたコッチもびっくり。一旦飛び出した女性達がムッとしてまた入って来た。「ここ女湯よ、出てって!」「何ぃ、殿の湯って書いてあったべさ」と、コッチも負けずに応酬。男だ女だと争ううちにすっかり興奮した彼女たち、覆っていたタオルもそっちのけに猛反撃だ。おかげでコッチは見てはならない所まで見てしまって得した気分。でも念のために戸口を見にいった。
 よくよく見ると、殿の湯の横書き下に女湯とある。考えてみると、800年もの昔は横書き文字は右読み。慌てて左から読んだのがドジだった。